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思考の監獄

作者: 無相

夕飯を食べた後、泥のように眠り、そして真夜中にはっと目を覚ます。

台所に移動し乾いた喉に冷蔵庫で冷やしておいた麦茶を流し込みながら、

ついさっきまでうなされていたことを思い出す。

内容までは細かく覚えていないが、もの凄く混沌としていて不快だったことだけは覚えている。


日付の変わったスマートフォンの液晶画面を一瞥すると特に何という訳もなくSNSを開き適当に情報を漁る。特に興味も無ければ関心も無いが普段の習慣で半ば機械的に注目の集まっている話題に目を通す。雑多な情報の中からいくつかのニュース記事を選び取り概要を把握すると画面を閉じる。昔はもっと他にも興味のある物事の情報を集めていた気はするが今となってはそれらの情報に価値は無い。


SNSのアプリを閉じて待ち受け画面に並んだいくつかのゲームアプリが顔を出す。

一昔前までは暇潰しに重宝していたそれらも何処かちっぽけで色褪せて見えた、最後に開いたのは何時だろう?

やらなくなった理由はいくつかある、単純に飽きたものもあれば、

運営が目に見えてがめつく集金姿勢を露わにして嫌気がさしたもの、

コラボ企画が趣味や習慣と噛み合わず嫌いになったものなど、

数え上げればいとまがない。


スマートフォンの液晶を閉じて、寝室に戻り横になる。

どうせ明け方まで眠つけないので布団の近くに置いたPCを動画サイトに繋ぎ、適当な音声ファイルを再生する。


内容は漫談、猥談、怪談に落語、もう既に何度も聞いており、

話のオチは知り尽くしているが語り部の声が何となく落ち着く。

ただぼんやりと音声ファイルを聴き流しながら眠くなり微睡むまで考える。

「ずっとつまらない日を過ごし続けているな、

一体いつからこの退屈は私を蝕んでいるのだろうか?」

志半で力尽きた抜け殻のような体を横たえて、

暗い夜の静寂しじまとともに今宵も迷路のような思考の檻に囚われてゆく。

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