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浪人生、ダンジョンと歩む  作者: 荒木空
第1部~自室のダンジョン~
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ダンジョンとかいうのがこの世界に出来た日の前夜、俺は夜更かしをした


 有名な某歌の出だしの歌詞を思い出す。

 何故唐突に歌詞の話が出て来るのか。これは今の俺の状況に関係している。


 時は2XYZ年5月11日。この日は俺の20歳の誕生日であった。

 この日の前夜、つまり昨日、俺は遂にお酒が合法で飲めると有頂天になり、誕生日が休日の日という事もあり日付が変わると共にコンビニに寄ってお酒を買った。買ったのは『ほろっと酔っちゃった』。お酒初心者だったりお酒が苦手な人が飲むと言われてる、酒豪の先輩曰くジュースを手始めにと思い買ったのだ。


 家に帰りほろっと酔っちゃったを飲む。先輩の言うようにまるでジュースみたいに飲める。ただやっぱりアルコールなのかほろ苦さが有って、それがまたほろっと酔っちゃったの味わい深さを際立たせてるように思う。


 彼は誰時も過ぎ、そろそろ始発の電車が走り始めようかという頃、俺は1人酒盛りを終えて眠気と共に意識を手放した。


 そして気付くと今の状況という訳だ。

 何がなんだかわからない。ただ、青い服装の、そう、まるで救急隊員みたいな人に何かに乗せられて何処かに移動させられているということはわかる。だから俺の今の気分はあの歌の子牛の気分だ。何もわからず親の庇護下から何処かへ連れて行かれる怖さというのはこういうものかと場違いな事を考えてしまう。


 案の定、車の荷台みたいな所に着いて、そのまま車に乗せられた。


 「────!──────?────!」


 救急隊員みたいな人が何か言ってる。でもその声は何故か聞こえない。


 何言ってるのさ、ちゃんと声に出して言ってくれよ。


 と、此処で再び意識が遠くなるのを感じる。

 俺は意識を手放した。



 ☆   ☆   ☆   ☆   ☆



 時は2XYZ年5月20日。場所は6人部屋の病室。隣には荷物を詰めてくれている母親が居る。


 俺が意識を手放してからの話をしよう。

 まず、世界は俺の誕生日の朝9時に世界に大きな地震が発生した。地震は大きなものだったらしい。この災害の被害は今も終息しておらず、病院のベッドが足りない状況でもあるらしい。

 その地震が収まった時、世界に何者かの声が世界中に響いたらしい。内容は以下のようなものだったそうだ。



 『パンパカパーン!地球の皆さん、こーんにーちはーー!!

 唐突に地震が発生してみんなパニックだよね?そんな直後に声が聞こえてよりパニックだよね?


 良いね、そのパニック!!最ッ高に愉快だよ!!


 さて、そんな君達に更なるパニックを起こす情報を与えよう。

 さっきの地震は君達1人1人が住んでる地域だけじゃなく世界中、つまり地球規模で起こった地震だ。

 あ、これ聞いて世界の終焉とか想像しちゃった?ある意味ソレ正解!


 あまり焦らすのもなんだから、そろそろ本題に入ろう。

 さっきの地震で君達の地球に救いの手とも取れるし滅びの声とも言えるものが世界中で発生した。


 君達は【ダンジョン】というものを知ってるかな?

 日本人でサブカルチャーに明るい人達ならわかるかな?ダンジョンっていうのはファンタジーの代表ともいえる代物だ。詳しい説明は省くよ?だってめんどくさいし、日本人の知るダンジョンを基準に作ったから知りたければ日本のサブカルチャーのダンジョンでも調べてね。それを参考にしたから。


 そのダンジョンが世界中のあちこちで発生しました。

 説明を省くと言ったけど、これだけは言っておくよ。ダンジョンは資源の宝庫であると同時に死の危険が付き纏う危険な代物だ。探索して攻略すれば安全だし資源も潤う。でも逆に、放置すれば瞬く間に生物は滅びるだろうね。


 そうだね、言うなればダンジョンというのは神の試練みたいなものだと考えてくれれば良いよ。

 試練に挑戦し生還すれば富を、試練に失敗すれば死を。わかりやすいよね。


 そういう訳だから、地球の皆さん。頑張って生きてね。これが最後だと思ってくれたら良いから。じゃあね』



 という物だったそうだ。


 最初の感想はこれだ。「なんだそのファンタジーやメルヘンみたいな冗談は」

 だって、当然の反応だろう?ダンジョンって。ゲームとかのフィクションじゃないんだから。

 俺は当然笑い飛ばした。でも、母親は真剣な表情(カオ)で言うし、似たことを病院の看護師達も言う。だから俺も渋々納得する事にした。


 そんな説明を受けたのが3日前。つまり俺は、5日間も意識が無かったって事になる。我ながらよく生きてたと思うよ。

 そしてこの3日で精密検査や日常生活に支障がないかの検査をして、問題無しと判断されたから今日退院することになったのだ。

 本来であればもっと入院している筈なのだが、今はベッドが無いし、何処の病院も忙しいのと患者で溢れ返っているから少しでもベッドが空くならそれに越した事はないという判断だそうだ。


 こうして俺は、最低な誕生日を終えて約10日振りに我が家へと帰ったのであった。



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