任務中に幼女を拾った 4話 幼女の着替え
「きれい…」
目を閉じていたメイアはいつの間にか目を開けていた。
メイアは雲が一切ない星空を見つめていた。
「だろ?ここの森はあまり灯りがないから夜は星空が綺麗にみえるんだよ。じゃあ少し速度を落とすよ」
メイアがゆっくり星空を見れるように『フライ』の速度を遅くし、ヴォルアは目的の場所に向かった。
2人はデビットのある街<ジスタ>の正門にやってきた。
メイアは初めての飛行だったため、始終、目を閉じたままだった。
「もう目を開けていいよ」
その言葉を聞いてメイアはそっと目を開けた。
「楽しかった?」
「う、うん」
「よかった。じゃあ、行こうか」
ヴォルアが手を差しのべとメイアはその手を握り、2人はデビットに向かった。
「ちょっとここで待ってて」
2人はデビットに着いたがメイアのこの姿を見られるわけにはいけないのでヴォルアだけが先に入った。
ワーニンとヴォルアのやりとりは小さい声だっだが、メイアは聞き取ることができた。
「いらっしゃいませーって…ヴォルアさんじゃないですか!遅かったですね~!」
「その話はあとだ。いきなりで悪いんだが、大至急ワーニンの服を貸してくれないか」
ヴォルアはいきなりドアを開け、ワーニンに服を貸してもらえるように頼んだ。
「え、い、いきなりなんですか!?」
「理由はあとで説明するから!はやく!」
ワーニンはヴォルアのことをよく知っている。だからこれは緊急事態だと察した。
「わかりました!少し待っててください!」
「あ、ありがとう!」
そういうとワーニンは奥に行ってしまった。
「その服を裏庭に持ってきてくれ!」
と奥に行ってしまったワーニンに聞こえるように大きな声で言うと。
「はーい!わかりましたー!」
と奥から返事が返ってきた。
ヴォルアは急いでメイアのところに戻った。
「メイア、1人で大丈夫だったか?」
こくりとメシアは首を縦に振る。
「少しの辛抱だからな~」
ヴォルアは再びメイアの頭を撫でた。
メイアが少し顔が赤くなっている。
それを感じたヴォルアはメイアは熱がでているのかと心配している。
(まだかなー)
と思っていたら、メイアが震えていることに気付いた。
「大丈夫?」
「自分だけが思っていてもしょうがない」と思い、本人に聞いた。
「だ、大丈夫です」
と震えながら答えた。
「少しじっとしててね」
メイアは首を少し縦に振った。
こんなに寒がっているメイアを温めるために抱きつこうとしたとき─────
「なにしてるんですか?」
と冷たい声が聞こえた。
「え?」
その方向にヴォルアが顔を向けると、そこには目のハイライトが消えたワーニンが立っていた。
「え?じゃないです。一体何してたんですか?」
ともう一言。
「い、いや、あ、あのですね!ワーニンさん?」
メイアは初めてヴォルアが動揺しているのを見た。
「その子は誰なんですか?」
ワーニンがメイアの方を見た。
「あ、あの、わからないんだ」
さらに、ワーニンの顔が暗くなった。
「は?ちゃんと説明してもらいますからね?」
「は、はい…」
ワーニンに威圧され、力細く返事をした。
「とりあえずこの子に服を着せないと」
ワーニンがメイアに寄り、服を着せようとする。
メイアの服を脱がせた、ワーニンは後ろを振り返った。
「わ、わわ!なにしてるんですか?早く部屋に戻っていてくださいよ!」
とワーニンが驚き叫んだ。
「え?」
ヴォルアは府抜けた返事をした。
「え?じゃないですよ。ヴォルアさんがいたら着替えができないじゃないですか?」
「私は平気」
メイアがヴォルアの足止めをする。
「ていうか、もう見られた」
メイアのその発言で、時が止まった─────
実際には、そんなことになってはいないがヴォルアはそう感じた。
ワーニンはそっと、ヴォルアの肩に手をおいた。
笑顔だった。とってもかわいい笑顔だった。だが、ヴォルアにはその後ろにある炎のようなものが見えた。顔は笑顔だが言葉はとてつもない乾いた言葉だった。
そして同時に、脳内にワーニンの声が聞こえた。
「うふふ、ヴォルアさん?なにがあったかちゃーんと説明してくださいね?(この用事が済んだら私のところまで来なさいね?)」
「で、でも!」
「早く戻ってくださいね?(覚えてなさい?)」
「は、はい…」
ヴォルアは引き下がり部屋に戻っていった。
その後、ワーニンとヴォルアがなにをしたのかは別のお話。