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なんちゃって三国志(旧)  作者: 北神悠
1章 伝説の始まり
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第一話 覗き魔と疑われて

 目の前に下着姿の女の子がいた


 そのあとは、単純だ


 まず悲鳴

 次にぐーで殴られ

 謎の武装集団に取り押さえられ

 縄で縛られ

 今に至る


 これが、おおよそ俺が現在置かれている状況だ

 俺が悪いのは明白だ

 子供の裸には興味ないですって言ったのも大いなる反省点だ


 彼女は15歳だったらしい

 どう見ても小学生だった

 童顔で華奢な体つき、ピンクの髪をツインテールにしていれば間違えても仕方がないだろう


 顔を真っ赤にして、暴れ猿のようにキーキー怒ってる彼女にそんなことを言っても無駄だろう


 なぜ俺がこんなにも冷静かって?


 何簡単な話だ、周りを完全武装の兵士20人に囲まれ槍を(もちろん刃の方)突きつけられていれば

 ひと回りして冷静にもなるもんだ


 ついでに言えば、さっきまで2013年の日本にいたはずが、なぜこんな絶賛銃刀法違反しまくりなやつらに、見たこともないただっ広い平原で縛られてるのかもよくわからない


 言い訳をさせてもらうなら、俺は決して覗きが趣味ではない

 女性の裸に興味がないかと言われれば、そこは高校生だ、あるに決まっている

 しかしこんな幼女にぐへぇっ!


「お前、今すっごい失礼なこと考えていただろう」


「馬鹿な、心が読めるのか!? 」


「女のカンだ。って、考えてたのか! あたしのこと覗いておいて、なんてやつ」


「しまったぁ。しかし、さっきから言ってるだろ。覗いたわけじゃない。まぁ、結果的に覗いたことにはなってしまったが、俺もなぜあそこにいたかわからないんだ」


「覗き魔はみんなそう言うんだ」


「信じてくれ!」


「あたしを子供だなんて言うやつの言葉なんか信じれるか、ふんっ」

 そう言って、彼女はそっぽ向いてしまった


「お嬢、やはりこいつを死刑にしましょう」


「そうですぜ、お嬢の体を覗いたんですから、死刑すら生ぬるい」


「地獄の苦しみを与えながら、じわじわ殺しましょう」


 兵士たちが言いたい放題いってくる

 とても言い返したいが、血走った目をギラギラさせながら殺気を飛ばしてくこいつらに、下手なことを言おうもんなら、手が滑ってついでに俺の首がとびかねない


「しかし、こいつもよりにもよってお嬢を覗くなんて、愚かも愚かですねい」

「お嬢のことは四六時中あっしらが守りやすぜ」

「お嬢最高!」


 兵士たちが、彼女をもてはやすと、気分をよくしたのか、口元には笑さえ浮かんでいる

 こう見ると、結構可愛い顔してるな


 俺の視線に気づいたのか、彼女がこちらを向き目があった


「とりあえず、あたしを覗いたのだから本来であれば死刑なんだけど、あたしは寛大だから特別に土下座して、もう二度とあたしのことは子供扱いしませんと誓え」


「お嬢、そんなに簡単に許しちまったら」


「えーい、うるさい! こいつ変態だが、悪人には見えないからな、殺しはなしだ」


「お嬢がそう言うのであれば」


 ものすごく不服そうである

 それでも、彼らは渋々と槍を引いてくれた


 いろいろ、言いたいことはあるが

 まぁ、土下座で許してもらえるなら安いものだろう


「さぁ、子供扱いして申し訳ありませんでした、二度とのぞきはしませんと誓え」


 彼女がない胸を精一杯反らせて、威張るように言った

 と、命が助かり、思考が動き出したのか、ひとつ疑問が浮かんだ


「なぁ、ひとつ聞いてもいいか?」


「なんだ、あたしがこんなにも寛大な処置にしてやったのになにか不満でもあるのか」

 彼女はすごく嫌そうな顔をし、周りから凄まじい殺気が飛んでくる


「いや、さっきは不慮の事故とは言え覗きをしたこと、そして、知らずとは言え子供扱いして申し訳なかった」


 俺は彼女に深々と頭を下げて謝った

 覗いたのは、事実だし、見た目はどうあれ女性を子供扱いしたのは、完全に俺が悪い

 言い訳したり、躊躇したりするところではない


「ところで、ひとつ聞きたいんだが、俺が覗きをしたときここに居る兵士たちは、あんたが着替えているテントを見張ってなかったのか?」


 そう言うと、周りの兵士が反発してきた

 そんなわけない

 お嬢は常に警護している

 特に、着替えや風呂の時は念入りに

 ちらっと、お嬢の姿を妄想しつつ


 ちなみに最後にしゃべったやつは、彼女の飛び蹴りをくらって宙を舞っていた

 地味にほかのやつらが羨ましそうなところが気持ち悪い


「じゃあ、俺はどうやって覗きを成功させたんだ?」


「何? おまえは、せっかくあたしが許してやったのに、自分が悪くないと主張するのか? 」


「いや、そういうわけじゃない。ただ、疑問に思っただけだ。覗きに関しては俺が悪いと思ってる」


「たしかに、そう言われてみればそうだな。おい、お前たちなんでこいつを通したんだ」


「えっ、いやあっしは、お前はどうだ?」

「おれも知りません」

 結局その場にいた誰ひとり俺の存在を確認した奴はいなかった


「えっと、じゃあ誰ひとりとしてこいつがあたしの天幕まで来たところを見てないって言うのか?」


「それはコイツが何らかのトリックを使って」


「たとえそうだとしても、警備失格だな」


「すみません、お嬢」

 リーダー格の男に合わせて、全員が土下座している

 小学生みたいな女の子に、大の男が数十人で土下座している絵は、変態にしか見えなかった


「じゃあ、あんたはどうやって、あたしの天幕に忍び込んだのだ」


「だから言ってるだろ、気づいたらテントの中にいたって。もし仮にそんなこと出来たとして、今ここで縄で縛られてんのはおかしいだろ。」


「なるほど、一理あるな。でもあんたが突然どっかから飛ばされた証拠はあるのか?」


「さっきまで俺がいた埼玉の学校に問合わせてくれればわかると思うぜ?」


「埼玉? どこの都市だそれは?」


「なんだ、お前埼玉も……えっ」


 周りの反応を見ると、どうやら彼女以外も埼玉を知らないらしい


「いや、日本の首都の上にある県だって。東京はわかるだろ?」


「いや、全然」


「即答かよっ!」


 って、突っ込んでる場合じゃない

 おいおい、どういうことだ、もしかしてどっきりか何かか?

 いや、それにしては大掛かりすぎるし、全員日本語話してるからどっかの地方にワープ的な話くらいだと思ってたのに

 じゃあ一体ここはどこなんだ!!!


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