表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第2部~駅近ダンジョン~
37/68

目指せ脱・ニート


 第2部開始です。




 それは、俺が自室のダンジョンをクリアしてから3日後の話である。


 「そういえば孝則。アンタってまだニートよね」


 ダンジョンクリアしてからというもの、俺は食材回収とゴブリン達との戦闘訓練以外でダンジョンに潜るのをやめていた。

 潜っていなかった理由は無いが、強いて挙げるならば未だ踏破した達成感に浸っていてそんなにダンジョンに潜る気力が湧かないというのが有るだろう。


 そんな折りに、母さんからそんなことを言われた。


 「ニートって、いくらなんでもそれは言い過ぎじゃない母さん」

 

 「え、そう?この間調味料の買い出しに行った時に猿渡君に会ったけど、彼、今のところ大学に通いながら月に5万は稼いでるそうよ。

 それに比べてアンタは、ダンジョンクリアしたのは凄いことだけれど、社会的行動で世間様から見たらただの引き籠もりのニートよ」


 言われて気付く。いや、目を背けていたことを直視させられる。


 そう、俺は今、食材こそ手に入れて家族に貢献しているが、社会的に見ればただの働きもしていない、家に引き籠もって何かをしているニートだ。


 現実を見たくなかった!


 「確かアンタの部屋のダンジョンはもう安全なのよね?」


 「………………うん」


 「だったら明日から駅前のダンジョンに行って来なさい。アッチならお金儲け出来るでしょ」


 母さんにそう言われて、俺は頷くしか出来なかった。



 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 7月15日。この暑い中、長袖長ズボンのジャージに着替えて、金属バットをケースに仕舞い、リュックサックを背負って、俺は駅近くのダンジョンに来ていた。ここに来るのも約2ヶ月振りだ。


 「えーっと……」


 なんか入口がゴチャゴチャしてるけど、これ、普通に入って良いのか?


 と、初めての事に戸惑っていると、後ろから声を掛けられた。


 「もしかして、加藤か?」


 「……おぉ、約2ヶ月振りだな、猿渡」


 そこに居たのは猿渡だった。


 「久し振り!お前、アレから見なかったから死んだかと思ってたぞ?まぁおばさんに会ったから生きてるって最近わかったけど」


 「すまん心配掛けた。俺は俺でダンジョンに潜ってたんだよ」


 「此処以外のか?」


 「まぁ、な」


 流石に猿渡相手とはいえ、この場でダンジョンクリアしましたなんて言えなかった。


 「ふぅーん……。てか、まだそんな格好で潜ってるのか?」


 そういう猿渡の格好はゲームで見たような格好だった。


 「そういうお前は、なんだかゲームみたいな格好だな」


 「何言ってんだよ!これが今、1番スタンダードな防具だろ!」


 「そうなのか?」


 「お前……、どんな所に潜ってたんだよ……」


 「知りたい?」


 「……えらく勿体振るな。え、そんなに楽な所なのか?」


 「楽……、うん、まぁ、最初の最初は楽だったかな。あとから何度も死に掛けたけど」


 「…もしかして、この前のダンジョンクリアした奴って……」


 俺は笑って返した。

 猿渡の顔が引き攣る。


 「って訳で、俺は此処には本当に約2ヶ月振りなんだ。作法とか有るなら教えてくれないか?」


 「あ、あぁ、良いぜ……」


 その後、猿渡に入り方や約束事なんかを教えられた。


 ・潜る際は、必ず入口前の受付で探索者カードを見せること。

 ・ダンジョンで手に入れたアイテムは全てダンジョン内の出入口に居る受付に全部渡す。

 ・その時にカードも渡す。渡せば持ち込んだアイテム分だけのお金を入金してくれる。

 ・出入口から出た際、最初の受付に話し掛けて安否確認の報告をする。


 という流れらしい。


 「そういえば、加藤。お前って、ソロで潜るのか?」


 「ソロ?あぁ1人でって事か?一応そのつもりだぞ」


 「だったらその格好はナメられるぞ?」


 「そんなにか?」


 「あぁ、だって、完全に初心者装備だぞ、その格好」


 「って、言われてもな」


 俺はジャージを【変化】させて鎧にする。


 「なっ」


 「むしろ、俺としてはコッチの方が都合が良い」


 俺はケースから金属バットを出し、それも【変化】で片刃のナイフに変える。


 「そんなゴテゴテした防御なんかより、鎧にしても動きやすく使いやすいコイツ等の方が良い。それで馬鹿にする奴等が居るなら、見る目無いって事で良いだろ」


 俺は金属バットに戻してケースに仕舞った。


 「ちょっ、と、そのバット、持ってみて良いか?」


 「持てるなら良いぞ」


 猿渡に俺はバットを渡す。

 猿渡は俺から受け取ると、大袈裟にバットを地面に落とし、顔を真っ赤にしながら必死に持ち上げようとしている。


 「大丈夫か?」


 俺はそれをヒョイっと持ち上げ、背中に背負う。


 「ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ……。 

 OK、わかった。お前には2度と喧嘩売らない。

 クッソォ……馬鹿にしたかったのに……」


 「聞こえてんぞ、馬鹿野郎」



 そのあといくらか話し、俺達は一緒に潜る事にした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