任務中に幼女を拾った 8話 エンジェ
僕は手紙を読み終わるとメイアをお姫様抱っこのような格好で抱きあげた。
「え、ちょ、どうしたの!?」
「ちょっとエンジェに早くつかないと行けなくなったから飛んでいくよ」
「飛ぶってまさか…」
「うん、そういうこと、しっかりつかまっているんだよ?」
うん、といいメイアは僕の服を力いっぱい掴んだ。
僕はそのまま『フライ』を使って、エンジェに向かった。
「もうすぐで着くけど、ここからは歩いて行こうか」
「う、うん」
エンジェから少し離れたところに降り、歩いた。
「なんで、そのまま飛んでいかなかったの?」
なんて答えるか困った。とぼけることもできるけど…
「いい?これから言うことは誰にも言っちゃだめだよ?」とメイアには本当のことを話すことにした。
「うん!わかった!」
「実はここら辺のところを任されている役人所みたいなところがあってね、だいたいそういうところには魔法探知機みたいなものが設置されているんだ。僕のさっき使っている力『フライ』は失われた力、ロストマジックって力の一つでね、あまり探知されたくなし、ほかの人にも見られるわけにはいかないんだよ」
「なるほどね~」
「私も聞きたいことがあるんだけどいい?」
「いいよ?」
と言ったが、メイアは話そうとしない。
「どうしたの?」
「う、ううん!なんでもない!ええ、とね?」
「どうして、こんなにやさしくしてくれるの?」と、とても言いづらそうに聞いてきた。
なるほどね…と納得した。
どうしたものかと僕は考えた。メイアは自分自身のことをあまりわかってはいない。僕が考えていることはあくまでも仮説にすぎない。そんな仮説にすぎないものを言っていいのだろうか?など色々考えていた。
「う、うーん、なんて話そうかなー…」
「メイアはさ、困っている人がいたらどうする?」
「え?困っている人?それは助けるかな?」
「うん、そうだよね、つまりはそういうこと」
「???」
メイアは首を傾げながら僕を見た。
「僕はメイアを助けたいと思ったから助ける、こういうことだよ」
顔を真っ赤にし、僕に見せないよう顔を隠し、裾をぎゅっと握ってきた。
それから何も話さないまま、歩いていった。
「ここが、エンジェ」
「そう、ここがエンジェだよ。」
「きれいな街だね~、それでこれからどこに行くの?」
「そうだね、ちょっとついてきてもらっていい?」
「いいよ~」と後ろについてきて、僕とメイアは目的地へ行った。
「それで、どこに向かってるの?」
しびれを切らして聞いてきた。
「この街にはギルドって言われる役所みたいなものがあるんだよ」
「ギルド?」
「そう。難しい話になるんだけど、このエンジェって街はミクセル王国っていう国に属しているんだけれど、この国は委員会っていう組織と国軍っていう組織があるんだよ」
「その中の委員会っていう組織がこの国の統括を任されている組織でね。ギルドっていうのはその下請け組織みたいなものだよ、いいなりみたいにね」
「もう訳が分からないよ!!」
髪の毛をぐちゃぐちゃにしてメイアは叫んだ。
「着いたよ」
「ここがギルド…」
まるで学校のように大きいその建物はメイアにとって圧巻としたものだった。
僕はギルドに入り、すぐに受付に行った。
「あのー、すみません。今日ギルド長はいますか?」
「おと、ギルド長でしたら、出勤しておりますよ」と受付のかわいい子がそう返してくれた。
「大至急ギルド長に会わせてもらえませんかね?」
「かしこまりました。ちなみに失礼ですが、お名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ヴォルアって言います。」
「ヴォルアさんですね。かしこまりました。そちらの椅子に座ってお待ちください」
にこって笑顔を見せ、受付の子は裏へ行った。
「メイアはそこに座って待ってようか」というと
ふん!って顔をぷいってした不機嫌なメイアがいた。
「え、どうしたの?」
「しらない!」
どうやら怒らせてしまったみたいだ。怒らせるようなことはしてないと思うのだが…
そうして椅子に腰かけて数分たった。
「すまん!遅れた!」と大柄な男の人が出てきた。
メイアはいきなりのことでびくってし、ヴォルアの後ろに隠れた。
「全然大丈夫ですよ。ローウェンギルド長」
「久しぶりだな!ヴォルア!」
「こ、この人は?」と震えながら聞いてきた。
「この方はこのギルドのギルドマスター、ギルド長のローウェンさんだ」
「ヴォルアはそちらのお嬢ちゃんは?」
「あぁ、この子はメイア、今一緒に旅をしている子です」
「なるほどぉ、この子が…」
ローウェンはメイアのほうを見て、メイアはローウェンと目が合うと怖がってもっと顔を隠すように僕の後ろに隠れてしまった。
「こりゃあ、完全に怖がらせちいまったなぁ」
「こーら、ちゃんと挨拶しなさい」
は、はーいといい、顔をひょっこり出し、
「こ、こんにちは、メ、メイア、です」
「こちらこそよろしく、ローウェンだ」
さてといいローウェンは話を切り出した。
「ヴォルア、ギルド長室で話そう」
「わかりました」
「メイアはおとなしくタニアちゃんといること」
「タニア?」
「あれ?なんで私の名前を知っているんですか?」
(しまった…)
「あ、会ったときに名前を教えてくれたじゃないか!」
「そう、でしたっけ?」
「そうだよ!」と僕は焦りながらも答えた。
「行くぞ、ヴォルア」
「は、はい!おとなしく待ってるんだよ?」とメイアに声をかけ、ローウェンについていった。
◇ ◇ ◇
「ここがギルド長室だ」
ローウェンは扉を開け、僕を先に入れた。
「なかなかきれいな部屋ですね」
「そうだな!まあいい素材で作ったもんでね」
「さあ、座って待っててくれ、コーヒーを出す」
「あ、お構いなく~」
そこで俺は『サウンドジャミング』を使った。
「念には念をってことですか?」とローウェンはコーヒーを入れたコップを持ってきた。
「あぁ、一応な」と俺はコーヒーを口に含んだ。
「やっぱりローウェンがいれたコーヒーは本当に美味しいな」
「恐縮です。最近はいれてなかったものですから、うまいかどうかはわからないです」といい、僕の目の前に座った。
「さて、今日はどのような用件でこちらに来たのでしょう、ヴォルアさん」
「実はね…」