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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
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ゴブリン


 第3階層は森で、モンスターはなんとゴブリンだった。ただ、持ってる武器は木の棍棒のような物だった。そしてゴブリン達に連携なんてものは無かった。それぞれの個体が各々の攻撃を好きにやってくるというものだった。

 そんな攻撃には俺はもう慣れていて、この階層も楽にクリア出来そうだった。その根拠というか、理由はここでもやはりゴブリンの頭を1発で潰すことが出来たから確信出来た。体に一撃入れれば、それだけでしばらく動けなくなるのだ、楽にクリア出来そうだと思うには十分な理由だ。


 ただ、猿渡にはまだまだキツいらしく、ゴブリン1体に対して何度も攻撃をしたり、攻撃されたりしていた。その様は人と人が素手で戦っているようにも見える。


 猿渡がゴブリンを倒すのに掛かった時間は、およそ10分ほどだった。戦い、というのは俺のイメージでは1分1秒の世界のものだ。だから10分というのは長いように感じた。

 いや、俺も最初は30分とか掛けて自室のダンジョンをクリアしたんだっけ…。


 「お疲れ様」


 取り敢えず労いの言葉を掛けてやる。


 「あぁお疲れ。にしてもインファイトでゴブリン相手だとキツいわ。そのゴブリンの頭を一撃って、お前の力どうなってんだよ」


 猿渡がげんなりしたような様子で溜め息を吐いた。


 「人の事、化け物化け物言うけど、俺からすれば相応の時間潜ってるんだから、強くなっててもらわないと困るんだけどな」


 「相応の時間って?」


 「俺の潜ってたダンジョンは外での1分が中での1時間になるダンジョンでな。そこに外での1日計算で何十回何百回と潜ってた」


 「えっと、1分が1時間で、外での時間で何十回何百回で、それが約2ヶ月だから……、……計算するのも馬鹿らしいわ!え、お前、そんな潜ってんの?」


 「最初の探索者試験の有った少し前から潜ってたから、約2ヶ月じゃなくてほぼ2ヶ月、ずっとな」


 「……そりゃ化け物って言われるに足る理由だわ」


 「だから化け物化け物言うのやめろって。それ、今なら誉め言葉のようにも聞こえるけど、最初聞いた時は深刻な様子で言われたからかなりショックだったんだぞ。大切な友人からマジで怖がられてるような反応されて、平気でいられる心臓を俺は持ってない」


 「悪かったって。そうだな、お前の強さの理由がわかったし、これ以上言うのはやめとくわ」


 「そうしてくれ」


 会話もそこそこに再び歩み出す俺達。実は第3階層は森になっていて、非常に進みにくい。それに加え、見えにくいというのも有り索敵も大変だ。何処がボス部屋かもわからない。ヘタをすればボス部屋の入口の反対側からボス部屋に入る、なんて可能性も有る。そういった意味で、この3階層はとても厄介だった。


 歩く俺達。そんな俺達にゴブリン達が襲い掛かってきたり、逆に休憩しているゴブリン達を俺が襲ったり、はたまた歩いていたら互いにバッタリ会ったり。そういった事を繰り返した。

 数を重ねる毎に俺はより効率良くゴブリン達の頭を潰していき、猿渡も猿渡で、1体に掛ける時間が減って行った。


 そうして探索すること数時間。俺達はとある場所に辿り着いた。その場所は拓けた学校の校庭ぐらいの広さがある場所で、かなり広い。その範囲の中に、建物が有る。いや、建物と呼べるかは微妙な何かだが、かろうじて建物に見える。そんな物だ。建物とわかったのは、その中からゴブリン達が出て来るのを見たからだ。他を見れば、小さいゴブリンが居たり、腰の曲がったゴブリンなんかも居る。


 そんな光景を見て、最初に思ったのはゴブリン達の村だ。ゴブリン達がこの拓けた場所で村を作ってる。そう思った。

 そこで嫌な考えが頭を(よぎ)る。1度その考えに到ってしまえば、あとは血の気が引いて嫌な汗が出てくるのに時間は掛からなかった。


 ここでゴブリン達は生きているのだと。俺達が倒してきたゴブリン達はここで生まれたのだと。これから俺達はここのゴブリン達を滅ぼすのだと。生活を壊しここに居るゴブリンの命全てを殺すのだと。大量の少なからず文明を築いた物を壊すのだと。そんなことを妄想して、手足が山のように動かなくなるのにそれほど時間は掛からなかった。


 「?どうしたんだ加藤」


 「いや、な。嫌な考えが(よぎ)ってな……」


 「あー、辛いのか?」


 「辛い……そう、かもな」


 「なら、これ以上の攻略はやめるか?」


 そう言われて猿渡の顔を見る。その目を見れば、「本当にここでお前は終わるのか」「諦めるのか」と聞かれているようだった。

 それを見て、下を向き、(かぶり)を振る。俺は()()何を言ってる、何を考えてるんだと。

 そして顔を上げ、猿渡の目をしっかり見て、言う。


 「な訳あるかよ。ただちょっと日和っただけだ。覚悟は出来た」


 猿渡は俺の顔を、俺の目をジッと見る。ジッと見て、満足したのか笑って、そのあと情けない表情(カオ)をした。


 「それなら良かった。ただな、悪いが俺はここまでだ。このあとの事は手伝いなんて出来ねぇ。俺にはまだ荷が重い」


 「報酬は減るけど良いのか?」


 「命有っての物種だ。俺は別に、加藤と違ってモンスターにまで慈悲なんて覚えない。ただどれだけ安全に、効率良く倒せるかを実行するだけだ。だから、俺の事は気にしなくて良い。思う存分暴れてこい」


 「……そういうことなら、わかった。行くわ」


 「いってら」


 俺はゴブリン達目掛けて駆け出した。




 3日~1週間置きぐらいの更新スピードで再開します。



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