【硬化】のダンジョン攻略
今回この作品にしてはかなり長いです。
9月5日。取り敢えず第5階層を周回した。指輪の更なる検証と蛇との戦い方を体に覚えさせる為にだ。
流石に大蛇の酸の毒液は素手で触るの恐かった。恐かったけど指輪有り無しの2回触った。結果、無しで触れた爪先は完全に溶けた。有りで触ったら普通に水みたいに掬えた。どうやらこの指輪はかなり強い耐毒性能が有るらしい。
そのまま9月5日は丸々1日第5階層のボスを周回して地力を付けた。ソレを1週間続けて9月13日。第6階層に挑んだ。
第6階層を一言で言えば平原だった。ただ太陽は昇っておらず、代わりに真っ白な三日月がシンと平原を照らしてる場所だった。
「なんか不気味だな……」
これまで俺が見てきたダンジョンの階層とはまた一風変わった階層だ。いつもの階層毎の待機場所を抜けた先に広がっていた光景は、不気味ではあったけど同時に神秘性を感じる綺麗な光景で思わず息を飲む。
『平原』であるわけだから、当然敵モンスターについても視界に入ればすぐに捉えられる筈だと思う。というか思いたい。
そんな想いを胸に足を進める。
取り敢えず階層の反対側に出たいと思い、何も考えずに真っ直ぐ進んでみる。
平原に生える草は長くても脛ぐらいまでで、その長い草もそんなに無い。本当にただの平原だった。
しかし進めど進めど一向に景色が変わる様子はなく、敵も現れる気配はなかった。
そうして進んで行く内に、気付けばこの階層の入口にまで戻ってきてしまった。
なんで階層の入口とわかったかはアレだ。調子に乗って階層移動しようとしたら第1階層の待機場所に飛ばされたからだ。
「なんでだ?」
理由を考えてみる。考えられるのは2つ。1つは目に見えてないだけで実は迷路だった説。真っ直ぐ進んでたつもりで、実はダンジョンの不思議パワーで入口に戻された可能性は十分に有ると思う。
もう1つは、実は相手を惑わせる力を持ったモンスターに誘導されてる説。これは瑠璃に聞いた話にあった夢魔とかいうのとか、妖精や精霊みたいな、とにかく相手を催眠状態にして自分の思い通りに動かす系の敵の気がする。
瑠璃から教わったゲームとかの知識で考えればそれぐらいか。
瑠璃の言葉通りに考えるなら、完全催眠とかいうのでなければ抵抗を覚える方向に進めば良いって言ってた気がする。
なんの手掛かりも無い。なら、瑠璃の知識を頼ってみるのも有りだな。
ってなると、抵抗を覚える方向……嫌な感じのする方向……。
そう考えつつ再び真っ直ぐ進んでみる。
するとすぐに抵抗を覚える場所に着いた。例えるなら、こう……、何も無さそうだけど夜になると物凄く暗くて恐いから昼間でもあんまり近付きたくない場所……みたいな抵抗感。それが進行方向右斜め前から感じる。
すぐに確認しに行きたい気持ちをグッと抑え、そのまままた真っ直ぐ進んでるつもりで進む。
そうして入口に戻ってくるまでに数度、毎度右斜め前から抵抗感を覚えながら進んでいくと程なくして入口と思わしき場所に戻ってきた。
抵抗を覚え始めた場所は毎回右斜め前からで、真っ直ぐ進んでるつもりで進めば進むほどその抵抗感は増していって、進んでる途中で抵抗感は右斜め前、右横、右斜め後ろと感じる方向が変わった。抵抗を右斜め前に感じる度にその抵抗感を覚えて右横になる度に物凄く、今すぐここから離れたいみたいな感情が強くなったから、恐らく真っ直ぐ進んでるつもりでグルっと左回りに移動させられたらしい。
ってことはだ、この階層は嫌な感じのする方に進めば何かしらの手掛かりが掴めるってことが確定した訳だ。
何が有るかわからないけど、この何も無い平原だけの階層を思えば行くしかない。
進み、嫌な感じのする場所に辿り着き、その先へ突き進む。すると、ある地点からなんだか膜のようなものに全身が包まれる感覚と共に景色が一変した。
先程までをのどかな平原と揶揄すれば、今目の前に広がる光景は地獄だ。その辺に無造作に転がるのは大小様々な何かの骨。教科書優しさ図鑑で見たような人間の頭蓋骨のようなものまである。
視界を地面から少し上げれば、周りは血塗られた岩や木が有り、その模様とも言えるものは何かの顔にも見える。
