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戻り雪
やっとたどり着いた春の日差しの下
憧れだった彼と腕を組んで木漏れ日の中を歩いていく
凍えた私の心を溶かしてくれた彼の腕は温かくて
このまま、夏に変わるものと思っていた
だけど、雪はまた降り出した
ほんの些細なことで喧嘩した
暖かかった日差しは真冬の吹雪に変わってしまった
また、凍える日々が続くと思った
次の日曜日
彼は一輪のバラの花を携えて私のところに来た
また春が戻ってきた
あの雪は戻り雪
これからの二人の間には降るかもしれない戻り雪
この次は私もがんばらなくっちゃ
わがままばかり言わないように




