表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
61/68

第5階層


 9月3日。退院後2回目のダンジョントライだ。

 今日は昨夜決めた通り第5層に挑む。母さんにお願いして大量に作ってもらったジャーキーと、自室のダンジョン産の水を6リットル分、ソレに瑠璃曰くポーションと思われるスライム産の水を持って挑む。


 ポーションの効果は傷口に掛ければその傷口が塞がって、飲めば体力が回復する。コレは検証済みだから安全な筈。

 体力回復はプラシーボ効果かもしれないけど、無いよりかはマシって事で持ってきた。


 受付で諸々の手続きを済ませて中に入り、そのまま第5層へと飛ぶ。


 そのまま第5階層の待機所から奥へと進んで行くと、第3階層第4階層から続き今度も森だった。道という道は見えず、獣道もない。足元は俺の膝ぐらいの高さまで有る背の高い草が伸びていて地面は見えない。正に未開の森って雰囲気だった。


 先に何が有るかわからない。それ故に頭の中で警戒の警報が鳴り響く。

 まずは通り道の確保を。そう思い、俯せに伏せて左手を前へと突き出し、腕輪から糸を射出する。何処かに刺さるまで、延々と伸ばす。


 体感1分ほど経ってから糸が伸びる感覚が無くなった。

 次は少し横にずれて、またも同じように糸を射出する。ソレを何度か繰り返し、地面の安全が確保出来たと判断して、射出した糸の上をマチェーテとかいう剣に変えた金属バットで草を切り分けながら進む。


 糸の射出時間と同じく体感1分ほど歩いた頃、糸が何に刺さったのかを目視する事が出来た。


 蛇だ。

 細長く、毒を持ってるあの蛇だ。蛇の頭、蛇の胴4ヶ所に射出した糸が刺さったままになってた。そして驚いたことに、この蛇はまだ生きていた。その証拠に、未だ自身を攻撃した何者かを殺す為、その場で体をくねらせ暴れていた。


 入院中に瑠璃のメモや実際の動物の動きなんかをネットで調べていたから、蛇の攻撃方法がわかる。わかるから、早々に蛇の脳天目掛けてマチェーテを突き刺した。

 蛇ってヤツの基本的な攻撃方法は噛みつく・巻きつく・絞め上げる・毒の射出の4つだ。

 この目の前の蛇の絞め上げる力がどれぐらいかは知らないが、どの攻撃を喰らっても痛い思いをするのは目に見えてるから、さっさと殺すに限る。


 流石に脳天に剣が刺されば死ぬのか、何度か痙攣したあと力を失い動かなくなる。その直後その体は明らかにぶつ切りの胴体へと姿を変えた。

 つまり剣で倒した時のドロップ品ってのは蛇のぶつ切り肉な訳だ。


 「蛇って確か鶏肉みたいな味がするんだっけか?」


 なんて事を呟きつつ蛇肉をリュックサックに仕舞って辺りを見回す。


 相変わらずの鬱蒼とした森で視界はかなり悪い。その上恐らく地面にも木の上にも蛇が居るんだろう。その証拠に遠くの方に蛇が木の枝から体を垂らしてる姿が見える。

 つまり第5階層は森と蛇という天然のトラップ地獄という訳だ。


 上かと思ったら下。下かと思ったら上。そんな厭らしく狡猾なのが第5階層という訳だ。


 正に蛇だな。


 となると、だ。取れる方法は限られて来る。

 最初に試したみたいに、糸を何度も射出して地面の安全を確保してからジリジリ進むか、もしくは力技で走り抜けるか、はたまた諦めるか…。


 まぁ、答えは決まってる。糸の射出で消費する精神力とかを考慮すると、やることは結局1つに集束する。


 「加藤孝則、いざ逝かん!!」


 俺は思いのままに走り出した。




 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆




 瑠璃曰く、「マッピング大切。基本の基」との事だが、そんな事は知ったことじゃない。そんなじっくり腰を下ろして亀の歩みで開拓しながら進むだなんて、俺には全く合ってない。


 だから駆け出した。当然何度か木にぶつかりそうになったり、何か柔らかいものを踏み潰したような嫌な感触がしたり、上から蛇が襲い掛かって来たり、普通にのんびり枝に体を預けて垂れてる蛇が居たらその胴をマチェーテで切り裂き、とにかく走った。


 走って走って、走りまくったら、いつの間にか拓けた場所を見付けた。

 この階層の全部を回った訳じゃないだろうけど、明らかに他とは雰囲気の違う場所だ。すぐにボスの居る場所だと気付けた。


 流石にソコまで身体能力にものを言わせてやりたい放題すれば、いくらか冷静になれる。

 放棄した思考が戻って来ると、今度は踏み殺したであろう蛇のドロップ品が気になってくる。それに入口から拓けた場所までのおおよその地形の把握も行いたかった。


 だから俺は、もう一度5階層を走り回った。




 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆




 結局、ボスには挑まずそのままその日は第5階層の開拓に踏み込んだ。

 流石に身体能力にものを言わせてやりたい放題の探索は駄目だと思ったのと、周回することを考えたり奇襲に慣れたりすることを考えたらやりたい放題は不味いと気付いたからだ。


 と言っても第5層は大した事がなかった。というか、そんなに特筆するようなことがなかった。構造は第3階層とほぼ同じで、第3階層のゴブリンの村の位置が拓けた場所だった。

 昨日、散々歩き回った第3階層と同じだから、この階層も庭みたいなものになったように思う。


 ただ、やっぱり上や下からの蛇からの奇襲は肝を冷やす事が何度か有った。

 何度か足や腕に噛み付かれたし、巻き付かれたし、なんなら生身の部分に噛み付かれたりもした。

 流石に足首を噛まれた時は、有名な対処法の毒を吸い出しとかの対処が出来ないから焦った。


 でも、ジャージはもはや天然の金属鎧にでもなってるのか歯は通さなかったし、生身の部分も蛇の牙が刺さる事はなかった。

 蛇の牙が刺さらなかったのを認識した時は頭が一瞬白くなった。そして次に呆れた。何処まで化け物になるんだ俺の体はってな。


 その蛇だが、どうやら斬るとぶつ切り肉に、潰すと牙か恐らく毒腺と思われるものが手に入った。

 瑠璃からサブカルチャーのダンジョンがどういう所かを聞かされていたし、元々なんとなくそんな予想はしてたから驚きはそんなになかったけど、やっぱり出た時は「遂に来たか」って思ったな…。


 毒腺が何に使われるかわからないけど、十中八九呂久な事にならないと思ったから、金属バットをシャベル型にして穴を掘って、ソコに毒腺は放り込んで捨てた。

 血清とか作れるのかもしれないけど、そういうのは猿渡達みたいな他の奴等が持ち込めば良いだろって話だ。


 牙はそのまま回収した。瑠璃曰く、今後はモンスターの骨や鱗とかから武器防具が出来るかもしれないらしいから、その素材になるであろう牙は高く売れそうだったから、蛇は潰す方向で倒すことにした。




 そうして第5階層で出来る事を粗方済ませたら時間もちょうど良い時間になっていたため、俺はそのままその日は撤収した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] シテ……コノ「作 」ヲ……更……シテ……………………文書はここで途切れているようだ……
[一言] 更新お疲れ様です!! 差し出がましいですがカクヨムなどでは書かないのでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