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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
9/68

探索者証


 ダンジョンを出て、受付で合格証を貰って市役所に向かう。

 ダンジョンから出た際、父さんに話し掛けようかと思ったけど、仕事の邪魔をしては駄目だと声は掛けなかった。


 市役所に着き、市役所全体の受付で用件を伝える。


 「すみません。探索者資格を取りに来たのですが、窓口は何処ですか?」


 「探索者資格試験を合格なさった方ですね。2階の奥に窓口が有りますので、そちらへ向かってください」


 「わかりました。ありがとうございます」


 言われた通り2階に上がって奥に行く。そこには大きく『ダンジョン課探索者資格』と書かれていた。人は並んでおらず空いており、今ならすんなりと受付をしてもらえそうだ。

 そこへ行き、合格証を見せる。


 「探索者資格証を取りに来たのですが、窓口は此方で間違いないですか?」


 「大丈夫ですよ、此方で合っています。

 探索者証を取りに来たのですね。では合格証は確認いたしましたので、お手数ですが身分証の提示をお願いします」


 「保険証でも構いませんか?」


 「構いません」


 俺は保険証を財布から取り出して窓口のお姉さんに渡した。


 「確認いたします。


 ……加藤孝則様ですね。確認いたしました。では写真を撮らせていただいてもよろしいですか?」


 唐突に写真と言われて驚く。


 「写真、ですか?」


 「今後探索者証は運転免許証のような身分証になりますので、所有者の顔写真をカードに載せることが義務付けられています。ですので本来であれば写真のご提示をお願いするのですが、見たところお持ちでないようなので、初回に限りこちらで撮らせていただこうという配慮でございます。


 写真をお撮りしてもよろしいですか?」


 「あ、お願いします」


 そういう事なら、撮ってもらう方が早い。俺は快諾して写真を撮ってもらう事にした。


 写真を撮り終わり、「ではこの写真を元に探索者証をお作りいたしますので、しばらくお待ちください」と言われたので待つ。


 それから5分ほどして「加藤孝則様、受付へお越しください」と言われたため、再び受付へと向かった。


 「こちら保険証をお返ししますね。それと、おめでとうございます。こちらが加藤様の探索者証になります」


 そう言い渡された物はキャッシュカードのような、俺の顔写真の載ったカードだった。

 我が顔ながら、ふてぶてしい表情(カオ)をしている。

 顔写真の上には『探索者証』と書かれていて、それ以外は裏に住所が書いてあるくらいの簡単なカードだった。


 「なんでキャッシュカードみたいなんですか?」


 「今後探索者様方がダンジョンで取ってきた物を売買するときに使えるキャッシュカードとしての機能も有るからです。今後は潜ったダンジョンで手に入れた物をダンジョン入口の査定所に出していただき、その品に合った金額が探索者証に振り込まれます。

 ですので、身分証も兼ねていますので絶対に失くさないでください。紛失した場合、すぐに市役所に届け出てください」


 「わかりました。丁寧な説明ありがとうございます」


 俺はお礼を言って帰ることにした。


 家に帰り、自室で寝転び自分の探索者証を見る。

 自分のふてぶてしい顔写真を除けば、思わず口許が緩むほど嬉しいものだ。


 その日俺は、ウキウキ気分で何時間か探索者証を眺めたあと、自室のダンジョンに籠るのであった。




 市役所の窓口の名前なんて市役所に普段行かないからわからない……。



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