更に視界を上へと上げれば、空は青色という概念そのものが無くなったかのように赤く、今にも血の雨が降って来そうだった。
そしてそんな地獄を連想させる場所には俺の手ぐらいの大きさの羽の生えた小さな人型が何体も居た。姿から妖精だろうか。
ソイツ等は何かを話していて、何を言っているのかはわからないけど、少なくとも俺を嗤っていることだけはその様子からわかった。
俺の此処までの経験上、そして瑠璃からのレクチャーのことを思うと取れる行動は1つだった。
俺は相棒を力強く握り、1番近くの仮称妖精へと近付き、射程圏内に入ったと同時に相棒でその体を横からぶん殴った。
それだけでその妖精とその近くに居た妖精達はとても子供に見せることの出来ない崩れ方で破裂し息絶えた。
それと同時に、仲間のそんな姿を見た他の妖精共は一斉に光る何かを飛ばして来た。
身の危険を覚えたからすぐにその場から逃げる。
普通に回避成功したが、俺が先程まで居た所に着弾したその光は地面を大きく破裂させ、中には斬り傷みたいな跡を残して、俺の居た場所をちょっとしたクレーターに変えた。
その威力に口の端がヒクヒクと動いたことが自分でもわかった。そして妖精達がどんな攻撃をしてきたのかもわかった。
「此処に来て魔法かよ!!」
近付くのは危険。でも俺は近付かなけりゃ攻撃を当てられない。
いや、腕輪や相棒を伸ばしての攻撃は出来るけど、伸ばしてる間は正直俺が無防備になる。
あーだこーだ、そんな余裕も無い筈なのにそんなことを考えている間に第2波が飛んで来る。
「あークソ!クソッタレ!!やってやるよ!!」
飛んで来る色とりどりの魔法避ける。避けられないものは相棒で殴るなり傘みたいにした相棒で防いだりして1番近くの陽性の許へ一直線に向かう。そして手の届く範囲に入った所で奴等を掴み、思い切り握り締める。それだけで手の中に嫌な感触が広がるが、それを気にせず相棒を奮ってまた2匹3匹と屠って行く。
何度か魔法に被弾したけど、そんなに痛くなかったからそれに気付いてからは顔だけ防いで、後はいつも通り蹂躙した。
そうして最初に入った所の安全の確保が終わった。もう俺に敵対的な行動をしようとする生きてるものはいなかった。
辺りを見回し、何かないか探す。
すると奥の方に光る何かが有った。それはピンポン球ほどの大きさで、手に取ると何か文字のようなものが浮かび上がってきた。意味はわからない模様だったが、何故かそれが『3』と書かれている気がした。
それを認識すると、この地獄のような場所から一変し、元の草原のものへと戻った。
「これを繰り返していけってことね」
そこからの第6階層は作業だった。次に入った場所は、やはり地獄のような場所だったが水場が有り、そこに書かれていた数字は2だった。
その次は火山を連想させる場所で、ここでは1だった。
その次は最初の場所と似たような場所だったが、どちらかと言えばこちらは地中を連想させた。そしてこの4ヵ所目からは4と書かれた数字の見つかった。
これ等を持って、最後の1番抵抗感の強い場所に行くと景色はこれまでのものを更に凶悪にしたような光景が広がっていて、中心には人より少し小さい大きさの妖精が2体居て、それぞれが白と黒を連想させる見た目をしていた。そしてその周りには、俺がこの階層で今まで相手してきた妖精たちがうじゃうじゃと居た。
「うわめんど」
この時思わず口から洩れたが、でもやらないと此処から出られないのも事実だった。だからやった。やりまくった。
時計を確認したら10分程度で終わっていた。第6階層の報酬は何かの珠で、触れると同時にその珠は俺の中へと消えて行った。これが何かはわからないから後で瑠璃に聞くことにした。
その他のアイテムは恐らく妖精の羽根だったり階層主の珠より少し小さい珠が出た。小さい珠は最初に触れた青みがかった珠は触れたら消えて、後は残った。余った分はリュックに全部入れて受付に持って帰った。
受付ではまた色々問い詰められたが、「言いたくないです」「固有財産の侵害です」「それ以上しつこく聞いてきたら迷惑行為及び強要罪で訴えますよ」でゴリ押した。持つべきは役所勤めの父だな!
