表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は聖女になる気はありません。  作者: アーエル
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/43

第15話


「神官長。今までありがとうございました」


オルガは神官長に頭を下げた。深く深く。感謝を込めて。

幼い頃からずっと守ってくれた『父親』ともいえる人。そして、『家族』として無償の愛を与え続けてくれた人。


「これからどうするつもりですか?」


「オルスタ村に向かい、エイギースの悪事を止められなかったことを謝罪してきます。その後はまだ決めていません」


「・・・そうですか。オルガ。あなたに神のご加護があらんことを」


「神官長も。どうかお元気で」


オルガは部屋に戻り、纏めてあった荷物(トランク)を手にするとそのまま部屋をあとにする。

そのまま神殿を出ると、広場に荷馬車が止まっていた。


「オルガ殿。オルスタ村に向かわれるとお聞きしました。私どもは元・ダントン領の領都であるセタ(せた)に向かい『王領地』になったことを領民に伝えに行きます。ご一緒して頂けますか?」


「・・・良いのですか?」


「はい。間違いなく『王都を出た』ことと『何処へ行ったか』を証言するためにも、ご一緒して頂けると助かります」


『いい口実だ』とオルガは思った。

そして、これは神官長がオルガに出来る『最後の優しさ』だった。


「それではお願いします」


オルガはそう言うと、神殿に向けて一礼してから荷台に乗った。彼の姿を、神官長は静かに見送った。




アストリアは帝国だ。しかし、元は『王国の集合体』だ。

そのため、帝都ではなく『王都』。

そして『皇国領』ではなく『王国領』。

『皇室』ではなく『王室』なのだ。

唯一『皇帝』の存在が、この国が『帝国』だと証明していた。


戦乱に疲れた各国が歩み寄り、世界に平和が訪れた。

そういうと『メデタシメデタシ』で終わる物語のようだが、実際は各国共に疲弊し、流民(りゅうみん)が溢れた。

流民と国民が少ない食料と豊かな土地を奪い合い、(いか)りの矛先は領主へ。そして王族へと向かった。

一国で内乱が起きると、連鎖で他国でも内乱が起きていった。

自国でも内乱が起きるかも、と慌てた国々が戦争を止めて国内に目を向けた。そして『暫定的』に出来たのが『帝国』だった。

もちろん。安定した国は『帝国』というコロニーから抜けようとした。

しかし、それはふたたび『戦乱の世』が訪れる前触れだとして、鎮火したはずの内乱の炎が(くすぶ)りだした。

結局、どの国も帝国から抜けられず、それでも『王国の名残り』を残したがった。

それが『帝国なのに王国』という不可思議な帝国が出来上がった。




オルスタ村を訪れたオルガは、まずは神殿に足を運び神官と共に村長の家へ。そこでエイギースの処罰が伝えられた。

そして、詳細を村人には伝えず、ただ『処罰を受けて、二度と神殿から出て来られない』ことだけを知らされることとなった。

それから、村長と神官が同行してレリーナの家に向かい、レリーナを怖がらせないように玄関の扉越して謝罪した。

家の中では、レリーナと共に村長の娘のシンシア。そしてシュリが付き添っていた。

レリーナに『なにか』あれば中断させるためだ。


「貴方はこの村の神官として残るのですか?」


「いいえ。私は指導者として不適切と判断され、神官をクビになりました」


「・・・これからはどうされるのですか?」


「私はすでに家族も帰る場所もありません。ですが、まず先に貴女へ謝罪をするべきだと思い、ここまで来てしまいました」


『家族がいない』


それはレリーナも同様だ。

自分と重ねているレリーナに気付いたシンシアは、レリーナが気持ちを整理する時間を与えてほしいと頼んだ。


宿のないこのオルスタ村で滞在する場合、神殿の部屋を借りる。しかし、神官職を剥奪されたオルガに神殿は辛いだろう。

レリーナとシンシアのその優しさから、村長宅の客室があてがわれた。


オルガは自身を『客ではなく居候』といい、早朝から村人と共に行動してきた。

田畑で土に触れ、牧場で動物の世話をして汗をかいてきた。

そんなオルガを自分の目で見て、話を聞いて、レリーナは許すことにした。

村人は、身寄りがないオルガを村に住まわせた。

そして『知識と教養の高さ』から、村長の仕事を手伝うようになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