第5階層主-後編-
お待たせいたしました。後編になります。
Twitterにてアンケートを取っています。あくまで参考程度にする予定ですが、今後の今作の更新内容に大きく関わるアンケートになっていますので、お手数ですがご協力くださると大変嬉しいです。
ご協力お願いいたします。
TwitterID:@arakikara_creat
【硬化】については以前、猿渡と潜った時に試した以外はジャージの強化目的でしか使ってない。だから攻撃には使ったことがない。
もしも瑠璃の好きなゲームなんかに有るスキルレベルなんてものが有ったらかなり困るけど、その時はその時だ。
相棒に【硬化】を使う。ダンジョンに潜ってるせいで馬鹿みたいに強化されて、本来の金属バットとは別物になった相棒に、更に硬さって攻撃力を加える。
成功するかどうかなんて知るか。てかわからん。ただ1つ言えることは、少なくとも相棒本来の形で殴ることに変わりはない。
目の痛みが落ち着いたのか辺りをキョロキョロする大蛇の後ろから駆け寄り、近くまで寄ったところで力一杯跳び上がる。
狙うは脳天。どんな生物も脳ミソ潰したり揺らしたらしばらく動かなくなる。
俺の体が跳び上がりの最高到達点。大蛇の体のほぼ真上に着いたタイミング。大蛇が突然大口を開けて俺へとその頭を向けてきた。
なんで気付いた?とソコまで考えて思い出す。蛇の一部の種類にはサーモグラフィみたいなピット器官とかいう便利器官が有ることを。
コイツ、ピット器官持ちかよ!
内心そう悪態を吐くが、自然落下を開始した体を動かすことは無理だ。なら、なんとか目の前に迫る大口を避けるしか防ぐ方法は無い。
迫る大蛇の大口。その上顎、ちょうど大蛇の鼻っ面目掛けて相棒を振り下ろす。
「オラァァアアアアア!!」
幸い、大蛇の上顎、その外から叩き付けることに成功し、そのインパクトの衝撃を使って無理矢理体を大蛇の脳天の方へとテコの原理を意識して力業で移動させる。
またも後ろから大蛇の鳴き声が聴こえる。ソレを無視して俺は着地と同時に前方へと走り出し距離を取る。
ジューー シュワシュワシュワシュワシュワ
擬音にするならそんな音が俺が着地した辺りから聴こえた。
体感大蛇から距離を取れたと判断した場所まで移動し、後ろを振り返る。ソコには溶けた地面と口を開けた大蛇の姿があった。
「おいおい、マジかよ……」
未だにシュワシュワと音を立てる地面から立ち昇る臭いで、凡そ目の前の大蛇の毒が何かを察する。
酸性毒。いや、この場合普通に酸性液で良いか。結果の現象は変わんねぇし。中学の時の理科の実験に使われたヤツと臭い似てるし。とにかく目の前の大蛇がやっぱり俺を簡単に殺せる可能性が有ることがわかっただけ収穫だ。というかそう思わないとやってられない。
だって、着地したと同時だろ?つまり目が見えてなくても俺の位置がわかるってことだ。目が見えないから俺の事を知覚出来ない!だから一方的に攻撃出来るぜヒャッホーイ!なんてしてたら死ぬ可能性が高いってことだ。調子に乗ったら死ぬってわかっただけでも気を引き締め直せる。
で、実際どうするかな…。【硬化】で攻撃するのはわかってるけど、どう攻略したら良いかわからん。
確か格闘技の技で内臓にダメージを与える技みたいなのが有ったように思うけど、そんなの素人の俺が出来る筈が無い。1番手っ取り早い斬るは…まぁ、3階層のゴブリンのヤツを使えば剣は手に入るから、剣で斬るのは有り。でもあの剣じゃ斬るというより少し鋭角のある鉄の棒って感じだからやっぱり打撃になる。じゃあやっぱり、相棒を本来の金属バット状態にして【硬化】でチマチマ殴るのが良いか?
なら狙うならやっぱり頭だろうけど、あの酸性液が恐いしな……。
いや?むしろアイツの酸性液をアイツにぶっ掛けるのも有りか?こう、背中に張り付いて、酸性液を吐きそうになったタイミングで急いで大蛇の背中から離れる!みたいな。
うし。作戦は決まった。チマチマ殴りつつ、張り付けそうなら張り付いて自爆させよう。
目標が定まったため、再び大蛇に向け駆け出す。
大蛇へと向かう際、未だにシュワシュワ言ってる地面が導線に有るけど、それは当然迂回する。それでもすぐに大蛇の目の前に到達し、直ぐ様背中側に張り付く。張り付いたところで貫通力と返しを意識した蜘蛛の糸を大蛇の体目掛けて撃ち込み、その糸をギュッと握り込む。
そしてナイフほどの大きさで返しの付いた状態にした【硬化】を施した相棒で糸の周辺をザクザクと突き刺し、グリグリとこねくり回したあと抜いては別の場所に同じことをする。
ソコまでやって大蛇は痛みで俺の存在に気付いたのかすぐに頭を俺へと向け、視認したと同時に口を大きく開けた。
位置的に噛み付きに来たり尻尾で叩くのは難しい。となると口を開けての攻撃は1つしかない。
予想通り大蛇の大口から先程と同じような異臭のする液体を射出してきた。
それを視認したと同時に相棒を大蛇の背中から抜いて、直ぐ様糸から手を離し、大蛇の背中を蹴って背中から離脱する。
俺が離脱するのと酸性液が俺に掛かるのは紙一重のギリギリだったようで、髪の毛先に少し掛かって前髪からシュワシュワという音と異臭が立ち昇る。
しかしソコまでギリギリの回避をした甲斐は有ったらしく、大蛇の悲痛に聴こえる咆哮がすぐに耳に届いた。
その声を聴いたと同時に大蛇から一瞬目を離して酸性液の掛かった前髪を相棒で切り落とし、すぐにまた大蛇へ視線を向ける。
どうやら奴の皮と鱗は奴自身の酸性液は通さないらしく、掛かった液が体表を伝って地面に落ちるのが見えた。
しかし今回は俺が傷口を作ってその傷口を拡げていたおかげか奴の酸性液は奴の肉に触れてしまったらしく、ソコから腐った卵のような異臭というか、食用肉以外の肉が燃えてるような、とにかく長く嗅いでいたくない異臭が漂っていた。
肝心の大蛇自身ははまるで天へと昇ろうとしているかのように体を上空へと伸ばし痙攣していた。
……酸性毒と神経毒の両方が有ったらしい。
いやこっわッ!?
