城はでかい
ピコとグルーチョの住んでいる国では70歳を越えた人族の老人には年金が支給される。
しかし、色々と役人も大変なのだろうか。
ここ2・3年、国の中心にある城までいかないと年金が貰えなくなってしまった。
ピコとグルーチョは村から徒歩と乗り合いの馬車で平野、そして城下町を抜けて1時間半かけて城までついた。
国はそれほど大きくはないが、二人の住む村は城下町からさして遠くはないところに位置していた。
二人は城の中に入っていったがその場所を忘れてしまっていた。
親切な衛兵に連れられて、年金の支給される場所に行くことになった。
中には長いすが沢山置かれていて、年金の配布を待っているお年寄りやらその代理人やらが沢山いた。
「はぁ、長かった…やっと座れる。お爺ちゃん、疲れ……あれ!?」
ピコはそこについたところでグルーチョに話しかけようとして、いないことに気がついた。
周りをいくら見渡してもいないかった。
「お、お爺ちゃん!?…え、衛兵さん。お爺ちゃんどこに行ったか見ていませんか?」
案内してくれた衛兵の胸倉を掴んだピコは衛兵に迫った。
「い…いや、最初にお嬢さんと一緒にいたのは見ましたが…それ以降はここまであまり後ろを振り返りませんでしたし…。」
衛兵は困った表情で返事をした。
ピコはそれを聞くと手を放して、衛兵はその服の乱れをさっと直した。
ピコはそれを見るや否や走り出して、来た道を戻った。
「ちょ!城の中をあまり走り回らないでくださいね!!」
衛兵がピコの後姿をみて叫んでいた。
ピコはでかい城の中を走り回った。
時々衛兵に注意されて、その度にグルーチョがいなくなったと説明した。
しかし、一向に見当たらなかった。
城だと言うのに結構な人数の一般人がいっぱいいる。
今城内が騒がしいのは魔王のせいらしい。
魔王討伐のために若者が集められているという場所があった。
その場所にはさすがにいないだろうと思っていたピコはその他の場所を走り回った。
結局そこを残してどこにもグルーチョはいなかった。
ピコは息を切らせながらその中に入っていった。