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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
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駅近ダンジョン第4階層


 7月20日。この日から俺は、駅近のダンジョンの本格的な攻略を開始することにした。


 一昨日、家に帰って来てから延々と自室のダンジョンのゴブリンと戦い、戦って戦って戦い続けた。

 一昨日、そう一昨日と言えば。田中の事はしっかりと警察とダンジョンの受付で報告しといた。今日、どうなったかが楽しみだが、あの言い様から揉み消されてる可能性が有る。やはり第3階層に近付くのはやめとくか。

 それにゴブリン共の戦利品でまた入口で揉めたし、出来るだけ穏便に済ませたい。

 一昨日、あのあと猿渡がどうしたのかは知らない。知らないが、まぁ待機室には基本的にモンスターは入ってこないから安全だ。


 …………まぁ、そんな些事はもうどうでも良い。それよりもダンジョン攻略だ。昨日、俺はダンジョンと歩むと決めた。だからその(みち)を行く。


 今日から駅近くのダンジョン、その第4階層に挑む。

 今のところ、第1階層は蟻。第2階層はもぐら。第3階層はゴブリンと来ている。次はどんなモンスターが待っているのだろうか。


 第4階層に降り立つ。第4階層の待機室にはやはりまだ誰も居なかった。ただ、中央の床に、一昨日俺が猿渡に渡した筈の石とゴブリンの武器、それ等を重石に紙が1枚あった。

 拾い上げて中身を読むと、【すまねぇ…。本当にすまねぇ……。これ等は貰えない。いつか追い付く。だから、俺が言えた義理じゃねぇけど、友達だ。また飲みに行こう。またどっか遊びに行こう。本当にすまねぇ……】と書かれていた。


 「………………」


 俺は紙を丸めてリュックサックに入れ、石やゴブリンの武器も仕舞う。


 「………………ホント、馬鹿だろ」


 素直に怖がってくれた方が俺も期待しなくて済むのに。

 しかし素直に受け取っておこう。


 俺は心持ち上を向いた気分で第4階層の通路に足を踏み入れた。



 第4階層は第3階層と同じく森だった。しかし雰囲気はどちらかというとジメジメしていて暗く、テレビなんかで見る日の届かない森の奥というイメージがする。しかし獣道とでもいうのか、人が数人通れるほどの通路のようなものはあった。

 その通路を頼りに奥へと進む。奥に進めば奥に進むほど森は暗くなっていき、少しすると拓けた場所に出た。

 この構造が、自室のダンジョンを連想させる。


 拓けた場所、そこを覗くと、中には大きな蜘蛛が居た。大きさは大人の女性ぐらいある。ハッキリ言って気持ち悪い。

 ここはどうやらお試しゾーンなのか、蜘蛛は1体だけだった。しかし部屋の中には3ヶ所、大きな木がある。察するに、あの木と木の間があの蜘蛛の巣なのだろう。その証拠に、太い蜘蛛の糸で既に巣が出来ている。


 「にしても、蜘蛛か……」


 正直小指の爪以上の大きさの蜘蛛は苦手だ。何故と聞かれれば答えられないが、苦手意識がある。


 「無難に切るか…」


 よし切ろう。

 そうと決まれば、まだ地面に居る間に切る!


 俺は地面を蹴った。


 蜘蛛との距離が一気に縮まる。俺はバットを大刀のように変え、真正面から蜘蛛を突き刺す。その巨体により壁まで押し込む事は出来なかったが、深々と分厚い皮を突き破ったような感触が手に伝わってきているから、恐らく貫通しているだろう。

 蜘蛛は突然の事に必死に脚をジタバタさせ藻掻いている。あまりにもジタバタするものだから、その際に動かされた脚が何度も俺の脇腹や足に当たる。これが地味に痛い。

 それを俺は、刺した時の角度を90度曲げ、頭の方へと、力任せに押し込む。蜘蛛の肉は、徐々にではあるが切れていき、最後にはその頭ごと、上と下の半分ずつにほぼ切断した。


 虫は神経が多く突き刺したりしてもすぐには死なないとは聞いていたが、流石に体をほぼ真っ二つにされれば死ぬらしい。蜘蛛の毛深い脚へと姿を変えた。


 「ふぅ。なんだか」


 呆気ないな。


 出そうになったその言葉を呑み込み、脚を回収する。

 呆気ない。それは相手の命の散る際の事だ。モンスターでこれなのだ。モンスターよりも弱い人間にこの力を使ったらどうなるのか。おぞましくも、そんな事を考えてしまった。


 (かぶり)を振って、もう1度深呼吸する。


 「…………よし」


 気持ちを切り替え、次の部屋へと向かう。



 こうして俺の駅近ダンジョン第4階層の攻略が始まった。




 完全に物が書けなくなってます…。

 どうやら休みの間にスランプ脱却は出来なかったようです……。


 なのでまた更新が途絶えるかもです。



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