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私は聖女になる気はありません。  作者: アーエル
第二章

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第26話


神官の話にその場にいた誰もがナシードを見た。ナシード以外、この村の住民なら『似た話』を知っている。

いや。それが村で一般的に伝わる話だ。



むかしむかし。

聖なる泉が湧くこの地に、魔物の襲撃から逃れてきた幼い王子が二人いた。

兄弟は毎日、城に残った父たちや国民の無事を泉に祈り続けた。

そんなある日。

いつものように泉に祈りを捧げていた弟王子が光り輝き、国中の魔物が浄化されていった。


安全が確認されて全員が城に戻れる日の朝、弟王子が言った。

「この地に残る」と。


弟王子は光り輝いた時に神から『聖なるちから』を与えられたことに気付いた。


「ここは『神聖な場所』。だから『神さまから贈られたちから』は、ここで使うのが一番いい」


弟王子の言葉を聞いた兄王子は、一緒に残ることを選んだ。

弟王子と仲の良かった兄王子は、離れることを拒んだ。

二人と共にこの地へ逃げてきた人々も、同じく残る道を選んだ。


兄弟王子は、人々と共にこの地に村を作った。

神の恵みを受けたこの地は、村を豊かにした。

村が出来たその年は、まず家を建てることと田畑を耕すことから始まった。

翌年はすべてにおいて実り多き豊作だった。

人々は穀物倉庫を作って穀物を貯めて、一年を掛けて消費していった。

三年後から畜産が始まった。

餌となる穀物が十分あり、わずかだった動物たちは繁殖して増えていった。



王様はこの村を『神に守られし村』とし、一切の課税の対象外とした。

噂を聞きつけた者たちが村へ押しかけたが、私利私欲で向かった者たちは村へ辿り着くことはなかった。

救いを求めて逃げ込んだ者は村へ辿り着いた。


兄王子は村長となって人々を導いた。

城から贈られる本を読んで勉強した。

弟王子を守るために。

そして、自分たちと共にこの地に残った人たちを後悔させないために。


弟王子は薬師となって人々を癒した。

薬だけでなくお菓子なども自分で作って皆に配った。

人々はお礼に小麦粉などを届けた。

お金ではなく『まごころ』で支払った。


この村にお金は必要なかった。






「・・・その物語には一部史実と違うところがある」


ナシードは『村に伝わる物語』を聞き終わるとポツリと言った。


「ああ。実際は『弟王子』ではなく『王女』なんだろ?」


そう。『オーラル王子とスターリン王子』となっているが、実際には『スターリン王子』ではない。オーラル王子の双子の妹『エブリスタ王女』だ。

当時、双子は『()()』として一部の者たちに嫌われていた。魔物の襲撃で警備が薄くなったところを王城から連れ出され、双子は『人身御供(ひとみごくう)』として魔物の蔓延(はびこ)る地に置き去りにされた。それに気付いた騎士たちに救われ、南へ(のが)れたのだ。



「・・・知っていたのか?」


「いや。だがレリの家系では、『聖なるちから』が現れるのは女性だけなんだ。今度生まれるのは双子だ。男児でも『聖なるちから』を使えるかも知れない。・・・そう思っていたんだが」


「・・・私が『聖なるちから』を受けた可能性があるのか」


「失礼ですが・・・。レリーナと同じ『ちから』か分かりません。レリーナの『聖なるちから』自体、レリーナの祖母(オルスタの聖女)とは違うものです」


そう。レリーナの祖母レイオンは『治療』に特化していた。だがレリーナは『夢見』に特化している。また、確定してはいないが、ミリアーナは『声なきものと言葉をかわす』能力を見せている。レリーナのお腹の中にいる双子と意思疎通しているのだ。ただ動物の声は聞こえておらず、植物も森の木々が対象のようだ。



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