映画館2
「おーい、咲、こっちこっち!」
改札の出口に龍たちがいた。
「ごめん、遅れた」
「いいよ、五分くらい。以前、三十分遅れた奴がいるからな」
裕司は龍を見ながら笑う。
「あのときは悪かったって」
「別に、そのせいで映画の最終日逃したことなんて誰も根にもってねーし」
「もってんじゃねーか!」
隼人が笑う。
「三人はいつから一緒にいるの?」
隼人がウーンと呟く。
「いつだろうな、いつの間にか一緒にいたんだよな」
「だな」
「なんか、いいなそういうの」
この三人はこれから、別々の道に進んでもずっと一緒なんだろう。
「なに言ってんだよ、咲」
龍がいつもの自信満々な口調で続ける。
「咲も俺たちの友達だろ」
「……おう」
嬉しさと恥ずかしさでうまく返事ができなかった。
映画館に到着し、チケットを買う。
「咲はポップコーン何味がいい?」
「キャラメルかな、龍は?」
「俺もキャラメル!やっと仲間ができた!」
龍が嬉しそうに続ける。
「隼人と裕司は塩派だからキャラメルの美味しさを分かち合う人がいなかったんだよ」
分かちあうどころか、たまにバカにしてくるし、と龍が呟いた。
「そういえば、この前の体育祭、赤組惜しかったよな」
隼人がポップコーンを頬ばる。
「ラストのリレーで青組が逆転したんだよな」
裕司が隼人のポップコーンを摘まむ。
「来年は俺たちが勝つんだよ。なあ、咲」
龍が俺の肩に腕を回す。
返事をすると、映画の入場の館内放送が鳴った。
「映画は楽しかった?」
「うん。映画のあとにみんなでゲーセン行ったんだそれも楽しかった」
意外にも龍がゲームが下手なこと、逆に裕司はめちゃくちゃうまいこと、隼人はクレーンゲームが得意なことを話した。
俺が話している間、母さんはうんうんと、嬉しそうに聞いてくれた。
「初めは入学早々、引越し、転校って不安だったけど、みんないい人ばっかりでさ、なんとかやっていけそう」
そう言って、今日のメインの生姜焼きをほおばる。肉汁がじゅわっと口の中でとろけて、生姜と香ばしい醤油の香りが口いっぱいに広がる。
もう一つ肉を食べようと箸を伸ばすと、咲、と父さんに呼ばれた。
「ん?どうしたの?」
いつもと違う重い口調に箸が止まる。
咲には申し訳ないと思っているが、と前置きをしてくる父に嫌な汗が背中をつたる。
「半年後に引越すことになりそうなんだ」
「……は?」




