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任務中に幼女を拾った  作者: Re:⑨
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任務中に幼女を拾った 3話 幼女の初体験

 ワーニンと初めて会ったことをヴォルアは思い出した。



 (懐かしいことを思い出したな。そういえば)



 あることを思い出し、腰にあるポーチからあるものを探した。



 「あれ?確かここにしまっておいたはずなんだけど」



 あるもの見つけ、それを少し割って幼女に見せるように言った。



 「ほーら、こっちに来てくれたら、これあげるからおいで」



 幼女はその手にあるものを見て、目を大きく開けてヴォルアのところまで小走りでやってきた。



 「ん?ん?」



(チョコレートを知らないのかな?)




 ヴォルアは優しく「チョコレートだよ」と言い、幼女に渡した。



 「食べてごらん?」



 それを聞いて幼女は匂いを嗅ぎ、チョコレートを少し食べた。



 幼女は「んんーっと」と喉を鳴らして、残りのチョコレートもぱくぱくと食べてしまった。



 「おいしい?」



 チョコレートを飲み込んだと同時にしたその質問に、幼女はハッとした様子を見せて、幼女は再び木の後ろに隠れてしまった。



 「え、えぇ」



 ヴォルアは近くにあった木に持たれかけながら座った。



 それからしばらくして小さく足音が聞こえた。ヴォルアは結構、落ち込んでいたため全く気付かなかった。



 「ん?」



 そんなことを思いながら、頭になにかが触れた。それを確認するためヴォルアは少し顔を上げた。



 そこには─────



 ヴォルアの頭を撫でている、幼女の姿があった。



 「だ、大丈夫?」



 心配そうに尋ねてくる幼女。



 「う、うん。大丈夫だよ」



 そう答えるヴォルア。



 「君の名前はなんていうの?」



 再び同じ質問をした。また逃げると思っていたが、幼女は逃げることはせずに泣き出してしまった。



「な、なんで!?」



 「わ、わから、ない、の、」



幼女は涙を手で拭いながら訴えた。



「な、なにが?」



「ぅ、な、名前、」



  (そうだよなぁ)



 ヴォルアは幼女の頭を撫で続けた。



 撫で続けて10分経った頃、幼女は泣き止んだ。



 「なんとなくでも、思い出すことできないのかな?」



 幼女はこくりと首を縦に振り、目を閉じた。



 そしてしばらくたったころだった。



 「メ……」



 いきなり幼女が声を出した。



 「メ?」



 「んー……...」



 (思い出そうとしているのか)



 思い出す邪魔はだめだと思ったヴォルアは口を閉じた。



 「メ...メシ……んんーーー」



 頭を押さえながらヒントとなることを口にした。ヴォルアはその必死なものを見て応援の言葉を口にしていた。



 「が、がんばれ!!」



 「んーーー...メシ……メ...イ……」



 それからしばらくして、幼女は頭を押さえるのをやめた。



 「ん?どうしたの?」



 ヴォルアは心配して、声をかけた。



 幼女は顔を上げ、ヴォルアのことを見つめた。



 「え、あ、お、思い出した」



 「本当に!?」といいヴォルアは名前を尋ねた。



 「何て名前なの?」



 「私の名前は───」



 「私の名前は───メイア」



 その日、幼女の名前がメイアだとわかった────

  


 それからが大変だった。



 それはなぜなのか?



 ヴォルアはメイアに「ここは夜になると、とても危険になるからついてきてもらえる?」と尋ねた。



(まあ服はデビットに着くまでは俺の上着を貸せば問題はないか。メイアが小さくてよかった。)



メイアの体の大きさが小さいためヴォルアの上着だけで一応隠せるには隠せるためこの問題は解決した。



 ヴォルアにはもう1つの問題があった。


 

 それはデビットに着くまではいいのだが。着いてからメイアのことをどう説明するかが問題なのだ。



 ヴォルアは腕を組み考えた。



 (んー、尺だが、襲われたのを助けて連れてきたってことにするしかないか…?)



 仕方ないと思いながらも一応この問題も解決した。



 次はここからの移動手段だ。ヴォルアは自分の速度を最大で10倍にすることができる能力『アクセル』を持っているが、それを使ってもヴォルアは自身の速度は上がるが、メイア自身の速度は変わらない。



 簡単に説明すると、メイアはものすごい早いヴォルアに引っ張られている感じになってしまうのだ。



 (どうしたものか。やっぱりここは『フライ』を使うしかないな)



 ヴォルアは飛行能力『フライ』を持っている。



 つまり、この子を担いで空を飛びデビットまで行こうという考えだ。



 (結構『フライ』は力を使っちゃうんだよなぁ。まぁ、しょうがないか)



  そう考え、飛行能力『フライ』を使い、この森を脱出することをメイアに伝えた。



「ん…」



メイアはあまり納得していない様子だがすぐに承諾してくれた。



「わ、わかった」



「よし、俺がメイアを担ぐからしっかり服でもどこでもいいからつかまってるんだぞ?」



メイアは軽く頷いた。



「よいしょっと」



「わ、わわっ」



その小さい体のメイアをヴォルアは担いだ。



「しっかり、つかまっているんだぞー?」



 メイアに声をかける。



 「よ、よろしくお願いします」



 ぎこちなくメイアは答えた。



 「よし、行くか!」



 それを聞いたメイアはヴォルアにしがみつき、目を閉じた。



 『フライ!』



 ヴォルアの体は『フライ』のエネルギーの影響で薄い黒い光に包まれ、宙に浮かんだ。



 そして、メイアは初めて空を飛んだ────


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