第4階層
2019/04/20時点。題名『ダンジョンとかいうのがこの世界に出来た日の前夜、俺は夜更かしをした』を、頂いた題名案を元に『浪人生、ダンジョンと歩む』に変更しました。
ですがまだしっくり来ていない部分が有りますので、今後も随時タイトル案は募集しております。
題名案をくださった方ありがとうございました。
6月19日。さて、今日からは第4階層の攻略……はせずに、第3階層のボス戦をしばらく繰り返すつもりだ。というのも、まだ俺は連携する相手というものに慣れていない。だから、それに慣れるためにしばらく通おうと思ったのだ。
と、言っても、慣れ次第すぐに第4階層の攻略に乗り出す気ではあるが。
さて、やりますか。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ふぅ……」
何度かご飯を食べに帰ったりして諸々有って、ダンジョン外時間で3時間。ある程度、というかだいぶ狼達の連携に慣れた。
狼達の連携は基本、先遣隊たる狼1匹から2匹が相手の注意を引き、他3匹の内2匹が相手の体を拘束。そして残ったボス狼が拘束された相手の首元に咬み付いてその喉笛を咬み千切る。というのが主な連携だった。
人間であれば注意を引く奴が危険過ぎるが、上手い連携だと思う。実際慣れる最後の方まで、必ず体の何処かを咬み付かれてたし。
ダンジョンというのは、戦えば戦うほど体が良いように慣れる。そのおかげで狼達の連携も、最終的には完全に避けれるようになった。ただ、これだと力業だと思ったから、何度も何度も斬り付けては逃げるって戦法や、纏まって来た狼達をバットで横凪ぎに殴って距離を詰められないようにしたりして、工夫した。
そうした工夫を重ねることで、ようやく無傷で【硬化】を使わず倒せるようになった。
さて、じゃあ行きますか。
俺は第3階層のボス部屋から奥へと進もうとする。今回は壁が無いし、進めば何か有るだろうと思っての行動だ。
案の定、草の壁に体が触れた瞬間ホワイトアウトした。そして気付けば、見慣れた待機室の風景だった。しかしエレベーターの光は上2つと真ん中の左は白く光っており、真ん中の右は赤く光っていた。
俺は1度、第1階層にスライム水を補給しに戻って、補給したあと第4階層の待機室に戻ってきた。
スライム水は何かと重宝する。未だに黄緑色のやつが何かはわからないけど、毎回潜るときは第1階層に寄るぐらいにはお世話になってる。
準備を万全にした俺は、第4階層へと続く道に足を踏み出した。
第4階層もこれまでと同じで一本道だった。しかし今回はコンセプトが森なのか、木々に覆われていた。
進むとまた部屋のような場所に着く。しかしその手前には、何故かボス部屋の証たる門が有った。それなのに、何故かそこには何も無かった。敵と思しきモンスターの影すらない。有るのはこの場に似合わない不自然な畑と真ん中に木が1つ有るだけ。
もしかしたら隠れているのかもしれない。
そう思い、部屋の中に入り中程まで移動すると、唐突に腹にかなりの衝撃が走った。油断していたこともあり、ダメージが思ったより大きい。
俺はぶつかってきたものの正体を探るべく周りを見てみるが、やはり周りには何も居ない。
ただ、不思議な事に、足元にキャベツが落ちていた。
なんでキャベツ?
そんなことを考えていると、今度は背中に衝撃が走った。慌てて振り返ると、やはり何も居ない。しかし、足元には少し潰れたじゃがいもが落ちていた。
また野菜か。なんだこれ?
今度は横腹に衝撃が走った。流石にヤバイと思い、【硬化】をジャージ……ではなく体に掛ける。
横腹への攻撃がなんだったのか調べる為に周りを探る。しかし何処にも敵の影は見えず、足元には潰れたトマトが有った。
トマト?
そこでハッとする。そして慌てて横腹を確認すると、ジャージにはトマトの汁のような物が付いていた。
まさか?!
そう思った時には遅かったのか、顎に衝撃が走った。確認すると、それは大根だった。
いよいよ俺の予感が的中している可能性が高くなった。
俺の予感。それは、ここのボスというのはこの部屋全体なんじゃないかということ。そしてその攻撃方法は、野菜による遠距離攻撃なんじゃないかということ。
考えてる内に、今度は頭の上から衝撃が来た。頭の上から潰れたリンゴが落ちる。
そこで俺は背筋が凍ったように冷たくなったような感覚に襲われた。【硬化】を体に掛けてなければ、恐らく大根とリンゴの一撃で死んでいた。
その後も何度も野菜や果物による狙撃を受けて、【硬化】をしているのに満身創痍となり、俺はこの階層から逃げた。
俺の階層デビューは毎度逃げ帰るものらしい。
俺は久し振りに味わった死の感覚と、野菜達の味とどうやって攻略すれば良いのか皆目検討がつかない事に、若干心が折られたのであった。




