第1部エピローグ
第1部のエピローグです。
俺はゴブリン達の戦利品をリュックサックに仕舞って、壁に触れた。しかし反応することはなかったため、仕方なく待機室へと戻って、そこから家へと戻った。
そして急いで1階へと下り、母さんを探す。
「母さん!聞いて!」
叫んで母さんを探す。するとすぐに台所の奥から出てきた。
「母さん!」
「慌ただしいな。孝則、もう少し落ち着けないの?」
「母さん!俺!やったよ!」
「ダンジョンを完全踏破したんでしょ?さっきあの時と似たアナウンスのようなものが聞こえたわ。また世界中に聞こえたんじゃない?」
母さんはそう冷静に言う。
「なっ、なんで母さんはそんなに冷静なの?だって、ダンジョンクリアしたんだよ?!」
「なんでって、アンタなら出来るって思ってたからね。大学受験以外は」
母さんは、俺が苦労してダンジョンをクリアしたとしても、いつもと変わらない母さんだった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「父さんおかえり!」
「やけにテンション高いな。やはりダンジョンをクリアしたのは孝則だったか。おめでとう孝則。お前は俺の自慢の息子だ!」
帰って来て早々、俺は父さんに伝えたくて、待ちきれず玄関で報告した。すると父さんは、嬉しい言葉と共に俺を目一杯抱き締めてくれた。
この暑い中外を歩いていたからか汗臭い。しかし、それが気にならないくらい嬉しかった。
「嬉しいのはわかったから。お父さんをまずは家に入れてあげなさい」
リビングから冷静な母さんの声が聞こえる。
やはり母さんはいつもの母さんである。
俺達は抱き締め合うのをやめ、父さんは寝室へ、俺はリビングへと戻る。すると今までなんの反応も示さなかった瑠璃が、ドタドタと音を立てながら下りてきた。
「お兄ちゃんダンジョンクリアおめでとう!これ、クリアしたお祝いに!」
そう言って瑠璃から渡されたのは紙の束だった。
「瑠璃、これは?」
「ダンジョンに出てきそうなモンスターの特徴とかゲーム内での弱点とかを記入したデータだよ!家にプリンターが無いから手書きになって時間掛かっちゃたけど、これからに役立ててもらえると嬉しいな!」
妹の優しさと、もっと潜れという言外の言葉にどう反応すれば良いかわからず、「お、おぅ」と曖昧な返事をしてしまう。
まぁ、潜るけどね、これからも。
「ありがとうな、瑠璃。大切に使わせてもらうよ」
瑠璃に礼を言って、瑠璃から貰ったデータを自室に置くために部屋に戻る。
自室に戻り、自室の鍵の付いた机の引き出しに紙の束を仕舞う。これは時間に余裕が有る時とかに読もう。
ふと、ダンジョンの有る押し入れに目をやる。
押し入れは閉めていてダンジョンの入口は見えないが、それでもこの2ヶ月散々潜ったダンジョンだ。どんな形の入口かは、もう見なくてもわかる。
俺は押し入れの襖を開け、中に置いてる金属バットを取り出す。
中学からの俺の相棒。他の人からすれば、今ではすっかり重くなったらしい相棒を指でなぞる。
コイツが居たからなんとかなったし、コイツが居たからクリア出来た。コイツが居なければ未だクリアはしていないだろう。
勿論リュックサックも有ったから水を持ち運べたというのも有る。だけどやっぱり、お世話になったのは相棒である金属バットだ。
「これからもよろしくな」
ポンポンとバットを叩く。するとバットが薄く光ったような気がした。
「お兄ちゃん、ご飯出来たって!」
部屋の外から瑠璃のそんな声が聞こえる。
「わかった、今行く!」
俺は急いで相棒をケースに仕舞い、襖を閉めて部屋から出た。
これは、俺がダンジョンと歩み始めたきっかけの物語である。
ということで第1部~自室のダンジョン~編終了です。ここまでお読みくださりありがとうございました。
第2部はこのあと8時より公開予定です。ですのでこれからも応援していただければと思います。
以上作者からのあとがきでした。




