俺よっわ…
アップルパイは正義です。
え、なにこれ。
何かやばいスパムメールみたいな感じ??
てか俺どこか押したっけ?
ぐるぐると考えてみるが皆目見当もつかない。
でも、何もなかったステータスに『平凡の見せ掛け』なんていう思わせぶりなものがあるなんて嫌な予感しかない。
でもなぁ…何もしないと変化するものもしないからな……
渋々解除を選択すると、ステータス画面にノイズが走る。
【▶︎平凡の見せ掛けの解除に成功しました。】
【▶︎ステータスを更新します。】
徐々にノイズが酷くなり、更新といった通り文字が書き変わっていく。
そしてノイズが収まった時には、先程よりも文章量が格段に増えていた。
ただ、そこに書かれていたものに俺はまた絶句することになる。
***
アリオ・シーディア 所属:ヒト属
HP:100 MP:3000
ATK:100
DEF:100
[祝福]
不死者
[称号]
・貧弱
・転生者
・死ぬこと以外はかすり傷
・身を削る叡智
・忘れた頃の不幸
[スキル]
・ファイアボール
・透視
***
…え、何このいかにもヤバそうなスキル達。
まず初手から酷いよね。何、俺貧弱なの?
てかライフひっっく……
攻撃力と防御力も低くない?
平均がどれくらいか分からないけど、分かることは俺が戦力外通告を受ける可能性が高いってこと。
「兄さん…俺は……弱い……」
「アリオどうした!?」
俺の言葉に驚いたカリスに事情を説明したところ、スキル名はともかくHPと攻撃力、そして防御力の100という値に絶句する。
「アリオは剣の稽古をしてないにしても、その値は恐らく赤ん坊レベルだぞ…」
「ウソやん…」
思わずエセ関西弁が出るくらいヤバいぞ。
俺は赤ちゃんだったのか…
いや赤ん坊でも100あるなら俺は赤ん坊以下ではないか!
これはマズイ。このままだとお荷物確定だぞ俺…!
「でもMPはアリオの歳にしては多いな。魔法に適性があるかもしれないな」
「攻撃魔法はファイアボールだけみたいです…」
「そうか、でもそこら辺は後から増えていくものだから気にしなくても良いと思うな」
カリスの言葉に涙が出そうになる。
無自覚なのかもしれないが、優しさが爆発している。
俺は未だに魔法という魔法は使ったことがないし、ここら辺は成長途中と考えるのが妥当かもしれない。
「アリオが言うには称号が沢山あるんだよな?とりあえず詳細を見てみたらどうだ?」
これも忘れていた。
詳細を見ることで、この称号達が何かの役に立つのかが分かるだろうしな。
つくづく兄と確認してよかったと思う。
どきどきしながら称号を一つずつタッチしてみる。
***
【貧弱】
HP・攻撃力・防御力の上限値を100に固定する。
【転生者】
アルシテアの大地に転生せし者。
動物から好かれる。
【死ぬこと以外はかすり傷】
受けるダメージの上限値を100に固定する。
【身を削る叡智】
魔法使用時MPの代わりにHPを消費。
【忘れた頃の不幸】
三日に一度、タンスの角に小指をぶつける等の衝撃を得る。貫通ダメージ。
***
…神よ、そんなに俺のことが嫌いなんだな。
うん…なんかもうおかしいよな。称号が称号じゃないもん。デバフしかないもん。
というか貧弱お前のせいか!!
よくも俺のHPと 攻撃力、防御力を…!
貧弱も酷いけど、他のもどっこいどっこいで酷いな!!
まともなものが転生者の称号しかないもん!!
ダメージをくらっても即死!
魔法を使っても消費MPがHPに変換されて固定ダメージで即死!
おまけに三日に一度の確定死!
なんだよ最後のその称号!!
無駄に確定ダメージとか痛いよ!
もう無理だろ…
俺にとってはタンスの角に小指をぶつけるのも、ダンプカーに轢かれるのと同義なのだから…冒険なんて出来やしないよ…!!
クソーッ!
こんな世界大っ嫌いだー!!!
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