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選ぶ  作者: 雨宮朋夜
9/14

映画館

「今度の休み、みんなで映画いかね?」

 龍が俺の机の上に映画のチケットを並べた。

「これ、どうしたんだ?」

 隼人が尋ねる。

「俺の母さんがくれた」

「それは悪いよ」

 俺も裕司と同意見だった。

「いや、気にしなくていいよ。どっかの店のポイントが貯まってたらしくて、有効期限がもうすぐだったらしいんだけど、ほしいものがないからチケットに交換しただけって言ってたし。それに母さん興味ない映画だからって押し付けられただけだから」

 そういうことなら、とひとりずつチケットを受け取る。

 龍はサンキューと笑顔で言った。



「今度の休み、友達と映画行ってくる」

「あら、珍しい。別にいいよ」

 母さんが夕飯を並べる。今晩は肉じゃがだ。

 父さんが新聞から目線をこちらに向ける。

「なに?」

「……いや」

 そう言って、目線を新聞に戻した。

「友達ができて良かったって思っているのよ、父さんは」

 全く、不器用なんだから、と母さんが呟く。

「そうなの?」

「友達はできた方がいいだろ。大事にしろよ」

「そんなの言われなくたって分かってるよ」

「それもそうだな」

 会話の間もずっと新聞を読んでいた。

「ほら、夕飯食べるよ」

 母さんがそう言うと、父さんはやっと新聞を畳んだ。


「咲、ご飯食べたらお風呂入りなさい」

「はーい」

 食器を片して風呂場に行く。

「母さん、咲には()()()()話したのか?」

「今日話そうと思ったんだけど、あんなに楽しそうな顔見たの久しぶりだったから」

「そうか」

 そう言うと、再び新聞を広げた。




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