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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
3/68

【変化】


 取り敢えず俺は母親に相談することにした。


 「なぁ母さん、俺の部屋の押し入れにダンジョンが出来たかもしれん…」


 母さんは急いで俺を連れ俺の部屋へと移動し、押し入れを開けた。

 そこにはやはり穴が空いており、階段が有る。


 「モンスターが出るとか言ってたけどそれは?」


 「なんか、昔やったゲームに出てきたスライムみたいなのが出てきたけど……」


 「………………」


 「………………」


 「攻略は任せた!」


 「おい母親!それが病み上がりの息子に対する言葉か?!」


 「大丈夫。あれだけ血を流してたのに死ななかったお前だ。ダンジョンに潜っても死にはしないでしょ」


 「何処から来るんだよ、その根拠は……」


 この会話をきっかけに俺は自室のダンジョンの攻略に乗り出すこととなった。


 って、いやいや、流石に無理が有るだろ!ホント何考えてんだこの母親!!?

 でも、何を言ってももう意味無い事を俺が1番よく知っている。何を言ってもこの母親の中では俺が1人で攻略することが確定事項であることを。


 世界はまだ地震の影響で落ち着いていない。法整備なんて有るわけもない。そんな世界でもダンジョンからモンスターが出てくる事は確定事項となった。


 ならもう攻略するしかない。仮にダンジョン攻略のプロが居たとしても、土足で家の中に入られるのは嫌だしな。腹を括るしかない。


 俺はこのダンジョンを1人で攻略することにした。



 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 さて、攻略しますか。


 俺は寝間着用のジャージから、未だにランニングなんかで使う白い前にチャックの付いたジャージと明るめの青色のしたジャージのズボンに着替えて、金属バット片手に靴を持って階段を下りる。靴は階段を下りる手前で履いた。流石に裸足では下りたくない。


 階段を下りると物体Xと戦い勝った場所に辿り着いた。

 改めてこの空間を観察してみる。

 第一印象は洞窟だ。しかし部屋の四隅ともいうべき場所を見れば、床と壁の接合部分はピッチリ分かれていて、まるで何処かの部屋に居るかのうようにも思える。


 なるほど、これがダンジョンか。


 そしてこの空間の真ん中。そこには昔やったゲームに登場した宝箱が有った。真ん中にポツンと。1つだけ。

 明らかに罠っぽい。しかし開けないことには始まらない。


 取り敢えずバットで頑張って宝箱を開けてみた。

 だって手で開けるのはなんか恐いし。


 開けると中からは1本の棒が出てきた。棒というか、1枚の紙が出てきた。

 ……何故紙?


 俺は紙を手に取ってみた。そして何が書かれているか確認する。

 内容はサッパリだった。たぶんこの世界の何処の言語でもないと思う。

 しかし読んだ次の瞬間、俺の頭の中になんとなくだが【変化】という言葉が浮かんだ。


 変化ぁ?なんでこんな言葉が思い浮かんだんだ?


 ただ何故か、その意味も使い方もわかった。

 使い方ってなんだって話だけど、なんとなくわかった。

 試しに金属バットに使ってみる。

 【変化】はどうやら、物を別の物に変える力らしい。でも、質量は変わらないらしい。

 使ってみた結果、金属バットは、なんと刃渡り20センチほどの小刀になった。いや、実物なんて見たことないから知らないけど、この分厚さって小刀って言って良いのか?どっちかと言うと分厚いナイフか。


 まぁ良いや。

 次に、今度は【変化】を解除してみる。するとナイフは元の金属バットに戻った。


 おぉ…It'sファンタジー……。


 その光景に、改めて世界にファンタジーがやって来たことを自覚する。

 母さんや看護師さん達の言うことは嘘じゃなかった。嘘吐き呼ばわりしてごめんなさい。心の中で謝っておく。


 【変化】の試運転は終わったし、今度こそ攻略しますか!


 俺は紙を宝箱に戻して、下りてきた階段と反対側にある壁にある通路へと歩を進めた。



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