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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
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2人を連れてのダンジョントライ


 夕食を終え、場所は俺の部屋。 

 俺は昼間着てたダンジョン用のジャージに着替え、いつもの金属バットを持って待機している。


 父さんと瑠璃は着替えて準備出来たらすぐに来るとか言ってたから、たぶんもう直来るだろう。


 「孝則、父さんだ」


 「お兄ちゃん、瑠璃だよ」


 ほらね。


 「入ってきて良いよ」


 俺は2人を迎え入れ、押し入れの穴を見せる。


 「これがこの家のダンジョンか…。駅前にあるダンジョンとはやっぱり違うな……」


 「だね。駅前のダンジョン、入口がすっごくおっきいもんね」


 「そうなのか?まぁ良いや。じゃあ俺が先に下りるから、順番に下りてきてくれ」


 俺は2人を先導して先に下まで下りる。

 最初の部屋に下りてから程なくして父さんと瑠璃が下りてくる。


 「へぇー、此処がダンジョンの中か……。イメージは洞窟だな」


 「だね。あ、でも部屋の隅を見て。床と壁でしっかり分かれてる」


 各々の感想を聞きながら俺は先に少し進んでから振り返り「着いて来て」とだけ言った。


 しかし返ってきたのは思っていたのとは全く別の言葉だった。


 「待ってくれ。中央に如何にも怪しげな宝箱みたいなものが有る」


 「うん。それも2つ」


 慌てて振り返る。振り返るとそこには何も無い。

 在るのは恐らく父さん達の言う宝箱の前で片膝ついている父さんと瑠璃の2人だけだった。


 「2つ……?それはおかしいぞ。俺には何も見えない」


 試しに2人の前に立ってみる。


 「うわっ、お兄ちゃんの体が宝箱から生えてる!なにこれ」


 どうやら瑠璃達には俺が宝箱と同化しているように見えるらしい。

 ますます訳がわからない。


 一旦離れて2人の様子を窺う。


 「宝箱が有るなら1つだけ。俺の時は罠は無かった」


 「じゃあこの宝箱はなんなんだろうね」


 そう言いながら父さんは普通に宝箱を開ける動作をした。

 隣では瑠璃も平然と開けている動作をしている。


 …ホント、アンタ達のその躊躇いの無さは尊敬に値するわ……。


 宝箱から中の物を取り出す動作をしたかと思うとその手には紙が握られていた。ちょうど俺が最初に手に入れた紙と似てる。

 読んだのだろう。紙を宝箱に戻して父さん達は俺の方に来た。


 「【変化】という物を覚えたように思う」


 「私も同じのを覚えたと思う。たぶんこれがゲームでよくあるスキルってヤツだと思う!」


 なるほど、スキルか。今度からそう呼ぶことにしよう。


 「俺も覚えたのは【変化】だった。で、その【変化】でこんなことが出来るようになった」


 そう言って金属バットをナイフに変える。

 それを見て瑠璃が興奮したように話し始めた。


 「凄い!凄いよお兄ちゃん!ファンタジーだよ!!

 わぁー!こんなこと私も出来るのかな?」


 「お前も同じことが出来ると思うぞ。同じ【変化】だろうし。

 【変化】を解除しようと思うと元の物に戻る」


 俺はナイフを金属バットに戻した。


 「ファンタジーだファンタジーだファンタジーだ!」


 妹は俺と比べてサブカルチャーに明るい。そのため俺よりダンジョンに関しては知識が豊富だろう。


 「よしお兄ちゃん!次はモンスター!モンスターを見せて!」


 俺の手を引きながら、必死に次に進もうとする瑠璃が微笑ましい。

 父さんを放ってしまっているが、急かす瑠璃に負け、俺は先導するように2人の前を歩くことにした。




 歩くこと数分。最初の部屋に到着する。

 そこには案の定物体Xが2体居た。

 

 「あれがモンスターだ。俺は物体Xって呼んでる。

 此処からは危ないから下がって見てて」


 2人にそう言い前に出る。そして走り出し、まずは手前の物体Xを蹴り抜く。


 手前に居た物体Xはそのまま壁の方まで飛んで行き、べちゃっと潰れる。

 仲間がやられた事を知ってか、もう1体の物体Xが俺に向け突進をしてきた。それをバットで打って遠くに飛ばす。


 あとはこれの繰り返しだ。そしてフルフルと震えたタイミングでナイフに【変化】させてトドメを刺す。これが物体Xに対する今の俺の必勝法だ。

 今回もその方法で上手くいき、無事物体Xを倒すことが出来た。今回は説明のことが有るから物体Xの倒し方はバットのやり方とナイフのやり方の2種類にした。


 戦い終わったあと、父さんと瑠璃に黒く濁った石とペットボトルを見せる。


 「これが物体Xを倒して手に入る物だ。黒く濁った石がバットで倒した時に手に入る物で、ペットボトルがナイフで倒した時に手に入る物だ。ペットボトルの水はめちゃくちゃ美味い。家に何本も有る筈だから、あとで飲んでみて」


 言いつつ、なんとなく父さんにペットボトル、瑠璃に石を渡した。


 2人は俺の渡した物を眺め始める。

 そして最初に口を開いたのは、またしても瑠璃だった。


 「お兄ちゃん、さっきのモンスターは、たぶんスライムで、この石は魔石っていう石だと思うよ」


 瑠璃はそう言って俺に石を返してきた。受け取りポケットの中に仕舞う。

 父さんも瑠璃のように俺にペットボトルを返してきた。


 「よし、孝則。俺達の言いたいことはわかるな?」


 父さんの目は……というか瑠璃も含めた2人の目は、それはもうキラキラと光っていた。


 俺は思わず苦笑いが漏れる。

 俺は黙って金属バットを2人に手渡した。



 それからダンジョン内で数時間。2人が満足するまで物体X、スライム狩りを続けた。勿論俺は荷物持ち。リュックサックを持ってきてて良かった。

 2人は次々にスライムを殴ったり、2人の【変化】で変化したナイフで刺したりしながらスライムを狩っていく。


 そうして満足したタイミングで一言。「満足した」「そろそろ帰ろう」である。

 全くこの2人は……。


 この日のトライはこれで終了した。



 戻ってからは戦利品の分配だったが、何故か石を全部俺が回収してペットボトルは2人で山分けという流れになった。解せぬ。

 結局それで確定してしまい、その日は風呂に入って寝ることになった。


 この大量の石……魔石だっけ?どうしよう……。



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