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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
1章 伝説の始まり
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第十五話 決着

「まずは軍の再編が先です。りゅうびもかんうさんとちょうひさんのとこへ行って、みんなをねぎらってやってくれ」


「了解だ」


 そう言って、りゅうびは後方に走っていった


 鶏巾族軍の中を抜けたかんうとちょうひはこうそんさん軍の後ろに再集結していた


 俺はその様子を確認すると、こうそんさんに向き直り今回の作戦の最大の山場である作戦を説明し始めた




 鶏巾族本隊とこうそんさん・りゅうび軍のさらに後方、連合軍本陣では情報が錯綜さくそうし、混乱していた


「一体どうなっているんだ」


 中央に座るりゅうえんが幕僚ばくりょう達に怒鳴り散らす


「どうやら、一度飲み込まれたかに見えたこうそんさん軍は、壊滅しておらず、一旦距離をとって部隊の再編をしている模様です」


 幕僚の一人が、現在掴んでいる情報をりゅうえんに伝える


「そんなのは見て分かるっ! 何故、奴らは生きているんだ、これでは当初の作戦が実行できないではないか」


 りゅうえん達地方有力者達は、当初の予定ではこうそんさん軍と義勇兵を防波堤として、鶏巾族軍の前線が疲弊し乱れたところを総攻撃して打ち倒すはずであった


 この作戦は、勝ったら自分達が勝利を独占でき、仮に敗退しても、こうそんさん軍と義勇兵の責任にできるという優れた面を持っていた


 そして、最近ゆう州周辺で実力を付け、頭角を現し始めたこうそんさん軍を亡きものにできる絶好の機会でもあった


 開戦当初は、義勇兵が動かないこと言う誤算はあったが、こうそんさん軍は見通しの通りに鶏巾族軍に囲まれ、飲み込まれ、そのまま壊滅すると思っていた


 しかし、現状はどうであろうか


 こうそんさん軍は数は減りはしたものの健在であり、取るに足らないものと判断していた義勇兵達はなぜか隊列を組み、鶏巾族軍に襲いかかっていた


 このままでは、まずい


 話をでっち上げるにも、こうそんさん軍や義勇兵を後ろから踏み潰し突撃するわけにはいかない


 指示を聞かずに突出したということにするのは、首脳部を押さえ込んでいるりゅうえんには、造作もないことであった


 しかし、味方殺しはできなかった


 ここに連れてきている兵たちは総勢で5万もいるため、いくら箝口令かんこうれいを敷いても漏れることは容易に想像できた


 味方を殺した、それが中央にバレれば、確実に政敵達に自分を追い落とすための材料にされてしまう


 りゅうえんが、悩んでいると互いに部隊の再編が終わったのか、一旦小康状態であった鶏巾族軍とこうそんさん軍・義勇兵の戦いが始まった


 ちょうど、右翼がこうそんさん、左翼が義勇兵という形で先端が開かれているようである


「りゅうえん様、いろいろ計算違いの事態も起きましたが、どうやら、奴らも総力戦しか出来ることがなくなったようですね。それに、当初の予定よりも鶏巾族の方にだいぶ被害が出ている模様で、りゅうえんん様の勝利もぐっと近いものになりましたな」


 幕僚の言葉を聞き、りゅうえんがニヤリと下品に笑う


「全軍に通達だ、いつでも突撃できる準備をしておけと、我らの勝利は目の前だ」



 前線で、まさに最大の激戦状態になっている、りゅうび軍とこうそんさん軍の指揮官たちは大声で鼓舞をし、兵士たちは疲労困憊ひろうこんぱいながらも、なんとか歯を食いしばりながら戦っている


 両軍の後方でこーめーは戦局を見守りながら祈っていた


 もう少しだけ耐えてくれ


 そんな祈りが通じたのか、鶏巾族軍本陣で小規模な爆発が起きた


 いや、正確に言えば、ちょうひによる投石が開始された


 鶏巾族軍を突破したあと、こーめーはこうそんさんからペガサス部隊を1小隊借りて、ちょうひとありったけの石を乗せ、大きく迂回させる形で、鶏巾族本陣の左翼上空まで移動させた 


 それに合わせるように、敵陣でも動きが出た


 鶏巾族軍が、全体的に後退し始めたのである


 同時に、こうそんさん軍とりゅうび軍の指揮官が、突撃と叫ぶ


 両軍は雄叫びを上げながら、後退し始めた鶏巾族軍を追い立て始めた


 


 連合軍本陣でもこの動きはよく見えた


 そして、焦りがどんどんと諸侯たちにのしかかってきた


 このままいくと、こうそんさんと義勇兵に手柄をすべて取られてしまう


 先鋒が食いつぶされ、疲弊したした鶏巾族部隊に一気に矢を打ち込み、そのまま押しつぶすという連合軍の作戦の根幹が揺らいでしまう


 ひとりの諸侯が焦り軍を前に進めた、それに釣られ他の連中も軍を進め、結果として連合軍5万は全軍で総攻撃をかけることになった


 連合軍の突撃を確認し、りゅうび軍は左翼、こうそんさん軍は右翼へ兵を移動させ、中央をあけた


 連合軍の本隊はそのまま中央のスペースから鶏巾族の本隊とぶつかった


 先程まで本陣に投石を行っていたちょうひは、りゅうび軍の移動に合わせ、そのままりゅうび軍に戻っていた


 凄まじい乱戦が続く中、りゅうび軍とこうそんさん軍は部隊をまとめ直し両翼の端いっぱいから攻め上がる


「かんうさんとちょうひさんは、先頭で敵陣を切り開いてください。他のみんなは無理して戦わず、目の前の邪魔な敵以外は相手にする必用はない。さあ、本陣を落としに行こう」


 俺はありったけの声で叫ぶ


 連合軍5万の突撃に釣られた鶏巾族本隊は全軍が中央に集まったため、両翼は守備がおろそかになっていた


 しかも、りゅうび軍はかんうとちょうひが先頭でひっぱり、こうそんさん軍は、かなり減ったがそれでも高い攻撃力を持つペガサス隊により敵陣を切り開き、みるみるうちに、鶏巾族本陣に肉薄する


 ただでさえ、ちょうひの攻撃により乱れていた鶏巾族の本陣は、挟撃を受け、あっという間に瓦解した


 本陣が落とされた、鶏巾族は総崩れとなり、鶏巾族10万対連合軍6万による戦いは一日にして、連合軍の大勝利という形で幕を下ろした

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