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私は聖女になる気はありません。  作者: アーエル
第三章

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第41話


応用学校は、基礎学校で基本を学んだ生徒が通える。そして教えられるのはレリーナが受け持つ薬学科などの専門学だ。

薬学科は、薬草の葉の形から薬草か毒草かを間違いなく見極め、葉や茎、根によって違う効能も覚えなくてはならない。ちょっとしたミスで人の生命を奪ってしまう、危険な学科だ。

そのため、『聖なるちから』の中でも『植物の意思(こえ)』が聞こえる人しか選択出来ない特殊な学科だった。


「やる気はあるんです!学ばせて下さい!」


「やる気だけで学べる学科ではありません」


『難関学科のひとつ』と言うことで、応用学校が開校する時は受験志望者が殺到した。しかし、そのほとんどが受験資格外だった。


「ほー。・・・『やる気はある』と言ったな」


「「「 はい!」」」


受験資格外だった者たちが集められて、レリーナに『如何に自分が優秀か』『やる気があるのか』を口々に訴える。それをレリーナの横で黙って聞いていたシンシアが口を開いた。


「だったら、基礎学校から学び直して来い!一次入試の結果で基礎が出来ていないために落とされたクセに、何が「自分は優秀」だ!「やる気はある」と言うなら、基礎学校に入学して子供らと一緒に基礎から学び直せ!」


シンシアの言葉に全員が口を閉ざした。出来ていないのは自覚していた。しかし集団で押し切って無理矢理にでも合格者に名前を追加させようとしていたが、『大人しいレリーナ』がここまで頑固だとは思わなかったのだ。

だいたい、受験したのも『特殊な職業に就けば結婚に有利』だと思っただけで、『人の生命を預かる責任の重い学科』だとは思っていないのだ。


「しかし、レリーナは若くして・・・」


「私は『聖なるちから』を持っています。そして幼い時から薬草学を学んできました」


「レリはな。お前らが遊び(ほう)けている間、ばーちゃんに薬草学を叩き込まれてきたんだよ。そしてお前らが甘い考えで入ろうと思っているのは基本になる薬草学と調剤の専門学だ。いいか。薬草と毒草は似たものが多い。しかし毒草でも使い方によってはクスリにもなる。その見極める目をお前らは持っているんか!それに、お前らが間違って処方した薬で患者が死んだらどう責任を取るつもりだ!」


シンシアの言葉があまりにも重く、男たちは全員俯いてしまった。


「もう一度言います。薬学科は『やる気』だけで出来るものではありません。シシィ・・・村長は幼い頃、私の真似をして摘んだ毒草を口にしてしまいました。だから危険だと言うのです。軽く考えて、確認もせず草を噛んで生死の境を彷徨ったから」


「あの時は『嗅いだことのある甘い匂いの草』だったから詰んで口にした。使う前に乾燥させて毒素を抜くと言うことを知らずに。嘔吐を繰り返し、森の中で倒れていたところをレリとばーちゃんが見つけてくれて。吐瀉物を見たばーちゃんがすぐに毒草を間違って噛んだことに気付いてくれたから助かった。ただし、完全に回復するまでにひと月はかかった。それから私もレリと一緒に薬草学を学んで危険を知った。いいか。『葉っぱを1回噛んだ』だけでそれだ。もしそれを薬として飲んでいたらどうなっていたと思う?」


シンシアの実体験を聞いて青褪める男たち。中にはガタガタと震えている者もいる。


「もう一度だけ言っておく。やる気だ何だって言葉は必要ない。『自分の小さなミスで人が死ぬ』ということを理解した上で、その責任を背負う覚悟があるのか。・・・もう一度よく考えるがいい」


30人いた男たちのうち基礎学校に入学希望を出したのは8人。彼らはシンシアの言葉を聞いて、「子供たちがシンシアのようになった時に救える基礎知識が欲しい」との意思から入学を決めた。

8人は午前は基礎学校で勉強し、午後から応用学校で薬草学を学んだ。そして、全員が基礎学校を卒業後、応用学校の薬学科に進学した。


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