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その名は噛ませ犬

暑い日が続きますね。

そろそろバテてきそうです。

「どどどどうしましょうアリオさん…!」

「おおお落ち着いてスーリア!大丈夫!たぶん恐らくきっと大丈夫!」

「はいはい二人ともぉ〜深呼吸ですよぉ?」


 メロー先生に促され、俺達は大きく息を吸い込んで吐く。

一緒に心臓が出そうになったけどたぶん大丈夫。


「そんなに慌てなくても大丈夫ですよぉ〜!二人の方が何倍も強いですからぁ!」

「そうですね。巻き込んでしまったのは申し訳ないと思っています。ですがお二人が馬鹿にされるのは私としても許し難くて…」

「カッとなるのはお兄様の悪い癖なんですぅ」


 いや、二人とも同じくらい怒っているように見えたけど。

そんな言葉を飲み込みながらも、俺はツンツン髪と魔女っ子に視線を移す。

二人は絶対に負けないと確信したような顔で、こちらと目が合うと鼻で笑った。

これには俺もまたじわじわと怒りが湧いてくる。

そうだ。腹いせにステータス見ちゃお。

普段はプライバシーの侵害だろうとあまり見ないけど、巻き込まれたなら別だよね。

そうと決まればと、俺は早速透視くんを発動する。


***

セマーカ 種族・ヒト族

[祝福]

剣士

***


***

ヌイ 種族・ヒト族

[祝福]

魔法使い

***


 透視くんの結果に、俺は拍子抜けする。

ドヤ顔で自信ありげだったから珍しい祝福なのだろうかと思っていたが、剣士も魔法使いもその手の祝福の中だと最下位だ。

つまりは、俺達はそれよりも下の祝福を受けていると思われているらしい。

まあでも、そう思うのも無理はない。

戦闘系の祝福を貰える方が珍しいというのが世間一般の考えだし、現に俺の祝福だって戦闘系ではない。どちらかと言うとスーリアのものだってそうだ。

冒険者の中でも非戦闘系の祝福は多いみたいだし、戦闘の祝福ならばその分アドバンテージがある。だから二人は自信を持っているのだろう。


(ここにユキトがいたらみんな度肝を抜かれただろうな…)


 こういうのを見ると、やっぱり剣ノ神は異質の祝福だ。

あんなぶっ壊れ性能の祝福は見たことも聞いたこともない。

俺が知る限りでは間違いなく最強だ。

 ユキトにもそろそろ危機感を持って貰わないとなと思いつつ、俺は手に入れた二人分の情報をスーリアに共有する。


「というわけで、あっちの祝福は別段変わったものじゃなかったよ」

「アリオくんは鑑定を使えるのですか?」

「え?」

「いや、詮索はやめましょう。無闇に情報を開示させるのは野暮でしたね」


 うんうんと頷くミューロ先生に首を傾げつつ、俺は緊張しているのか強張った顔のスーリアに声をかける。

不安げに揺れていた薄い桃色の瞳は、俺の声に反応して安心したように細められる。


「スーリア大丈夫だよ。スーリアの魔力操作が正確なのは俺が一番よく知っているし、何度も助けてもらってる」

「でも…私はアリオさんみたいに機転がきくわけでもないですし、ユキトさんみたいに強くもないんです…」

「…ねぇスーリア、スーリアは魔法を使う時ってどうしてる?」


 俺の突然の問いに、スーリアは首を傾げる。


「どう……私は、物が見えるわけではないので、丸だったら丸というものをイメージしてます」


 思った通りの回答に、俺は口角を上げる。

想像力があるという事は、現実には存在しないことも思い浮かべられるという事。

スーリア達のスキル…もとより魔法の使い方を見る限り、想像力でなんとか出来る部分もあるんじゃないだろうか。


「ならさ、水を大きな魚にーとか、雨をイメージしたりとかでも色々出来そうじゃない?」

「見た事なくても出来るでしょうか…?」


 小さな彼女の声に、俺は迷わず頷いた。


「見えないからこそ自由にイメージ出来るはずだよ」


 知らないことは人を窮地に追いやったりもするが、逆に知らないからこそ出来ることもある。

俺はスーリアのそれを大切にしたい。

見えるようにはしてあげたいけど、今の彼女の世界も広げたいのだ。


「と言っても俺は偉そうに言える立場じゃないんだけどさ…ははは…」


 まともな事をいって小っ恥ずかしくなったのと、俺自身、自分の戦いをどうしようかという不安を誤魔化すように笑いながら頰をかく。

するとスーリアはそんな俺に気付いたのか、俺の手をぎゅっと握ると、真っ直ぐ目と目を合わせて笑った。


「アリオさんの良い所は立ち向かう勇気です!私、ちゃんと勝ってアリオさんに繋ぎますから、見ていてください…!」

「そろそろ両者位置についてください」


 俺が言葉を発する前に、スーリアは審判に呼ばれて行ってしまう。

それでもこれだけは言わないとと思い、俺は大きく息を吸い込む。


「頑張れスーリア!!」


 俺の声に反応して振り返ったスーリア。

その顔は自信に満ち溢れていた。

二人が向かい合い、審判は戦いに巻き込まれないよう場を離れていく。

そうして、スーリアの戦いが始まった。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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