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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
12/68

1階層クリア


 次に視界に光が戻ったときには、ダンジョン入ってすぐの部屋と似た部屋に居た。周りには何も無い。

 いや、先へ続く道と、その反対に門のような物が有った。


 俺はまず、先に進む方の道を覗いてみる。

 覗いてみると、そこは、これまでの洞窟が鍾乳洞や岩を連想させる洞窟だったとしたら、覗いた先は土で出来た坑道をイメージさせる洞窟だった。


 一旦その道を離れ、今度は門へ近寄ってみる。

 門は藍色の光を放つ不思議な色をした門で、楕円形の円を3分の1地面に埋めたような見た目だ。

 門の横にはランプのような物が6つ、サイコロの六の目のように付いており、その1番左上が白く光っていて、その隣は赤色に光っていた。あと4つは黒くなっている。


 それ等を見て最初に思ったのはエレベーターだ。


 そう思うとこの門がエレベーターにしか見えなくなってきた。

 試しに白く光っているランプのような物を押してみた。


 すると門はゴウンという音と共に光り出し、門の中が渦を巻いて光っていた。


 「…………これ入るのは、なかなか勇気が要るぞ……」


 俺の推理はこうだ。

 まず俺が居るのは、恐らくこのダンジョンの2階層目の待機室のような場所だ。そしてさっきホワイトアウトしたのは、第1階層のボス部屋からワープしたんだと思う。続く道は2階層のフィールドに繋がっている。そしてこの門は、まさに各階層を行き来するためのエレベーターだ。


 ……自分で考えててなんとも考え方がファンタジーである。ダンジョンにここまで毒されたか。


 しかし、俺にはもう、そんなことぐらいしか考えられない。


 「…………えぇい、男は度胸だ!」


 意を決し、俺は門に入った。




 気が付くと、いつものダンジョンに入ってすぐの部屋だった。確証は無いが、少なくともこの部屋には上へ昇る階段が有った。


 門は俺の部屋からの入口を背にしたときの右側の壁に設置されていた。


 俺は帰りたい気持ちも有ったため、階段を昇る事にした。


 階段を昇ると、案の定昇った先は俺の部屋だった。

 良かったぁ!正直今日はもう、潜る気無くなってたから、戻って来れて本当に良かった。


 靴を脱いで押し入れに作った靴箱に仕舞って、押し入れから這い出て大の字に床に寝転ぶ。


 「戻ってきた」


 その安堵感からか、そのあとすぐに寝てしまった。




 「父さん、母さん、瑠璃。取り敢えずダンジョンの1階層をクリアした」


 夕食のとき、あまりの嬉しさに家族に報告することにしてみた。


 「本当か!じゃあ次はまた違う物が出て来るのか?」


 父さんが子供のように楽しそうに言う。


 「いや、まだわかんない。ただクリアして、その達成感と疲労で今日はクリアしてから潜ってないから詳しいことはわかんない」


 「そうか…。また消耗品の場合は無理しない程度に一杯集めてきてくれよ」


 「無理しない程度にね」


 俺達の会話を聞いて瑠璃は心底楽しそうだ。というか、俺にボスがどんなのだったか聞きたいようにも見える。


 母さんは……、この間の宣言からあまり顔を合わせてくれない。今回もそんな感じだ。うん。母さんについてはもう割り切ってるから良い。


 「ねぇねぇお兄ちゃん!ボスってどんなのだった?!」


 ほら、案の定瑠璃がボスについて聞いてきた。


 「ボスはなぁ、」


 俺はそれを、ボスについて得意気に話す。


 家族のこうした会話で、改めて1階層をクリアした達成感が俺を包むのであった。




 お母さんは気難しい人です。



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