珠は受付で渡したら俺が触った時みたいに消えなかった。ダンジョンの外と中で何か違いがあるのか?
家に帰って珠のことを瑠璃に聞いたら、「魔法のオーブじゃないソレ!?お兄ちゃん魔法使えるようになったの?!良いな良いな!見せて見せて!!」と大興奮。
俺も魔法が使えるようになったかと思って早速【変化】のダンジョンに入って色々試した。
わかったことは、俺は水・光という2つの属性の魔法を使えるようになっていた。瑠璃曰く、光はボス報酬で水属性は周りに飛んでいた妖精たちの珠が原因じゃないかって言ってた。周回したら闇属性に対応した珠が出るんじゃないかって言ってた。第6階層の周回をすることがこの時確定した。
その他は、魔法を使うと球状の光る球が手の先に出て来て、瑠璃曰く「ボール系の魔法だ!」だそうだ。俺にはよくわからんと伝えると「夕飯の後にしっかりレクチャーしてあげる!」と鼻息荒く言われた。魔法は使うと腕輪を使った時の疲労感と似た物を覚えた。瑠璃曰くMPを使ってるとのこと。しかも腕輪を使った時よりも疲労感がしたから、魔法は使い所を考えないと駄目そうだ。まぁ、瑠璃にすぐに「使い続けた方が疲労感に慣れるかMPの保有量増えるかもよ!」と言われた。試してみる価値はありそうだ。
そうやって体感1時間ぐらい【変化】のダンジョンで過ごしていたら、帰って来た父さんが登場。
「いい加減ご飯を食べに戻って来ないとそろそろ倒れるんじゃないか?特に瑠璃」
父さんに聞くと、既に外では5分も経っていたらしい。つまりこっちだと5時間だ。
5時間という時間を認識したためか、一気に俺たちに疲労感が押し寄せた。結果瑠璃はその場から動けなくなり、俺が運ぶこととなった。
当然夕飯の席では兄妹ともに母さんにしっかりと怒られた。
そんな第6階層の攻略の翌日は再び第6階層のボス周回を行った。それはもう、瑠璃曰く闇の珠が出るまで頑張った。
ただ1週間ぐらいやったけどアイテムは変わらず、瑠璃に相談したらも「初回限定特典だったんじゃない」って言われた。俺の苦労を返せ。
1週間後の9月14日からは第7階層の攻略に移った。第7階層は熱帯雨林といった感じで、雨が時々降ったり降らなかったりする場所で、出て来るモンスターは蛇や蟲など、まさに南アジアとかのジャングルで出て来そうなモンスターがうじゃうじゃ居た。
コイツ等をとにかく殴って潰して、斬ってバラして、たまに魔法で鎮めて殺した。
魔法で窒息死させると、驚いたことに死骸がそのまま残った。この情報だけは開示しようと決めた。
そんな第7階層のボスはコーカサスオオカブトとヘラクレスオオカブトを混ぜたような俺ぐらいの大きさのデカいカブトで、コイツの頭と胴の節に相棒を突き立て両断することで無力化し、それでも生きてたからその硬い甲殻に何度も相棒を振り下ろすことで殺した。
報酬はローラースケートとかのガードみたいなもので、腕用だったためジャージの下に仕込むことにした。
第7階層も1週間ほど費やしてしっかりと慣れて、9月21日。この日から第8階層の攻略を行った。
この階層を一言で言えばこれまで同様の森だった。違うとすれば、蛇の奇襲を受けたり、何処からともなく魔法が飛んできたり、蜘蛛の糸のトラップが有ったり、地中からモグラや蟻に奇襲を受けたり、ゴブリンの集団が居たり、蟲の鋭い突進の奇襲を受けたり、これまでの階層全てのモンスターが侵入者である俺を殺そうと襲って来た。
強さはこれまでの階層と感覚的には同じだったためサクサクと殺した。
そんな第8階層のボスは犬で、いや顔がかなり攻撃的な印象を受けるから狼か。ボス狼とその取り巻きがパッと見20匹ぐらい居た。
狼で1つの群れだったため連携が果てしなくウザかった。ボスを攻撃しようとすれば取り巻き5匹ぐらいに集られ、取り巻きを攻撃しようとしたらボスと他の取り巻きたちが襲って来て攻撃をなかなか当てられなかった。
