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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
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家族4人


 ダンジョン探索を始めて1日が経った。この日の朝、都心部に仕事やライブで遊びに行ってた(らしい)父親と妹が帰ってきた。


 父さんと妹の瑠璃が帰ってきたということは、都心部はようやく落ち着いたのだろう。


 父さんは俺達の住む町の市役所で働いている公務員で妹は高校3年生。

 俺の誕生日の日に父さんはその日から今までずっと職場で寝泊まりしてて、今日まで帰れなかったんだとか。妹は朝早くから家を出て他県のライブに行ってたんだとか。妹に関してはその他県からコッチに戻って来るのにかなりの時間を要した事になるが、幸いにも近くの友達の家に泊まってたらしく、危ないことはなかったそうだ。


 こうして久し振りに家族4人が揃った。

 晩御飯の時に久し振りの家族4人の会話が始まる。


 「父さん、瑠璃、改めてお帰りなさい」


 「ただいま。それより孝則、頭打って血流して倒れたって聞いたけど大丈夫だったか?」


 「え、それ本当なのお父さん?お兄ちゃん大丈夫?」


 「大丈夫大丈夫。5日間ほど意識無かったらしいけどこの通りピンピンしてるから大丈夫。


 それより2人はどうなの?特に瑠璃。10日も家族から離れて寂しくなかったか?」


 「うん。私は平気。いやそれよりお兄ちゃんだよ!頭大丈夫?」

 

 「言い方には気を付けろ!それじゃあ俺の頭がおかしいみたいじゃないか!

 ……頭おかしいのはある意味母さんの方かもな」


 と、ここで父さんと瑠璃にダンジョンの事を話してみる事にした。


 「どういう意味なのかな孝則?母さんの何がおかしいって?」


 母さんが俺の頭をグリグリしてくる。地味に痛い。


 「だから!頭怪我したって人間の頭をグリグリするのもそうだし、病み上がりの息子にダンジョン潜れとかいう母親が何処に居るんだよ!!」


 地味な痛さに思わず叫ぶように声を荒げる。


 「……母さん?」


 「お母さん?」


 すると、それまで黙ってた父さんと瑠璃が声を低くして母さんを睨んだ。流石に分が悪いと判断したのか、母さんは笑いながら席に戻った。


 戻ったタイミングで改めて父さんが母さんを呼ぶと、母さんは大人しく正座した。


 「どういう事だか、説明してくれるよね?」


 「はい…」


 そうして母さんの鬼畜の所業が父さんと瑠璃にも伝わった。話を聞いた父さんは見るからにキレてた。瑠璃に関しては母さんをゴミを見るような目で見ている。


 「お前は何を考えているんだ!!孝則が死に掛けたというのに、更に危ない目に遭わせるなんてどういう考え方をしているんだ!!」


 「はい……」


 「例えそれが今話題のダンジョンだったとして、それでも入るなと言うのが母親であるお前の役目だろ!なんで進んで孝則を危ない目に遭わせた?!」


 「死人が出るかもしれない危ない事だと言うので、私より動ける孝則に動いてもらおうと……」


 「それはお前の都合だろう?母親であるお前がそんな自分本意でどうする!」


 「……お母さん最低」

 

 「はい。すみませんでした。」

 

 「謝るのは俺達にじゃなく孝則にだ!!」


 「はい。孝則、ごめんなさい……」


 俺自身はそりゃ思うところは有ったけどなんとなくとはいえ進んでやってた事だし、別に母さんに謝られる筋合いは無いんだが……。

 というか、父さんと瑠璃の怒り具合が半端ない。流石にこれは母さんのフォローに入らないのはまずい。


 「俺も母親としてどうかと思うけど、取り敢えずこうして家族4人、また揃えたんだし良いじゃん。

 父さんもあんまり母さんを怒らないように。母さんは海の底より深く反省するように。瑠璃は母さんをそんな目で見るな。


 はい!これでこの話はこれで終わり!」


 父さんや瑠璃にこうして本気で心配されて、家族の暖かみを感じて内心ホッコリする。


 しかし強引に話を終わらせたとはいえ、空気は悪い。

 俺は空気を変えるために、こうなった原因でもあるダンジョンについて話を切り出す事にした。


 「それで、父さん。公務員の立場の父さんに聞きたいんだけど、家にダンジョンが出来たことってどう処理されるの?」


 「話はまだ……、母さん、あとでもう一度話すぞ。


 難しい話ではある。どうやらダンジョンというのは人の多い所に出来るみたいでな。他県やその他の地域でも主要となる都市には必ずダンジョンが有るみたいなんだ。だからお前の部屋に出来たということに内心驚いている。ただ、たぶん近い内にニュースで大々的に放送されると思うが、ダンジョンに潜る事は法で規制されるだろう。そしてダンジョンの攻略者を探索者と呼称し、それ専門の法が発令される。

 簡単に言えば『ダンジョンに潜るには資格が要りますよ』という法だな」


 「え、じゃあ俺も俺の部屋のダンジョンにそれまで潜っちゃ駄目な感じ?」


 「そうは言ってないし、あくまで潜って良いという対象は都市の大きなダンジョンだ。国が認知していないダンジョンに関しては認知されていないのだから、潜っても問題は無いだろう」


 そう言って父さんはニヤリと笑う。

 出たよ父さんの悪い癖。父さんは公務員だけど、こういう悪い所が有る。まぁ、今回はそれに助けられたんだけど。


 「そっか。じゃあこのあとも潜ってみるよ。中と外の時間は違うみたいだし」


 俺がそう言うと、父さんは不思議そうな表情(カオ)をした。

 あれ?


 「どうしたの父さん?」


 「お前の部屋のダンジョンは、時間の流れが違うのか?」


 「ん?うん。コッチでの1分が中での1時間だけど?」


 「よし、俺も潜らせろ」


 「お兄ちゃん、私も!」


 「…………OK。わかった。」


 出たよ父さんと瑠璃の悪い癖。父さんは悪い癖その2。

 この2人、新しい事や面白そうな事には例え危険でも自分から進んでやるんだよな。


 「怪我しても知らないからな」


 こうして久し振りの家族会議は終わった。



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