いらんお節介といる気遣い
…助けたやつ絶対それ。
いらないお節介はやっぱりいらなかったんですねハイ。
これで兄さんの手紙にあった絶対面倒になるという一文に納得がいった。
第一王子って確か兄さんやドゥールを呆れさせた、“あの”第一王子だよね。
どうりでなんか丈夫な馬車だと思ったよ。
ゴテゴテの装飾も王族の乗る馬車だったからと考えると納得がいく。
いやいかないよ節約しろよ。
それ民衆からの税とかで成り立っているんだぞどうにかしろよ。
っといかんいかん。思わず一般人だった時の自分が出てきてしまった。
「……さん」
でもなぁ…シーディア家は馬車とかにお金かけるより領地運営に投資してるし、一家全員派手な物が好きじゃないんだよな。
「…リ…さん」
馬車とかも父上や、父上の父上…つまりは祖父の影響でシンプルで頑丈さも兼ね備えつつ、それでいて貴族間でも通用するような見た目をしている。
シーディア家は宝石やらなんやらにお金は使わない。必要最低限である。
そう言うとお金に困っているように思えるが、そんなことはない。
領民はシーディア家に恩があるものが多い為真面目に働き、シーディア家も特産の海産物や塩を上手く取引材料にしている。全くもって困っていない。
必要な所には投資しているし、使い方が上手いんだと思う。
いやー俺の家族マジ最高。
「アリオさん!」
「ハッ!!」
知らないとはいえ王家に関わってしまったことのショックで、思わず現実逃避してしまった。
スーリアの声に反応したのか、なんだなんだとメロー先生が顔を覗き込んでくる。
「ともあれ、起きてしまったことは仕方ありません。とりあえず王都では目立たないように行動しましょう」
「そ、そうですね!」
「なんのことですかぁ?」
「あとで説明します。とりあえずカリスくんにお返事を書きましょうか。きっとお返事を待っていますよ」
「あ、そのことなんですけど……」
大体俺はこれに返信機能がついているなんて知りません。
それを素直に言うと、メロー先生は「あら〜、カリスくんはうっかり屋さんですぅ」と和んでいた。メロー先生の和みポイントがよく分からない。
「単純ですよ。手紙に魔力を流して便箋を思い浮かべるのです」
「え、あの、それって魔力消費します?」
「しますよぉ〜でもぉ、このお手紙には必要以上の魔力が込められているのでぇ、アリオくんは思い浮かべるだけで大丈夫だと思いますぅ」
兄さん!いやお兄様…!
俺は話を覚えてくれていた兄に心の中で感謝する。
話というのは冒険に出る準備をしていた時のことである。
MPを使ったら即終了の俺は、護身用にと剣やらナイフやらを見繕っていたのだが、その時手伝ってくれていたカリスに聞かれて素直に答えたのだ。
『アリオは剣も扱うつもりなのかな。確かに魔法と両立させたら便利だしね』
『あ、兄さんには言っておくね。俺魔法使ったら即死なんだ』
『え?』
『え?』
回想終了。
返信にもMPが必要ということは、俺が返事を書こうとしたら死んでしまうということまで考えてくれたのだろう。
ありがとう兄さん。マジでありがとう。
おかげで手紙を書いて死ぬという、秒で死亡フラグ回収みたいなことにはならなかったよ。
言われた通りに便箋を思い浮かべると、手紙がキラキラと輝き、いつの間にか思い浮かべた便箋が目の前に現れる。
その様子に感動していると、出てきた便箋を見たメロー先生は感嘆の声を上げた。
「すっごく綺麗な便箋ですぅ!描いてある花も葉っぱも色鮮やかで素敵ですぅ!」
どうやら俺の思い浮かべた便箋は、メロー先生にヒットしたらしい。
といっても俺の手の中にあるのは前世ではよくあった花や葉っぱ、生き物などの描かれた普通の便箋である。
「紙に草花が描かれているというのはいいですね。家紋よりも柔らかく、かつ彩がある」
「ハッ!!お兄様!これを売り出したら人気が出るんじゃないですかぁ?!」
確かに街で売っているものは無地の便箋だ。
平民でも字が書けるものは手紙を出すのだが、便箋に絵をつけるという発想はあまりないのか普通の紙だ。
貴族はその家々に紋があるので、基本的にはその紋が紙にデザインされている。
かっこいいのだが、割と堅苦しく感じてしまうこともあった。
「そうですね。手紙鳥が使えなくとも手紙は出すものですし、誰でも手が出せる値段まで抑えられれば貴族も平民も求める筈です」
そうと決まればとメロー先生は部屋から飛び出していく。
ミューロ先生も俺達に昼食をしっかり摂るよう言うと、その後を追うように出て行った。
たぶん塔の別の部屋に移動してプランを立てるんだと思うけど、ただ紙に絵が描かれているだけだから、先生達からしたら遊び程度の研究もとより開発なんだと思う。
まあ少しでも資金になるならいいよね。
「よし、俺もチャチャっと返事を書いちゃお!」
「じゃあ私はユキトさんの様子を見に行ってきますね!」
手紙を書くということで気を遣ってくれたのか、スーリアはユキトの分のサンドイッチを手に取ると、部屋を出ていく。
ユキトは一個じゃ足りなさそうだなーと思いながらも、俺もサンドイッチを片手に手紙を書き始めた。
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