途中でキレて、相棒をクソ長い剣にして思いっきり横に薙いだら10匹ぐらいが上と下に分かれてとてもグロテスクなことになってた。
狼たちはこれに警戒して付かず離れずのヒット&アウェイ攻撃を仕掛けてきた。ただそれだけ数が減って、尚且つ1匹1匹の感覚が空いていたならこっちのもの。全力で近付いて、こっちこそヒット&アウェイで1匹ずつ殺していって、最終的にボスも脳天ぶっ叩いて殺した。
報酬は何かの笛で、いまいち使用用途はわからなかったが、取り敢えず戦利品の私物として家に持ち帰った。
瑠璃に聞いたら「狼系統のモンスターを召喚するか使役することが出来るんじゃない」とのこと。「モフモフしたいから私の分も取って来て!」という戯言を無視してその日は寝た。
こんな風に、それぞれの階層を1週間掛けて攻略していった。
第9階層は第8階層の上位版といった感じで狼も追加され、ゴブリンなら弓や魔法を使う奴が現れたり、妖精なら複数の属性の魔法を放ってきたり、狼は牙と爪がより鋭くなっていた。
そんな第9階層のボスは人の身長ぐらいのゴブリンで、何かの革で出来た鎧のようなものを身に纏っていて、刃毀れしているようにも見えるが普通に人間の肌なら斬れそうな抜き身の剣を持っていた。周りには第3階層で見た戦士といった様相のゴブリンが8匹ほど居た。
取り巻きたちは相棒で一刀両断で斬り伏せることが出来たが、ボスは大変だった。俺には無い所謂剣の技術を持っていて、俺の攻撃の悉くをいなされ躱され反撃された。技術が凄まじくて全く攻められず、逆に相手のゴブリンの攻撃は俺に当たれど全く傷にもならなかった。流石に首や目を狙われた時は袖でガードして防いだ。その時に皮膚に当たったけど傷1つ付かなかったけど、急所に来たら恐いもんは恐い。
ボスゴブリンとの決着は、ボスゴブリンのスタミナ切れによる技のキレ低下によって俺の攻撃が届いたことで終幕となった。
報酬は剣だった。ボスゴブリンの使っていた剣だった。その剣を使ってそれから1ヶ月間このボスゴブリンのその技術を盗んで物にしようとボスゴブリンの許に通った。瑠璃に聞いたらこのボスゴブリンはホブゴブリンというらしい。
ホブゴブリンとの戦いはとても有意義で、魔法の練習にもなったし、何より付け焼刃だろうけど剣の技術が身に付いたように思う。
1ヶ月後の10月29日に第10階層に挑んだ。第10階層はダンジョンのエレベーターで行ける階層の最終階層で、つまりダンジョンボスの居る階層だった。
第10階層は洞窟タイプだった。しかしかなりその通路の天井は高く、それだけで何かとてつもなく大きいボス出て来るであろうことがわかった。
洞窟内は迷路のように入り組んでて迷うこともあったがなんとかボスの居そうな所に辿り着くことに成功。ボスは豚面で大型トラックぐらいある棍棒を持っており、体長はパッと見大人の2.5倍ほど。流石に俺もこのモンスターが何かはわかった。オークというモンスターだ。周りには取り巻きの第9階層のホブゴブリンが12匹ほど居た。前衛8、後衛4だ。
オークと目が合うと同時に奴は大きく吼えるその爆音ともいえる咆哮はこの洞窟内全体に響き渡ってるかのように轟いて、思わず両手で耳を抑えてしまった。
そんな隙を奴等が見逃す筈もなく、弓を持ったホブゴブリンと杖のような物を持ったホブゴブリンからは魔法が飛んできた。
耳を抑えながら足は動かして取り敢えず矢と魔法から逃げる。逃げた先には既に剣や槍を持ったホブゴブリンが待っており、各々が持つ武器で俺に攻撃してくる。まだ耳は痛いが流石に耳から手を離して相棒で剣や槍を振り払う。それだけで剣も槍の柄も中ほどで折れ、武器の無力化が出来た。武器を折ってホブゴブリンへ向け右手からは光の魔法を、左からは腕輪の糸を出すことで追撃して着弾を確認せずにその場から離れる。
