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私は聖女になる気はありません。  作者: アーエル
第三章

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第43話



この村には『食堂』がある。

今までみたいに基本は家で食事をするが、特に昼、もしくは仕事終わりに『仲間たちと食事をして交流する』ようになった。そのための場として作られたのが『食堂』だった。


「外で仕事をするようになったのに、なんで疲れて帰って来たら『家呑み連中』に料理を作らなきゃいけないのよ!家に招くなら自分でもてなしなさいよ!」


「一緒に楽しんでると思って・・・」


「楽しむ?誰が?!自分の食事も作らせず。休ませもせず。やれ「酒が足りない。持ってこい。気が利かんやつだ」とか。「ツマミが足りない。早く作れ」とか。「置く場所がない。早く片付けろ」とか。誰か一人でも手伝った?食器を片付けたりしてくれた?何が「自分たちは客だから何もしなくていい」よ!・・・私はアンタらの奴隷じゃないわ!」


ある女性が限界を迎えて、旦那の職場に乗り込んでブチ切れた。

その職場は畜産加工業。ハムやソーセージを作る肉加工部門とカマボコやハンペンなどの魚介加工部門があるが、彼らは肉加工部門だった。

責任者が全職員を個別に呼び出し調査した結果、女性の旦那とその一味が判明した。彼ら&彼女らは「悪気はなかった」というが、あまりにも常識から逸脱していた。


そこで村内会議が(もう)けられた。

村の大人全員の前で暴露された彼らへの罰は厳しい物だった。


「一緒に暮らしていけない」


そう言ったのは女性だけではなかった。


「結婚を考え直したい」


そう言ったのは男性だけではなかった。


実家(いえ)に帰って来ないで」


そう言った両親もいた。


彼ら&彼女らは自分たちの職場が『住み込み』で新しく立ち上げる部門に詰め込まれることとなった。

・・・それが『食堂』。

彼らはウェイターやウェイトレスとしてホールで働きつつ、厨房で皿洗いや皮剥きなどの雑用まで休みなく働かされ続けていた。食堂は朝4時から深夜1時まで。1日3交代制で、仕事中は一切食事を口に出来ない。段取りも手際も悪くてそんな余裕がないのも理由の一つだが、仕事で疲れて帰って来た元・伴侶に食事を与えず自分たちの料理を作らせ続けた罰でもある。

そして数日に1回ある休みの日は寝て過ごしている。出かける位なら寝て過ごしたいのだ。


客に「酒がないぞー!」「早くしろー!」「ちょっと!料理まだー?」「空いた皿、さっさと片付けなさいよ。ほんと気が利かないわね」など、自分たちが言っていたセリフを言われても、言い返せず謝るしか出来ない。そしてやっと自分たちの言動を反省し、個々で女性に謝罪しに行った。

出来た頃と違い、今は段取りも手際も良くなった。最初の頃はわざと言われていただけだ。


『客に言われたらどう思うか』


それも招かれておらず、留守中に押しかけて勝手に飲んだり食べたりしていた自分たちに言われてどう思っていたか。

自分たちが『言われる立場』になって、初めて理解したようだ。


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