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冒険のパーティーって何で最高6人くらいまでなの?

 多くのお年寄りの朝は早い。

グルーチョもそんな一人であった。

その朝は前日とは違いフカフカのベットで寝て、1日ぶりなせいかグルーチョの体操は冴えていた。

しかし、動きはかなり遅い。

「ふぁぁ…グルーチョさんは毎朝あれを?」

宿の二階の部屋からアトとピコが外を見下ろしていた。

目線の先に朝日を浴びて幸せそうに体操をしているグルーチョがいた。

「やけにゆっくりですけど…。」

アトは苦笑いしながら言った。


 グルーチョが体操をして戻ってくると日はかなり昇っていてアトとピコがとっくに準備を済ませてすぐに出られるようになっていた。

食事はない宿だったのですぐにチェックアウトしてごはんを食べに行こうということになった。

昨日は夕飯にパンをかじった程度だったから非常にお腹がすいている。

「屋敷のすぐ傍においしそうなカフェがありましたわね。メガさんの結果も知りたいでしょうしそこに行きましょう?」

クールな表情でアトは言ったがピコにはそれが照れ隠しであるとわかった。

「そこに、ベルベラのダラダラ煮はあるかのう?」

グルーチョは突然後ろからよだれをたらしながら話しかけてきた。

「え?…さぁ…。」

ピコは適当に返事をするとそのまま歩き出し、グルーチョもそれについてきた。


朝の町の中心地は他の場所や時間とは違い活気で溢れていた。

店を早々に開店して朝食を出すレストランや朝市でさびれていた町はどこか異国情緒溢れる雰囲気を醸し出していた。

「わぁ…昨日とは大違いね。…あ!このブレスレット可愛い!」

ピコはその雰囲気に思いっきり呑まれて、出店のアクセサリーに見入った。

「このベータという町は“旅人の地”と呼ばれていて、本当は一番商人が多い場所でしたの。以前は夜中までいたるところで、こういう風に出店の風景が見られましたの。最近は魔王ギガのせいで夜や町外れは危険だと言われているから彼らはこうやって朝方の数時間のみ店を開くようになったんですわ。」

アトは本来昨日伝えるはずだったその町の名前と紹介をした。

「魔王のせいで…。」

ピコは少し笑顔を曇らせた。

「おじょうちゃん!そのブレスレットは魔物がいっぱいで不安って人にうってつけだよ!!魔物が近づくと光るんだ!!」

出店のにいちゃんはお構いなしに商品を売ろうとしている。

「いつもは1450ルーンのところ今なら1000ルーンでお買い得だよ!!」

いかにもな殺し文句だ。

「…」

ピコは無言で立ち上がり、その場を去った。

アトもグルーチョもそれに従い歩き出した。

「え…おーい、おじょうちゃーん!」

後ろの方で出店のにいちゃんが叫んでいた。

「…なんか悲しい物ね…魔物も飯の種って感じ…。」

ピコはどこかすれた苦笑いを浮かべた。

アトはいつものように冷静だった。


三人はしばらく歩いてデルタの泊まっている宿に着いた。

宿の前には馬車が停められており、荷物を積んでいるデルタを発見した。

「あ!お父様!!もう出発なさるの?!」

アトは父の元へ駆け足で近づいた。

「あ…」

そのデルタの影にはメガがいた。

メガは大きなリュックを背負ってボンヤリと何か紙切れを眺めて立っていた。

アトの姿に気が付いていないようだ。

やはり、服役しなければいけないのか。

「マルや…どうしたんじゃ。」

その様子に一番に声を掛けたのは意外にもグルーチョだった。

未だにメガという名前だということを理解していないようだが。

メガはそのグルーチョの声にやっと気が付いてその顔を始めてみた。

その顔はどこか貫禄のある穏やかな笑顔で落ち着く。

しかし、メガの目に何か光る物が…

「よがっだぁぁぁ!!!!」

何がよかったのだろうか。

捕まって喜ぶものがいるだろうか。

メガは大泣きしながらグルーチョに抱きついていた。

「えっと…あの…」

ピコはよくわからず、首をかしげてデルタを見た。

「ん?…あぁ、特例ですよ。クサイ氏を逮捕するに協力してくださったようだし、勇者パーティを助けたこと、町の人々へ利益を還元していたこと、…それと…いや…まぁ、国王陛下が直々に下した結果ですので、私どもとしても異論はありません。」

デルタは何やら色々と考え込むようにして説明していたが、未だにアトもピコもよくわからないようだ。

その表情を見たデルタは肝心なことを言っていない事に気が付いてまた口を開いた。

「メガ君は罰を受ける代わりにグルーチョさんの手伝いをするようにと国王陛下がおっしゃられたのですよ。彼は……人間と…魔族…の相の子のようですし何かの役に立つでしょう。魔力も強い、力もある、立ち向かう勇気もある。何より少女とお年寄りのパーティでは危険がつき物ですから、彼のように正義感の強い、力のある人が必要だと判断されました。これも何かの縁でしょう。」

そう含みを持たせながら言うとデルタはグルーチョに抱きつくメガを見た。

まだ大泣きしている。

「私は忙しいのでもう行きます。アト、しっかりやりなさい。」

デルタはそう告げ馬車に乗り込んだ。

言うだけ言って行ってしまうのかとピコは思ったが、アトとデルタの間にはそれが適切な距離感だったようだ。

窓越しに笑顔をかわす親子はまさにそのものであり、両親のいないピコには羨ましい限りであった。


「あーよがっだよぉおお~」

デルタの馬車が遠くに去り見えなくなった頃、まだメガは泣いていた。

抱きつかれているグルーチョの方はぼうっと笑顔で向こうの空を見ながらメガの背にそっと手を回していた。

そのおかしな光景にピコは立ち尽くしていた。

一方、アトはとぼとぼとメガの横に来ると立ち止まった。


―ガ!!


その音と共にメガは崩れおちアトとは逆の方に転がった。

「い…た…い…」

メガは弁慶の泣きどころを押さえて痛みに耐えていた。

どうやら、アトは痺れを切らしたらしくメガの足に蹴りを食らわしたらしい。

「女々しいですわ!」

アトは怒りの表情をあらわにした。

まぁ、それでも少女の可愛らしさがあるものだった。

メガはそのアトに対して何故か少し嬉しそうにしていた。

やはりメガはマゾなのだろうか。


そうしてやっと朝食を済ませた後、4人は人の手から離れた森の中へ向かっていった。


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