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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
51/68

VS大蜘蛛~休憩~


 このままでは埒が明かない。


 そう思って大蜘蛛と改めて向かい合ったのは精も根も尽きた頃だった。

 相変わらず状況は圧倒的に俺が不利で、ある程度腹や膝や左腕の痛みに慣れて怪我した直後よりは動けるようになってから、かなりの時間が経ったように思う。

 痛みがマシになった。これだけであれほど濃く感じていた死を、絶望を、なんとか誤魔化す事が出来る程度にはメンタルも回復した。

 しかしやはり怖いものは怖いし、その上体力もほぼ尽きてる。絶望的状況には代わりない。

 正直今すぐ此処から出て、家に帰ってそれからしばらくはダンジョンに潜りたくない。母さんの作った温かいご飯を食べて、父さんや母さんや瑠璃に今日の事を話して日常を感じたい。


 だから、俺は、これまで「苦手だから」と逃げていた、『考える』をする事にする。


 考える。一言でそう言って、普段の俺でもすぐにパッと何か考えるのは苦手だ。なんなら出来ない。出来た試しが無い。だからしない。しても現状確認ぐらいだ。だから、出来る事をやる。


 今すぐ出来る事と言えば現状確認。現状確認は大切だ。野球の試合でも劣勢な時ほど各々の状況を確認した上で相手選手の分析をしていた。監督とマネージャーとキャプテンだった西川が。だから、あの時の事を思い出しつつ監督達を真似してみる。

 まず、敵は大蜘蛛。状態はダメージはほぼ喰らってないとみて良い。攻撃方法は今のところ脚の振り下ろしだけ。ただ周りの木や蜘蛛って事を考えると糸を使った攻撃や木に隠れたりする可能性が有る。もしかしたら毒蜘蛛かもしれないから、噛まれるのだけは絶対避けないと駄目だ。噛まれたら絶対死ぬ。

 次に俺。俺は左腕と右膝と腹を打って恐らく怪我してる。痛みは我慢出来るレベルになったけど、依然として痛いのには代わりない。今は恐怖とアドレナリンのおかげでなんとか誤魔化せてる状況。体力はもうほぼ無い。なんなら今すぐ飯食って寝たい。


 現状確認終わり。うん、瑠璃風に言うなら無理ゲーだ。死ぬ未来しか見えない。絶望的だ。

 だから、次は絶望的をもしかしたらに変える為に頭を使う。

 えーっと、現状確認のあとは何を考えるんだっけか?えーと……、駄目だ。猿渡と仲間の鼓舞や馬鹿やって暗い雰囲気をどうにかしようとしていた記憶しかない。もっと頭使う事もしとけよ高校時代の俺。だから二浪もするんだぞ。

 あー、いや、要らない事を考えるな。えーと、えーと……。………………そうだ!次は自分の強味と相手の弱味の把握だ!

 まず俺の強味。息も絶え絶えで余裕は無いけど、一応走ればなんとか脚の1本や頑張ればお尻側に到達することが出来る。武器は金属バットで、これは【変化】のスキルを使えば他の武器に変える事が出来る。【硬化】スキルも併用して使えば、破壊力も上がるし、俺自身の防御力も多少なりともマシになる。

 次に大蜘蛛の弱味。正直わからない。でも、蜘蛛という体の構造上、体の後ろ側であるお尻の方や体の上や下を見ることは出来ない。それにお尻の回りの毛はなんだか軟らかそうだったから俺の攻撃も通りやすいかもしれない。


 こんなところか。さて、まだまだ考えないと駄目なのかもしれないけど、考えるのは少し休憩!もう無理!これ以上考えながら大蜘蛛の攻撃を避け続けるのは、満身創痍の今じゃなくても死ねる!!


 ただ、大蜘蛛の攻撃から逃げながら現状確認と強味弱味を整理したから見えてきたものが有る。

 まず、大蜘蛛は体の構造上、体の上か下かが意外と安全なのかもしれない。跳び上がって俺を視界に収めようとしてくるだろうけど、体の下ならある程度の攻撃は見てから対処出来ると思う。あー、瑠璃風に言うなら「見てから回避余裕でした」だったっけ?それが出来ると思う。理想は体の上に乗る事だけど、あの巨体の上に乗るのは今の俺では無理そうだ。

 だから、そうだな。出来るだけ奴の体の下に居た方が、案外無駄な動きはしなくて良いかもしれない。跳び上がると同時に腹で着地してくるのだけは絶対に気を付けないと駄目だけど。


 それに、そう言えば【変化】出来るのは何も剣系統だけじゃない。やったことはないけど、たぶん斧とかも出来るかもしれない。斧は剣よりも破壊力は凄い筈だ。もしかしたらあの脚にも一撃入れる事が出来るかもしれない。