離れた先に居たホブゴブリンへ向け糸を飛ばして牽制し、それを防がれてる間に更に距離を詰めて斬り伏せる。間髪入れずに別の個体に伸ばした相棒を心臓辺りに突き刺して斬り払い、地面に切っ先が着いたらそれを軸に方向転換。弓を持っている奴や魔法を放ってくる後衛に詰め寄る。そして【硬化】した腕や脚による殴る蹴るで牽制して、頭を掴んで短剣ほどにした相棒を首に突き刺したり、胴体から離れた頭を別の奴に投げて間を作り弓の弦を切る。切ったら魔法を使える奴目掛けて腕輪の糸と相棒を伸ばしてトドメを刺そうとする。
しかしそこで俺の上に影が掛かる。後衛が居るのはオークの近くだったため、そのオークのデカい棍棒が俺の頭を振り下ろそうとしている所だった。タイミング的に回避は無理そうだったため相棒を巨大蜘蛛の時のような大盾に変えて衝撃に備える。
途端来る衝撃。地面に抑え付けられるような衝撃が身体を襲う。一拍置いたらまた来る衝撃。それをジッと収まるのを待つ。大盾の構えてない方からはまだ仕留め切れていなかったホブゴブリン達が俺に攻撃を加えようと、仲間だった奴等の武器を持って攻撃しようとしていた。そいつ等には腕輪から糸を出して、とにかく当てて攻撃されない事に注視した。
オークからの攻撃が止む。それと同時にオークへ向けて突進する。突進が当たるまでに大盾の表面を棘のスパイクになるように【変化】させる。その直後には突進がオークのどちらかの脚に当たり、再びオークの咆哮が辺りに響き渡る。
耳にその大音量が鳴り響きまたも耳を塞ぎたくなるほど煩かったが、我慢して大盾で防いでる時に俺を攻撃しようとしていた取り巻きの処理に専念する。残っていた取り巻きの数は残り6体。魔法を放とうとしてきている個体が1体、残りは刃折れや槍の先を拾って来たんだろう個体が5体。前衛とも言えるこの5体の内の1体は他の4体より体つきが軟く見えるから恐らく弓を持っていた個体だと判断出来た。弓を持っていたであろう個体と魔法を撃ってこようとしてる個体たちには右手で魔法、左で返しの付いた糸を移動しながら放ち、相棒をバットの形状に戻して横薙ぎに振るう。魔法は見事に当たって魔法を使う個体を吹き飛ばし、糸はホブゴブリンの身体に刺さった。糸の方はそのまま握って手前に引いて鞭のように振るう。少し重かったがそれだけで簡単に糸が刺さった個体は浮き上がり、残りの4体を巻き込む。糸は鞭のようにしなりつつ、遠心力で殺傷能力が有ったのか4体の体をいとも簡単に斬り裂き、真っ二つにした。
ホブゴブリンの付いた糸はそのまま使えそうだったため、そのまま鞭として使う。鞭の先端のホブゴブリンでこっちに向かって来ていたオークを打つ。しかしその攻撃はオークの持つ棍棒による振り払いで簡単に防がれて、ついでにホブゴブリンの肉が抉れて簡易鞭の体を為さなくなったから糸は即座に手放し、迫り来るオークの顔面目掛けて牽制に光の魔法を放つ。オークがこれを回避するなり防ぐなりするのを見届ける前に距離を詰める。距離は一瞬で詰まり、俺はオークの背中側に移動出来た。そこからオークの背中に糸を発射し、それを足掛かりにオークの背中を駆け上る。そして頭に辿り着くと同時にその脳天に本来の形の相棒を叩き込んだ。
オークはその場でたたらを踏んで、そのまま前のめりに倒れる。もしかしたら脳震盪か何かを起こしたのかもしれない。そんなオークの背中から首の方へと登って行き、うなじにオークの首ぐらいの長さにした相棒を突き刺した。
オークも抵抗しようとしていたが、身動ぎ程度で、このダンジョン最後のボスとの戦いはあっけなく幕を閉じた。
かなり駆け足でしたが攻略とさせていただきました。