ただ、どうやらこのやり方で合っていたらしい。大蛇はしばらく動く様子が無い。
明らかに無防備な相手が居たら何をするかなんて決まってる。
畳み掛ける!ただその1択のみ!!
万感の思いを胸に、動けない大蛇の体のあちこちを相棒で突き刺したり、ぶっとい返しの付いた糸でグリグリと傷口を拡げるように突き刺したりしながら傷付けた。
流石に十数ヶ所も刺す頃には大蛇も痙攣を止めこちらに顔を向けてくる。しかし先程のことが有るためか口を閉じて毒を吐き出してこようとはしてこない。
そのまましばらく俺達は睨み合い状態になって膠着した。大蛇は恐らく俺に体に張り付かれないように警戒するため。俺はなんとか大蛇を傷付ける為に。
集中していたからどれだけの時間が経ったかはわからない。でもずっとこのままという訳にもいかない。少し大蛇の体に向けていた視線を外して背中側を見てみれば、最初の傷口は溶けた影響かわからないけが塞がっていて、その後に開けた十数ヶ所も徐々に傷口が塞がっていってるように見えた。
再生持ちって事だ。なんだよソレ狡いな!
つまり時間が経てば経つほど俺の方が不利になるってこった!
それなら簡単。再生されきる前に殺しきるだけ!
何より、ずっとこの状態なことにイライラし始めてたしな!
大蛇の顔に視線を戻す。目が潰れてて見えないのは知ってる。まぁ、その目も再生してるのかもしれないけど。
それでも大蛇の顔へ向け精一杯の笑顔を作って言ってやる。
「覚悟しろよ蛇」
言葉を言い終えると同時に地面を蹴る。向かうは大蛇の胴体の目の前。
大蛇も俺が動き出したためか、すぐに口を開いて毒を吐いて来た。それも俺の目標としている大蛇の胴体近くの地面へ向け。しかも吐きながら大蛇は首を捻って自身の周囲一周を毒の円で囲ってある種の結界を作った。
流石にソコまでされたら近付くことが出来ない。出来ても跳び上がって空中から攻撃するしかない。それを理解したため思わず足を止めてしまった。
足を止めたと同時に、俺目掛けて毒が飛んでくる。それを難なく避けて、でも近付いたら殺られるため距離を取る。
ふざけんなよクソッタレ。ここに来て新しい動きしやがって!
俺に残された攻撃方法は石とかを投げたり、腕輪の糸を飛ばしたり、あとは跳び上がって近付いて殴る蹴る斬るをするだけ。こういう時、遠距離攻撃の手段が無いのが本当に悔やまれる。
無いものを強請ってても仕方無い。なら範囲外から殴れば良いだけ。
やったことはなかったけど、試してみたら出来た。金属バットを元々の形のまま刀の時みたいに可能な限り伸ばしてみる。相棒は難なく伸び、普通に大蛇を奴の毒液の結界の外から殴れるだけの長さにすることが出来た。
ただ、その分重さというか密度が落ちた気がする。直感だけど。
でもこれで外から殴れる訳だ。
ソコからはまぁ、一方的だった。奴の結界の外から【硬化】させた相棒を振り下ろしや横凪ぎに殴ったり、時には毒を吐き出して来るから避けながら近付いて、潰れた目へ向け相棒や蜘蛛糸を飛ばしたりして、中・遠距離からボコすか殴った。
噛み付いたり巻き付いて来ようと近寄ってきたら、逆に脳天ぶっ叩いたり大太刀状態に【変化】させた相棒を横に構えて口の膜を裂いてやったり。とにかく攻撃し続けた。
【カラ………ラ………………】
大蛇がそんな断末魔のようなもの吐きながら地に沈む。
少しすると大蛇の亡骸は無くなって、代わりに指輪と大きな牙2本と頭部分を除いた大きな皮になった。
こうして俺の第5階層のボス戦は終わった。
まぁ、これ以上はグダりそうだったので最後は巻きました。
そもそも前・後編に分ける必要が有ったかどうかを問うのはお口をミッフィーちゃんでお願いします。




