新しいスキルを見てみましょう
あの後の俺は頑張った。
心配してくる二人をなんとか宥め、子供を寝かす要領で高速トントンをしながらストレージから出した毛布をかけると、疲れていたのか二人は寝息を立て始めた。
そして火の番をしながらスキルを見ました。
まぁ凄いものばかりでしたよ?色んな意味で。
まず明らかに攻撃スキルだろうというファイアーアローとファイアーウォール。
名前の通りファイアーアローは炎の矢を一本放つことが出来るスキル。
そしてファイアーウォールは、これも名前の通り自分の前面に炎の壁を作り出すことの出来るスキルだ。
どちらもファイアーボールからの派生スキルらしく、よーーーーく見るとスキルツリーの枝が伸びていた。
…ここまでなら問題のない良いスキルだと思う。
問題なのはここからで、なんとこの二つのスキルには使用MPの記載が一切なかった。
おかしいなと思ってファイアーボールの説明を見てみたところ、
『使用MPは全部HPに変換されるから心配しなくて良いよ☆』
などという一文が隅の方に小さく書いていることに気がついた。
まったくもってふざけた文章である。
というか本当にあの呪いどうにかしてほしい。
MPを使うスキルは全部死に直結するとか重すぎるよ色々と…
次の多重詠唱はまったく新しいスキル…というかバフみたいなものである。
単純に一つのスキルを使う時に、同じスキルを重ねられるという優れもの。
でもこれはまだ成長途中のようで、二重でしか重ねられないようだ。
ちなみに使用MP はー?
ゼロ!!!!!
だけど使ったスキルは重ねた分しっかり払わされるようで、ファイアーボールを二重で使うと俺は二回死ぬ。
俺の即死等価交換の爆誕である。
さて、ここからはスキル名が色んな意味で怖くなってくるね。
まだまともそうだと見てみた大喰らい。これはまさかのストレージからの派生スキルでした。
使用MPもゼロとリーズナブル。俺に優しい。
試しに詳しくは読まずにスキルを使ってみたところ、地面が抉れた。
抉れたと言っても直径一メートルくらいのクレーターだが…
これがなんでストレージから派生したんだろうと首を傾げたが、説明を読んだことでハッとした。
大喰らいには『小規模の亜空間を生み出して対象を自動で消滅させる』と書いてあった。
…うん。俺ストレージで飛んでくる斧をしまったなぁ……
多分それだよね…ストレージを倉庫じゃなくて防衛手段に使ったもんね。
それがまさか小規模ブラックホールになるとは思わないじゃないか…!
スキルツリーの枝分かれの怖さを体感したよ。
さぁここからが問題の二つである。
これに関してはもう何が来ても驚かないという強い精神をもって俺は見ました。
***
【痛いの痛いの飛んでいけ☆】
自分が受けたダメージを固定値100に設定し、任意の対象に移すことが出来る。
重複可能。
使用MP 0
【ここは俺に任せて先に行け!】
対象と自身の位置を入れ替える。入れ替えた際、それまでに対象が受けたダメージはスキル使用者に移行される。
使用MP 0
***
…うん……どう足掻いても俺がダメージ受けること前提なのね。
でもまぁ、前者は自分が受けたダメージを誰かに移せるから、俺は死なずに済むのかな?
え、なんか複雑…
早く天寿を全う…というか世界からさよならバイバイしたいのに、なんか死なないことに安心する自分がいる。
不死者のせいでもはや感覚が正常になってきている気がする。
でも人間の怖さは再確認してるからなぁ…
あんな怖い生き物と長い付き合いなんてしたくありません!
「そういえば、スーリア達はなんのスキルが使えるんだろ……」
カリスは自分のスキルはちゃんと確認できると言っていたし、二人は二人で自分の持つスキルを把握しているはず。
祝福を受けたことによる開花スキルが所謂初期スキルだとすると、スキルツリーが伸びていくのはポイントやレベルアップで増えていく派生スキル。
ゲームとかだとその成長には上限があるものだけど、これが現実になっているこの世界ではどうなのだろうか。
仮に上限というものがないのなら、多くの人は最強と呼ばれる所でその寿命を終えてしまう。
でも俺は?
不死者が本当に朽ちない身体をくれるとしたら?
何をやっても一撃で死ぬような俺も、最強になれたりするのだろうか。
(でもなぁ…)
自分が今より強くなって魔物を倒す姿を想像する。
きっとそうなる時には、当然のように周りの環境も人も変わっているだろう。
強さを得られるのは嬉しいと思う。
でもこの世界に取り残されるのは違う。
チラリと見た二人の寝姿。
スーリアは毛布にくるまって横になり、ユキトは近くの木に背中を預ける形で眠っている。
出会って日は浅いが、二人とも祝福に翻弄されているという共通点を持つ。
そして、笑い間違いなしの俺の雑魚死を笑わない大切な仲間だ。
そんな二人も強力な祝福を持っているが、不死身ではない。
終わりが来る命を持っている。
(…なるべく早く死ねる方法探そ……)
この世界を独りで生きるのは俺には辛すぎる。
二人の為にも、何より自分自身の為に俺はこの祝福を消さないといけない。
それまでせいぜい生き抜いてみせる。
そう覚悟を決めながら、俺は星空の下で大きな欠伸をしたのだった。
アリオ「最近もう片方更新してないんじゃない?」
作者「サーセン」
アリオ「なら書きなよ」
作者「ネタ探して調べてはいるんす。でも文章を書く能力が足りんのです」
アリオ「…いやそれは頑張れよ」
作者「さ、サーセン」
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