任務中に幼女を拾った 5話 幼女と朝ごはんと遠き地
窓から幼女の顔を太陽の光が照らしていた。
「んん~。なに~…?」
幼女は光に耐え切れず体を起こし、大きくあくびをする。
「ふわぁ~」
幼女は体を揺らしながらドアを開けた。
幼女が住んでいる「デビット」という宿屋は2階構造だ。
2階は宿屋、1階が食堂(夜には酒場)となっている。
幼女は目を擦りながら1階に降り、いつもの席に座った。
「おはよう。今日は早かったね」
前にいる男の人が話しかけてきた。
「太陽に負けた」
と幼女は眠たそうに即答した。
「なるほどね」
そう言いながら近くにあった、水の入った容器とコップを2つ持ってきて水を入れた。
「どうぞ。メイアはいつも朝は弱いね」
ヴォルアは2つのコップに水を入れて、メイアの前に出した。
ありがとうといい、メイアはコップに口をつけた。
「ヴォルアはいつも早いね」
「そうかな?」
ヴォルアもそう言い、コップに口をつけた。
「そろそろご飯食べる?」
「うん」
わかった。と言いヴォルアは奥にいるある人の名前を聞こえるように言った。
「ワーニンー!」
奥のほうから「はーい!」という声が聞こえてきた。
「どうかしました?」
奥からやってきた走って2人のところまでやってきた。
「今、大丈夫?」
「もう少しで終わるので待っててもらえますか?」
「わかったよ~」
ヴォルアがそう答えると「少々お待ちを~」と言い、ワーニンは再び奥のほうへ戻っていった。
「忙しそう」
「そうだね。まあ休日だからね」
それから約5分くらい経ってからワーニンは来た。
「お待たせいたしました。ご用件はなんですかー?」
「お腹が空いたから朝食Aセットを2つお願いできないかな?」
「朝食Aセットを2つっと」
ワーニンは頼まれたことをメモしていった。
「ほかにご注文等はありますか?」
「今のところは大丈夫だよ」
「わかりました!」
ワーニンは、せっせと奥へ戻っていった。
それからしばらくしてワーニンが、大きなお皿を両手に持ち戻ってきた。
「お待たせいたしました。朝食Aセットになります」
2人は目の前に出された、パンやフルーツを口に入れた。
◇ ◇ ◇
2人はお腹を満腹にしていたころ。
とある遠き地の洞窟内にて。
「ぐあああぁぁぁああああ!!!」
1人の男が倒れた。
「ふん、この程度か」
その者は赤い髪をし、右手には赤い剣が握られていた。
手に握られた赤い剣をしまった、その時。
「困りますねぇ。勝手なことをされては」
いきなり後ろから声を掛けられた。
赤髪の男はとっさに後ろを振り返った。
「誰だ?」
その声の主は、顔に変な模様の仮面を付けていた。
さらに、その声は男か女なのかわからない声をしていた。
(声を変えているのか?何のために?)
そんなことを考えているとき、仮面の者が喋りだした。
「名乗るほどの者ではございません。ですが」
少しの間があった。
「あまり調子に乗られると、実に不愉快なんですよ」
その右手には杖のようなものがあった。
「俺とやるのか?」
赤髪の男は剣に手を掛けようとした。
その時、
「あはははは!!」
いきなり仮面の者は笑い出した。
「なにがおかしい!」
赤髪の男も挑発され、憤る。
仮面の者も「いやいや」と言い、
「貴方と戦っても、私にはメリットはありませんよ」
「なにっ!」
赤髪の男は身構える。そして、
「死ね!!」
いきなりその赤い剣で切りかかった。
だが、
「な、なに?」
そこにはもう仮面の者はそこにはいなかった。
「勘違いをしないでいただきたい。私は忠告しに来ただけですよ」
「忠告だと?」
「はい…クスクス」
仮面の者の声は、笑っているような声をしていた。
いきなり洞窟内に入ることのない冷たい風が吹き、背筋を凍らせた。
「名を名乗れ!!」
赤髪の男はどこにいるかわからない、仮面の者に向かって叫んだ。
「名前ですか?そうですねぇ」
「タルタロスと名乗っておきましょう」
(タルタロス…)
「それでは、さようなら」
「ま、待て!」
そうすると仮面の者の気配が消えた─────