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私は聖女になる気はありません。  作者: アーエル
第二章

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第19話


家畜の数より少ない村民500人に満たない小さな村の中央にある小さな家。

その小さな家に、明るい笑い声が聞こえる。この家に生まれた小さな生命はすでに4歳になり、毎日遊びに来る同い年の親友と家の前で遊ぶのが日課になっていた。

そんな二人の見守りは祖父のジュードと祖母のニーナだ。

そんな家にこの村の住人ではない男性が近付いて来た


「やあ。ミリアーナ。今日も可愛いね」


「あー。ヘンなひと」


「パパー。『おかしなひと』がまた来たよー」


ミリアーナと呼ばれた少女が家に向かって大声で父親を呼ぶ。

子どもたちの言葉に間違いがないため、ニーナもジュードも苦笑するしかない。

この男性の名前が『ナシード・ヘルミーナ』。

幼い子どもたちは名前が言えず『ヘンなひと』と呼んでいる。

このオルスタ村のあるアストリア帝国。その新しき国王だ。

そして、最近は村に来るときは、子どもたちのためにお菓子を持ってくる。

そのため『お菓子なひと』とも呼ばれている。


「オレの娘に手を出すな。『節操なし』」


「まだ生きていたのか。レリーナ嬢と可愛いミリアーナのことは私が引き受けよう。思い残す事なく早くくたばれ」


「うるさい。何しに来た『用なし』」


シュリが悪態をつくが、これは仕方がない。

初めてこの村に来て、村長に新王として挨拶に来た。

そしてレリーナに挨拶に来たのだが、その時レリーナに求婚したのだ。

レリーナが新婚とは知らずに。

シュリにしてみれば、新婚家庭の妻に求婚なんて許せるはずもなく。

さらに、元領主ダントンを思い出した村民たちから村を追い出された。

そして新年。再び訪れたこのナシード王は、軽い挨拶としてレリーナに求婚している。

どうやらそれはシュリを揶揄うためでもある。


ナシードは村を追い出された後に、王城に戻り、改めて『オルスタ村』の調査を始めた。

そして元の領主、ダントンの奇行を知った。

自分の言動を恥じ、村長に自筆の謝罪文を送った。

今では娘のミリアーナにまで声をかけるため、シュリの心配は尽きない。

しかし、最近はシュリも応戦するようになった。

二人は歳も近く、良い関係を作っている。


「あら。いらっしゃい」


レリーナが家から出ようとしたが、それをシュリが止める。


「やあ。レリーナ。相変わらず君は美しい」


「人の妻に懸想するな」


「事実を告げただけだ」


ナシードの言葉にシュリは眉間にシワを寄せる。


「次の子はそろそろ生まれる頃だったか?」


「予定は来月だ」


「私はレリーナと話したいのだがな」


「ゆっくりするな。さっさと『見回り』に行くぞ」


シュリがガーデンテーブルに座ろうとするナシードを掴んで止める。


「私は国王なんだが?」


「それがどうした」


「国王に対してこのような態度を取って、許されると思っているのか?」


「この村では許される」


このやりとりもすでに何百回目だろうか。

村に来る度に、このやりとりを繰り返しているのだ。

やれやれと息を吐き「じゃあ行こうか」とシュリに声をかける。

シュリがレリーナに軽く口づける。


「じゃあ行ってくる」


「いってらっしゃい」


「レリなら私たちが一緒にいるから大丈夫よ」


ニーナに言われて、シュリは頷いてもう一度レリーナに口づけてから、レリーナの手の甲に口づけようとしたナシードの首に腕を回し、そのまま引き摺って行った。


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