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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
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いざこざ


 1度2階層の待機室まで戻り、そこから3階層の待機室へ移動する。移動するまでの間に、戦利品の分け前の話をしておいた。その結果、互いに自分が倒したモンスターの戦利品は、その倒した人の物という事になった。というかそれが普通らしい。


 移動すると、案の定田中さんと他に何人かの人が居た。そして田中さんが話し掛けて来る。


 「やぁ君、昨日の今日振りだね。お、今日は友達と一緒か」


 そう言うと田中さんはニコニコするだけで、この場から動こうとしない。


 「…………」

 「…………」


 俺と猿渡は互いの顔を見合い、そして頷いたあと、田中さんを無視して第3階層の攻略に行こうと「ちょっと、流石に無視は無いんじゃない?」


 ……行こうとして、回り込まれた。

 ホントこの人、なんでこんなに関わって来ようとするんだよ。


 俺と猿渡はもう1度互いの顔を見合い、今度は互いに任せるというジェスチャーをした。こうなった場合、折れるのは俺の方が多い。

 仕方なく、俺は田中さんの相手をすることにした。


 「なんですか」


 「おぉ、冷たいね。いやね、これから君達は第3階層を攻略する訳じゃないか。だから、聞きたいこと有るだろうなって」


 「有ったらそもそも最初から聞いてますし、貴方と話すことが無いから俺達は先に進もうとしてます。邪魔しないでください」


 こういう人は冷たく鋭く突き放すに限る。なんでこうも絡まれるのか、本当に気になるけど、聞いたらよりめんどくさい事になるのが目に見えてる。とにかくこの人とは出来るだけ関わりたくない。

 この人はなんか、嫌だ。出来るだけ関わりたくない。


 「随分嫌われてるね?俺、そこまで嫌われるようなこと、したかな?」


 「猿渡、行こう。時間の無駄だ」


 「あ、あぁ……」


 もう完全に無視することにして、3階層の通路へと向かう。しかし、本当に何故か、田中さんは俺達に立ちはだかる。


 「…………何故こうも邪魔をするんですか?」


 「いや、だからね?君達は俺に聞きたいことが有るんじゃないかと思ってね」


 「俺達が聞きたいこと有るんじゃなくて、貴方が俺達……というか、俺に聞きたいことが有る。の、間違いなんじゃないですか?答える気は更々ないですが」


 俺がそう言うと、田中さんはニッコリと笑った。

 やっぱりか。


 「そうだね、俺は君達……というか、ジャージの君に聞きたいことが有る。でも答える気は無いんだよね?」


 「少なくとも、俺達の邪魔をとことんしてくるような人と仲良くしたいとは思えませんよね?」


 「うん。一理有るね。だから聞くだけ聞いておこう。


 君が潜った国が認知していないダンジョンの場所を教えてくれないかな?」


 俺の中で、「やっぱりな」という感情が溢れ返る。

 本当に、なんでこんな自信満々に聞いてくるんだよこの人は。答える気は無いとまで言ってるのに。


 「言いたい事はそれだけですか?」


 「そうだね、今のところは」


 「じゃあ既に返答はしていますので横を通りますね」


 無理矢理横を通り抜けようとする。

 その時、すれ違い様に手首をガッシリと握られた。


 「離してください」


 「いやいや、質問に対する返答を貰ってないからね。通すわけにはいかないよ」


 「聞くだけ聞くと言ったのは誰ですか」


 「そんなこと言ったかな?」


 「………………」


 正直、ぶん殴ろうかと思った。あまりにもしつこ過ぎる。

 しかし反対の手首を握り、首を横に振る猿渡を見て、大きく深呼吸をしてなんとか落ち着く。


 「もう1度言います。離してください」


 「断ると言ったら?」


 「何もしませんよ。ただ、貴方に襲われたと外に戻った時に吹聴するだけです」


 「脅迫かな?」


 「事実じゃないですか?ただの一般人を捕まえて、無理矢理尋問している状況ですよね、今の状況って。いくら自衛隊とはいえ、非常時以外に市民を拘束する権利は無いですよね?」


 「無いね」


 「だったら貴方のやってることは犯罪です。職権乱用とも言えますかね。自衛隊という笠を着てやりたい放題している。十分訴えられますよね?」


 「揉み消せば済む話だよね?」


 あぁ、これは、本当に何を言っても聞く気は無いな、この人。

 思わず握られている方とは反対の手に力が入る。


 というかこの人、揉み消せるだけの役職に就いてるのか。ますます質が悪い。

 

 俺は猿渡に目配せをする。やっても良いかと確認するために。

 しかし、やはりと言うか、猿渡は首を横に振るだけだった。


 ……………………、ふぅ……。息を吐き、頭痛を治すように目頭を抑えてマッサージをする。


 状況を整理する。ここで俺がなんと答えても待ってるのは質問攻めか同じ質問の繰り返しだ。「国が把握していないダンジョンに潜っている」と肯定した場合、更なる質問が待っているだろう。逆にそれ以外なら絶対今のままだ。

 そして何故か、この人は俺がダンジョンに潜っていることを確信している。なんで確信しているかはわからないけど、恐らく引く気は無いだろう。

 本当に鬱陶しいことこの上無い。


 それはさておき、本当にどうしようか、この人。どうにか出来るといえばどうにか出来るけど、出来そうだけど、流石に抵抗が有る。1発ぐらいなら全く抵抗無いけど。

 でもここで手を出せば相手の思う壺のようにも思える。


 とかなんとか、色々考えていると、第三者からのアプローチが有った。田中さんと一緒に居た人の内の1人が、田中さんの肩に手を置いた。


 「流石にこれ以上は、な?俺達も黙って見てられない。やり過ぎだ」


 「…………仕方ないか。ごめんね、ジャージ君」


 俺の拘束はアッサリ解かれ、田中さんは何事も無かったかのように、俺達がこの階層に来た時に居た場所に戻って行った。

 止めてくれた人は軽く「すまんな」とだけ言って一緒に戻って行った。


 俺と猿渡は互いの顔を見合う。俺の目に写る猿渡の顔は疲れたものになっており、猿渡の目に写ってる俺も疲れた顔をしていた。

 もう田中さん……田中とは会いたくない。


 「今日中に第3階層クリアするけど良いか?」


 小声で話す。


 「任せる」


 よし、猿渡からのOKも貰ったし、これから田中と会わないためにも、先に進もう。


 俺達はようやく第3階層に足を踏み入れた。




 GWの間か、最悪5月10日まで更新をお休みします。

 ご理解とご了承のほど、よろしくお願いいたします。



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