 何よりここは自室のダンジョンみたいな【変化】のダンジョンじゃない。【硬化】のダンジョンだ。なら、もしかしたら【硬化】が大蜘蛛を攻略するための糸口かもしれない。


 そこまで考えを纏めると、俺は直ぐ様体とジャージに【硬化】を使った。このあとどうすれば良いかなんて考えない。残されたこの体力で出来る事をやって生き残るだけだ。


 改めて覚悟を決める。現状確認でただ絶望的だったのがもしかしたらを考えられるようになったんだ。じゃあそのもしかしたらに賭けるしかない。



 走って、なんとか木の影に隠れる。ここにある6本の木は総じて大きい。その為、根元には大蜘蛛の脚の先ぐらいしか入らなそうだけど、人間ならなんとか入れそうな隙間なんかが有る。走り回ってようやく見つけた場所だ。この場所は、例えるなら、そう、直角部分に指を押し付けた時に出来る空白みたいなものだ。


 俺はその隙間に入り込んで、金属バットを分厚い盾に【変化】させて久し振りの休憩をする。

 休憩をすると今の張り詰めている緊張の糸が切れて、完全に集中力が切れる恐れが有ったけど、流石に体が限界だ。高校時代に疲れようがなんだろうが走らされた経験は有ったからその経験を活かして今までは走り続けていたけど、もう無理。休む。

 盾と木の根の間に籠ったと同時に盾から凄まじい衝撃が伝わって来る。しかしその衝撃の大部分は恐らく木の根や地面が吸収しているんだろう、そこまで手は痛くない。

 その盾だけはしっかりと手前に引いて、盾が大蜘蛛の攻撃で捲れ上がらないようにしないといけないけど、そのための力を使うだけで体の他の場所は休ませる事が出来る。

 高校時代、死ぬ想いをしてでも頑張って走ってて良かった。これでなんとか休める。


 右手で盾を持つ取っ手を引っ張りながら、残った左腕でなんとか背中のリュックサックを下ろしてスライムから出る水を取り出す。それを足とか使って口を開けた水を出来るだけゆっくり、だけど急いで飲みたいだけ飲む。そしておやつに持ってきた、母さん特製もぐら肉ジャーキーを齧る。ジャーキーの肉の味と塩味が体に染み渡る。食べたことは無いけど、まるで高級料理店の料理を食べてるような気分だ。

 おやつに用意してもらったジャーキーを齧りつつ、水を飲む。そしてジャーキーが無くなったタイミングで、またも頑張って水とか出たゴミをリュックサックに仕舞ってなんとか背負い直す。


 「ふぅーー……」


 良いエネルギー補給と水分補給が出来た。座る事も出来てるし、今の気分はアレだ。瑠璃がやってたゲームでやらせてもらったゲームの中に、走るとスタミナが消費するゲームが有った。そのスタミナのゲージを立ち止まって回復するのを待ってるような気分だ。

 そして俺に備わったスタミナゲージやら体力ゲージは、根本的には回復はしてないけど、軽く栄養補給するぐらいの時間座っていただけで先程までよりかなり楽に動けるまで回復したらしい。

 ただ集中力は完全に切れていた。だから、集中するときの俺流のおまじないをする。


 自分で自分の頬を叩いた。

 本当は両手で両頬をやりたかったけど、今は片手が塞がってるから1回ずつバチンバチンと叩いた。

 そして体のあちこちを叩いて行く。「しっかり気を引き締めろよ」の(精神)から(身体)への発破をかける。右手を叩き終わったら1度盾を持つ右手から左手へと持ち替えて、左腕も叩く。

 自分で叩ける場所を全部叩き終わったら、今度は大きく深呼吸をする。空気は籠っているから悪いが、この際気にしてられない。


 「ふぅーー……、よし」


 今尚続く大蜘蛛からの攻撃。攻撃の感覚から恐らく1番手前の両脚で交互に叩いて来てる事が想像出来る。


 盾を右手に持ち替える。

 さぁて、


 「反撃の時間だ」


 大蜘蛛の脚が盾と接触するタイミングを音を聞きながら見計らい、接触するタイミングで大きく盾を押し込み、俺は再び大蜘蛛の体の下へと駆け出した。




 なんでしょう、この自分の中の妄想を文章にしてる感……。なんか執筆してて描写を描く度に主人公と自分の思考が重なってどっちの視点かわからなくなる感じ…。物語を書いてるのか妄想を書き殴ってるのかわからないこの感じ…。まだまだ本調子には遠いです。


 もしかしたらこのページ、あと更にもしかしたら前のページと次のページは書き直すかもしれません。最悪大蜘蛛戦を1話に纏めてしまうかもです。

 書き直した場合は書き直した直後の最新ページの前書きか後書きで告知させていただきます。あらかじめご了承ください。



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― 新着の感想 ―
[一言] ゴブリンの村を軽く全滅させた主人公がたかだ大蜘蛛一匹でここまで苦戦するのはおかしいかと。 あれだけ重い質量のある重いバットを見えないレベルで振り回せるなら鉈なら鉄クラスでも切れそうですね。
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