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真夏のウイニングショット  作者: ゴリラゴリラゴリラ
小学生篇
6/12

     予選開始 Ⅱ

「おはよう、美咲ちゃん」


 春馬の近くには夏海がいた。


「よっ」


「おはよう」


 夏海は挨拶を返す。


「あれ、誰?」


 秋一は、目を丸くして、夏海の方を指差す。


「夏海だよ」


 春馬が答えると、夏海が頭を叩いた。


「痛いだろうが!」


「…………」


 夏海は秋一が痛そうにすると、すぐにそっぽ向く。


「お待たせ、待った?」


 店の玄関の方から冬野とその後に妹の夜空が出てきた。


「いいや。いつも通りの時間帯だ」


 六人全員揃うと、学校まで歩いて行った。


 小学校の登校時間までは午前八時。現在の時刻は、午前七時十分。余裕で学校に登校できる時間帯だ。特に朝から活気のある小学生は、朝早くから学校に来て、時間になるまで校庭で遊んでいる。


 六人は焦る事もなく、しっかりと信号では安全確認をし、はぐれないように学校へと進んでいく。




 富岡西高校――


 秋一たちが学校に登校してきたのは朝の七時二十分ごろだった。


 秋一達四人は、同じ四年一組である。一年から六年までおおよそ一から三組までしかクラス編成されていない。昔はこれの倍以上はあったとされているが、現代では少子化の影響で学校が廃校したりと、色々と問題が絶えない。


「ねぇ、秋」


 冬乃は、隣の席である秋一に声をかける。


「なんだぁ?」


「今日の宿題はやってきたの?」


「あ……」


 秋一は今日やってくるはずの宿題を今頃になって思い出す。


「やってないんでしょ」


「…………」


 秋一は冬乃から目を合わせないように窓の外を見る。




 昼休み――


「春馬、秋一は?」


「知らねぇーよ」


 春馬は校庭でクラスメイト達とけいどろをしていた。


「付き合いわりーな。幼なじみだろ?」


「――たぶん。宿題でもやっているんじゃねぇーか」


「あ、そうか。授業中に怒られていたもんな。普通、休みがある日にやっているだろ」


「そこをしないのが秋一なんだよ」


「「「だよなー」」」


 クラスメイト達は声を揃えている。


「それにしてもお前ら二人が揃っているか、揃っていないかでどんなスポーツでも戦力が違うよな」


「それは俺に半人前だって言いたいのか?」


「そんなこと言ってねぇーよ」


 クラスメイトは、笑って言い返す。


「俺、ちょっとあいつを呼び出してくるわ」


「おいおい、お前に抜けられるとこっちのチームが弱くなっちまうじゃねぇーか‼」


「頑張れ、俺がいなくても勝てよ」


 春馬はさっさと校舎の方へと行ってしまう。


「おーい!」


 クラスメイトは呼び止めるが、春馬は足を止めずにそのまま姿を消した。




 教室に戻ると、春馬の姿はそこになかった。


「いねぇ―てことは……あそこだな」


 春馬は、秋一のいそうな場所に心当たりがある。


 そこはこの校舎の屋上だ。普段、生徒はあまり利用しないが、一部の生徒は昼寝をしにここに来ることがある。


 春馬は階段を上り、屋上のドアを開けると、そこに思っていた通り、秋一が昼寝をしていた。


「お前、こんな所で寝ててもいいのか?」


 春馬が近寄って話しかけてくる。


「いいんだよ。俺は俺のやりたいことをやっているだけだからな」


「そうか。お前がそう言うなら俺も時間になるまで寝ることにするか……」


「お前が付き合わなくてもいいんだぞ。あいつらとサッカーでもして来いよ」


「そうだな。サッカーもいいが、やっぱり野球がやりてぇーよ」


「仕方ないだろ。うちの少年野球は入ろうと思ってもヤな奴らばっかりなんだよ」


「それな……」


「それにあの監督自体好きじゃない」


「右に同じ」


 二人は、青空を見ながら普段の無駄な話をする。


「そういや、宿題はいいのか」


「関係ねぇーよ。勉強って、授業中に聞いて、理解していれば宿題なんていらないよ」


「ほんと、それを聞くだけで腹立つな」


「何だって?」


 秋一はちょっとムッとなる。


「こら、秋! 早く戻ってこい! さっさと宿題を終わらせるわよ」


 と、聞きなれた声が聞こえた。


「――と、ガールフレンドが言っているけど?」


「誰のガールフレンドだ?」


 秋一がそう言うと、どこからかテニスボールが秋一に向かって飛んできて、顔面に当たった。


「…………」


「ナイスコントロール」


 春馬は、軽く拍手をした。

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