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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
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傷心


 7月16日。この日は自室のダンジョンに潜ってひたすらゴブリンと戦った。


 憂さ晴らしの相手として、今俺が戦ってるなかで1番手強いゴブリンを選んだ。

 それぐらい昨日、猿渡に化け物、怖いと言われたのがショックだった。


 猿渡だったからこそアレで済んだと思えば救われるような気がするが、それはそれでやはり辛い。

 怖いや化け物と言っても一緒に潜ってくれようとする猿渡には本当に頭が上がらないが、それを受け止められるほど俺は強くなかった。


 そうか。このダンジョンに潜ってる間にそれほどになってたのか……。


 どうやらこのダンジョンと外のダンジョンは何もかもが違うらしい。ダンジョンという点では同じだが、その構造も時間の流れも違った。

 このダンジョンは外での1分がこのダンジョン内での1時間。そういう仕様のようだが、どうやら他のダンジョンは違うらしい。他のダンジョンはダンジョンの外と中で時間の流れは同じらしい。


 違う点はそれ以外にも有る。

 駅前のダンジョンは今のところ黒く濁った石しか発見されていないらしい。それなのに昨日、顎のような物を提出したから尋問に合いそうになった。猿渡がその辺の都合をつけてくれたからなんとかすぐに帰って来れたが、それぐらい衝撃的な事らしい。これは他のダンジョンでも一緒で、今のところ中のモンスターの倒し方は打撃系の物理攻撃だけらしい。刃物の類いは銃刀法で未だダンジョンへの持ち込むのも駄目らしい。

 その他にも今の探索者のレベルなんかも聞いた。

 今の探索者は日本での最高到達点は第4階層までで、駅前のダンジョンは第3階層までらしい。そんな人達でもまだ人の動きの範疇らしい。


 そしてそんな中の俺の動きは、かろうじて視界に俺の姿が潰れて見えるぐらい速かったらしい。


 もう、ショックが大き過ぎて何もしたくなかった。しかしここで動かなければそれこそ駄目になる気がしたから、こうやってゴブリンに何時間も、水分補給もせずにぶっ通しで挑んでいた。スライム水も飲んでない。もぐら肉も食べてない。4階層の野菜も食べてない。


 「ハァーー……」


 何回目かわからないゴブリンとの戦闘が終わったタイミングで大きく溜め息を吐く。


 猿渡は高校で俺と同じ野球部だった、3年間同じクラスだった1番一緒に過ごした友人だ。親友と言い換えて良い。その友人に怖い。化け物と言われた。ショックが大きいなんてもんじゃない。正直このまま部屋から出たくないとさえ思うほど落ち込んだ。


 「ハァーー……」


 何度目になるかわからない溜め息を吐く。


 「戻るか」


 体があまり言うことを聞かない。流石に無茶をし過ぎたらしい。俺は言うこと聞かない体に鞭を打ち自室へと戻った。




 「………………」


 何もする気になれない。


 そうやって俺が落ち込んでいると1年振りくらいに携帯が電話を着信した。

 相手を確認すると猿渡だった。

 一瞬出るかどうか悩んだが、出ることにした。


 「…………はい」


 「おぅ、良い感じに落ち込んでんな。お前、確かもう20歳になってたよな?」


 「あぁ」


 「よし、飲みに行くぞ!」


 「…………はぁ?」



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