めろんだって世界救えるもん
この小説は、謎の病気により人々が精神的に病んでしまった世界を中学生の女子の夏希めろんちゃんが魔法を使って救おうと試みるほのぼの系ファンタジー小説である。
「ちぇんちぇーい。」
と叫びながら、一人の女子中学生、夏希めろん(以下、めろんちゃん)が走ってきた。
「こら、廊下を走ったら危ないぞ。それに、ちぇんちぇいじゃなくて、ちゃんと先生と呼びなさい。」
めろんちゃんの通う中学校に教育実習生として来ている、清水健太郎(以下、清水先生)が叱った。
「てへへ。またしかられちゃった。」
めろんちゃんは、先生に恋でもしているかのようにいつもため口でしゃべっている。
「ちぇんちぇい、black marketでまたアイス、おごってよ。」
「ああー、コンビニのことか。君と話すと、頭が疲れるよ。いいけど、ちゃんと勉強がんばるんだぞ。」
「やったー、あいちゅ、あいちゅ。」
コンビニにやってきた二人は、いつも周りから変な視線を感じながら、買い物をしている。
『なにあれ、かっぷる?』
『援助交際でもしてるんじゃないの?』
『ていうか、なにあのしゃべり方、だっさー。』
「はー、君と一緒にいると、体まで疲れるよ。さっさと買って、早く家に帰りなさい。ってあれ?どこ行った?あいつ。」
「あーーーーーーー。あの人、今万引きしましたーー。」
めろんちゃんが必死の形相で叫んでいる。
そして、何やら呪文を唱え始めた。
「アバダケダブラ。」
万引きをした男性は、お腹を抑えて、うずくまった。
「あなた、いけませんね。これは返してもらいます。」
「ひえーー。」
怯えた様子で男性は去っていった。
「おい、めろん、なんだ、今の呪文は。どこで覚えたんだ、いったい。」
「はりーぽったーを見ていたら、覚えました。ヴォルデモート様、めろんの呪文、しゅごいでしょ。」
「ヴォルデモートか何か知らないけど、勝手に魔法を使うんじゃない。」
「グリフィンドール、マイナス10てーーーん。ですね。」
「は?もういい。早く帰りなさい。」
「はーい。ちぇんちぇい、また明日も勉強教えてねー。私の夢は、先生と同じ大学、東大の経済学科に入ることなんだから。」
先生は、東大数学科に通っているのだ。
「分かった、分かった。じゃあな。」