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薬屋・リコリス  作者: 瓶覗
7章・天空の島
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6,学者、大興奮。

 空を進むと、陸を行くより時間は遥かに短くなる。

 のんびりゆったり歩いた道のりは1時間ほどで遡り終わった。

 ドラゴンに詳しい場所を教えて、迷いの森の中央少し海側、上空からだと分かりやすい木のない空間に降りてもらう。


 アジサシはよく上から来るが、自分がやることになるとは思っていなかった。

 森の中を進む数倍分かりやすく、早い。

 なるほど上から来るわけである。


 普段リコリスの中でそれを見ているから知っているが、上からの来訪というのは分かりやすい。

 ドラゴンが降下を始めてすぐに学者が外に出てきて、リコリスの中からもサクラとモエギが現れた。

 上空からでも分かるほど、学者が何か忙しなく動いている。


 それでも降下中のドラゴンに突っ込んで来るほど理性を失われたわけではないらしい。

 ドラゴンの足が地についてから、すごい速度でかけてきた。

 サクラとモエギも寄ってきているが、そちらは自分で意思の疎通も出来るしドラゴンに触れたこともある。放っておいても問題ないだろう。


「アオイさん!というかアルフ!これ、これドラゴンですよね!?」

「はい。協力してもらえることになりました」

「ドラゴンをこんなに近くで見たの初めてだ……で。でだ、アルフ!お前だけ一人で乗ってるのはなぜだ!?」

「懐かれました」

「その話詳しく!」


 騒ぐレークを見て、ドラゴンたちは不安だ……と呟いた。

 1人で乗る訳ではないから、と納得してもらい、話を天空の島に持っていく。


「で、レークさん。早ければ明日にでも出発出来ますが、すぐ行きますか?」

「はい!ぜひ!」


 迷いのない返事に笑って答え、アオイは一度リコリスの中に戻った。

 外にはサクラとモエギが残っているので、会話は問題ないはずだ。

 店の中に入ると、カウンターにシオンとセルリアが座っている。おかえり、と声を掛けられて、返事をして家の中に入った。


 ウラハに帰宅を知らせて明日出ることを伝える。

 帰りの時間は分からないので、その連絡は追々だ。

 ウラハに手を振ってリビングを後にして、階段を上がってトマリの部屋をノックした。


「トマリ」

「なんだ?」

「調べてほしいんだ」

「何をだ?」

「レーク・ヴィストレーン」


 トマリは怪訝そうな顔をしてアオイを見返した。

 アオイはその瞳を真っ直ぐ見て、もう一度その名前を繰り返す。


「信用したから連れていくんじゃないのか?」

「頼まれたから、だよ。それに、私の居場所がバレた理由も知りたいし」

「……分かった。戻ってくるまでに」

「お願い」


 頭を掻きながら闇に溶けていったトマリを見送り、来た道を戻る。

 少し不安なだけで、レークを疑っているわけではない。

 ただ、扱うものが大きすぎて怖いだけだ。


 軽く息を吐いて外に出ると、レークはサクラとモエギを通してドラゴンを質問攻めにしていた。

 近づくと、ドラゴンが助けを求めるような目を向けてくる。

 間に入って話を聞くと、普通の人間が無視するような小さな言葉を拾って質問がされるらしい。


「もはや一挙手一投足に反応する勢いです」

「主、主、私も島行きたい!ついて行っちゃだめ?」


 苦笑いで知らせてくるモエギとは対照的に、サクラは学者に似たテンションで同行を申し出てくる。

 その頭を撫でて考えを巡らせながら、アオイはレークに目を向けた。


「レークさん、明日は大移動ですから、今日は早めに休んでくださいね」

「はい!分かりましたあ!」

「サクラは、今回はお留守番かな。何があるか分からないし、リコリスをお願いね」

「はーい、帰ってきたらお話聞かせてね!」

「うん」


 サクラは連れて行ってもいいかと思ったが、横に居るモエギが不安そうにアオイとサクラを交互に見ているので留守番にした。

 サクラを連れて行くならモエギは留守番であり、それを知っているから未知の場所にサクラを連れていくことをモエギは躊躇う。

 モエギは心配性なのだ。ほとんどサクラに限られたことだが。


 会話を聞いていたドラゴンはレークがようやく去って行くのを見て、深く息を吐いて寝そべった。

 アオイが声をかけると助かった、と言ってくる。

 苦笑いと共に返事をして、小鳥組と共にリコリスに戻る。

 客間が賑やかだが、何をしているのやら。


「あ、今日の夕飯はシチューですよ。煮込んであるので、すぐにでも食べられます」

「やったぁ。いつから仕込んでたの?」

「昨日の夜ですかね」

「本格的すぎる……」


 緩い会話をしながらリコリスに入り、カウンターで本を読んでいたセルリアとシオンを回収する。

 リビングにはすでにウラハとトマリが居て、夕飯の準備が進んでいた。

 いつも通り楽しい食事を終えてセルリアと共に風呂に入り、髪を乾かしつつ空を見上げる。


「主」

「お、コガネ。どうしたの」

「湯冷めするよ。髪乾かさないと」

「はーい。……島かぁ……」

「懐かしい?」

「いや、どうだろう。見てみないと分かんないな」

「そっか」


 横に来たコガネに髪を乾かされながら、いつものように緩い会話をする。

 「島」という神話の中の物。

 アオイにとっては、なじみの深い物。

 楽しみなような、少し怖いような。


「……まあ、コガネも居るし、平気でしょ」

「任せて」


 髪は乾かし終わったのか、アオイの呟きに反応してコガネは力こぶを作る。

 少女の姿では全く出来ていない力こぶだが、アオイにとってはとても安心できる頼もしい姿である。

 顔を見合わせ笑いあって、明日に備えてそれぞれの部屋に戻った。

 星の綺麗な夜である。いつも通りの空を眺めているうちに、アオイは眠りについていた。

アオイちゃんの正体を匂わせていきたい……!

……まあ、エキナセアから読んでくださってる方は全部知ってるんですけどね。

エキナセアを読んでくださった方にはアオイちゃんの成長具合を、読んでない方にはアオイちゃんの不思議加減をお届けしたい(語彙力がなくて伝わらない)


追記:一瞬だけの出来事かもしれませんが、ブクマが50になりました。

わーい!やったぁ!ありがとうございます!

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