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選ぶ  作者: 雨宮朋夜
4/14

担任の先生

「どうだった?」

軽風が頬を撫でる。

「まあまあ楽しかったよ。同級生と話すのは久々だったから。案外悪くないかもな」

「なんだよそれ、素直じゃねーな。友達は大事にしろよ」

「そんなの、言われなくてもわかってるよ。先輩こそ友達ちゃんといるの?ずっと屋上(ここ)にいるじゃん」

 今まで屋上で先輩が誰かといるところを見たかとがなかった。

「俺は誰かさんと違ってちゃんと友達いたし、行事も楽しんだよ」

 先輩の言葉は優越感に染まっていた。

「誰かさんって、あ、そういえば先輩この屋上に———」

 ギィ

 音の方を振り返る。

「坂口、こんなところにいたのか」

 担任の後藤だった。



「坂口、いつもここに来てるのか?」

 後藤博人(ごとう師。

 この学校の卒業生で、就任五年目だ。学生の時はサッカー部に所属しており、今でも昼休みに生徒に交じってサッカーするくらいうまい。

「はい、まあよく来ます。空が好きなので」

 転校初日からほぼ毎日来ているとはさすがにいえなかったので、適当にごまかしておく。

「確かに外は気持ちがいいな」

 後藤が背伸びをする。

「俺に何か用ですか?」

「後藤の体操服、届いたから放課後までに職員室にとりくるよーに」

 そういえば、体操服は間に合わないからって母さんが言ってたな。

「わかりました、ありがとうございます」

「いいよ。それよりクラスメイトとは馴染めたか?」

「昨日、龍たちと話しました」

「龍たちか。龍は壁がないっていうか気さくで話しやすいよな」

「少し強引なところもありますけどね」

 俺の体育祭の出場種目も龍が決めたといっても過言ではない。

「まあそこは大人な坂口がうまく対応してくれ」

「大人って龍と俺、同級生ですよ?」

「坂口は高校生って感じがしないんだよな」

「……?」

「普通の高校生よりも考える機会が多かったんだろうなって感じ」

 昼休み終わり十分前のチャイムが鳴った。

 後藤が慌てて腕時計を確認する。

「じゃ、そういうことだから。体操服忘れるなよ。あと、よかったら龍たち以外にも話しかけてみてくれ。みんな坂口と話したいって言ってたぞ」

 わかりました、と返事をする前に颯爽と出ていった。

 次は確か移動教室だった気がする。

「先輩、俺も戻りますね。先輩も一緒に戻りま———」

 しょう、とグラウンドの方を向くが、そこには誰もいなかった。



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