【変化】の可能性と第4階層クリア
第4階層が難易度高過ぎる。なんだあの難易度?これまでの比じゃない。
第4階層の問題点を挙げてみよう。
問題点1。いつ、何処から攻撃が来るかわからない。
問題点2。避けることはほぼ出来ない。出来ても首を振るか腕で受けるだけ。
問題点3。敵の居場所がわからない。
問題点4。攻撃がギリギリ反応出来るほど速いこと。
問題点5。今のところ攻略法が全くわからないこと。
ぐらいか。
どれもこれも深刻な問題だ。現時点での俺ではどうしようもない。
……現時点での俺ではどうしようもないから、どうにか出来るまで強くなれば良い!みたいな、漫画の主人公みたいな楽観的な希望的感想を言えたら良いんだけど、ここって現実だしな……。
まぁ、これまでの経験から考えて確かにモンスターを倒せば倒すだけ強くはなれるんだろうけど、正直そうするぐらいならさっさと外のダンジョンに行った方が良い気がする。でも家の安全を考えるとな……。
堂々巡りが続く。
マジでどうするかな……。
……復習も兼ねて、これまでの戦い方をお復習してみるか。
1階層目。スライム。攻撃方法はバットで打って、弱ったところをバットもしくは【変化】させたナイフで突き刺しトドメを射す。
2階層目。もぐら。近寄って【変化】させたナイフでグサグサ刺したり地中から出てくるタイミングに合わせてバットで打つ。
3階層目。狼。【変化】させたもはやナイフと言えるのかわからない長さの刃物で刺したり斬ったり、バットで頭を破壊したり。基本刃物で傷付けてた。
こう考えると、金属バット単体ではクリア出来なかった階層がほとんどだな……。いや、時間を掛ければ出来たのか。
そう考えると、このダンジョンで手に入れた【変化】って、たぶんスキルは役に立ってるよな……。
でも今回はどうしようもないかな?【変化】させられるのってこのナイフなのか剣なのかわからない刃物だけだし。せめて斧にでもなってくれたらなぁ…、また違った戦い方が出来そうなんだけどな……。
そう思いながら、駄目元で金属バットに【変化】を使ってみる。
すると、
「お?」
金属バットは、その形状は変わらず、先端の方だけが花咲くように横に薄く伸び、気付けば鈍く銀色に輝く斧へと姿を変えていた。
「…………出来た?」
もしかして、【変化】って、俺が望むものに質量依存って制限有りで好きに形を変えられるスキル……なのか?
試しに、今度は斧からゲームで見た記憶の有る大きな刀身が太い剣をイメージしながら【変化】を使ってみる。
しかし今度は望んだ大きさにはならず、イメージした形をした普通の剣になった。やっぱり最初に【変化】を試した時みたいに、元となる金属バットの質量に依存した物にしかなれないか……。
って、あれ?そうなると、今の俺の金属バットって、普通の金属バットより重い……?
改めて意識して剣を金属バットに戻して持ってみる。
「…………変わんないよなぁ?」
重さは変わらない。だけど質量依存らしき現象では最初と比べて成れる物が増えてる。
あるぇ?
まぁ、取り敢えず、良いことを知れた。
じゃあ、服はどうだ?試しにジャージが金属鎧になるようなイメージをしながら【変化】を使ってみる。するとジャージは鈍く銀色に輝く鎧へと姿が変わった。
「おぉ!」
よし!よしよしよし!よし!!
これならイケる!!
あとは、ジャージを【変化】させたまま、バットを【変化】させられるかだけど……。
金属バットを初めて【変化】させた時のナイフをイメージしながら【変化】させる。すると、見事成功し、鎧を着ながらナイフを持った状態へと姿を変える事が出来た。
「よし!!これで防御力が上がったぞ!!」
試しにその場で跳んでみる。やはり金属に変えた事で重いのかそれほど高くはジャンプ出来なかったが、なんら問題無く跳べた。
「これでイケる!」
俺は第4階層の待機室から、三度4階層の部屋へと足を踏み入れた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「あ゛ーくそ!まただよ痛ぇ……」
入って今度は体感20分ほど持ち堪える事が出来たが、それでも今度も駄目だった。
いったい何が攻略の条件なんだ?
俺は1度家へと戻り、先生に相談してみた。
「先生って、まぁ確かにダンジョンについての知識は私の方があるかもしれないけど……。
【変化】って、質量さえどうにかすれば、思う物になるんだよね?」
「あぁ」
「だったらいっそ、そのバットを盾とかにしてしまえばもう少しマシになるんじゃない?」
なるほど、盾か。その発想は無かった。
早速瑠璃が考えてくれた事を試すために第4階層に戻る。
そしてジャージを鎧に、金属バットを大きな盾にして第4階層に挑む。
体感30分ほどだろうか?そのぐらい経った頃、いきなりピタリと野菜達の猛攻が止まった。そして真ん中に有る木の根元が爆発したかと思うと、木は倒れ、いつの間にか木の有った所には大量の様々な野菜が置いてあった。
「クリ…ア、した、のか?」
恐る恐る野菜達へと近付く。そして何も無い事を祈りつつ、複数有る野菜の内トマトを1つ取り、口へと運ぶ。
するとトマトは口の中で弾け、口内に瑞々しい汁が溢れ出す。何よりトマトが甘い。まるで果物みたいだ。率直な感想はただただ美味い。それに限る。
俺は急いで野菜達をリュックサックに入れられるだけ入れて、入れられない分は金属バットを【変化】で箱にしてそこに詰めた。それでも入りきらない分は泣く泣く諦め、壁に触れて第5階層の待機室へと移動した。
そして直ぐ様エレベーターで自室へと戻り、母さんに野菜達を献上する俺であった。
勿論そのあとは母さんの「水や肉も必要よね」の一言で第1階層と第2階層を巡回したのは、また別の話である。
もう夕食が終わってる事も有り、第4階層クリアの祝賀会が翌日の夜に持ち越されたのも、また別の話である。




