人生終わらせました
初投稿になります。
『拝啓…書くことがないから省略します。
特に理由はございませんが、いややっぱりあるのでここに一応書いておきます。
いくらやっても終わらない仕事、話を聞かない親兄弟。
給料は増えないし物価は上がるしで、漠然とした不安感に襲われる日々。
もう全て嫌になったので先にこんな世界から離脱します。
それではさようなら。』
—こんな感じでいいだろうかと、書き終わった遺書と共に身分証明証として、免許証を手紙に添える。
秋の風が吹き始め、少しだけ肌寒くなった今日は、丸い月が綺麗な夜だ。そういえばこんな風に空を見上げたのも久しぶりな気がする。子供の頃こそ空を見上げていたが、大人と呼ばれる歳になってからは地面ばかりを見ていた。最期にいいものが見れてよかった。
俺は今からこの世から消える。比喩ではなく、本気だ。
疲れてしまったのだ。負けてしまったのだ。
思えば碌な人生ではなかった。理想を押し付けるばかりで認めはしない両親。仕事をなすりつけ、残業をすれば無能と罵る上司。見て見ぬ振りの同僚。
俺自身特に才能もなくて、膨らむばかりの不安に押されて、面白くもない毎日。それなら、どうせならと一番いいと思ったタイミングで。
今日が綺麗な満月だったから。
ふらりと便箋だけ買って、マンションの屋上まで登れば、求めていたのだと言うように胸が高鳴るのを感じる。立つ鳥跡を濁さずといった言葉もあったなと、脱ぎ捨てた靴を揃えて…
——俺は飛び降りた。
—
——
———…
ありゃ?もしかして死んじゃった?
えぇ、どうやら生を終えてしまったようです。
あんなに邪魔をしたのに、脆い。
そうだねぇ…じゃあ今度はこんなのどう?
おや、それは案外楽しめそうですね。
賛成。強く生きてもらおう。
じゃあ、次に行こうか。
——新たな世界を確認。
転生者-----に****を付与。
*****を削除。
*******を****へ変化。
******を付与。
****の上限を***へ設定。
——転生します。
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