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薬屋・リコリス  作者: 瓶覗
15章・地の底
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0,魔窟の下

 平和な休日を壊したのは、元気のいい友人の声だった。

 今日は休むのだ、としっかり話しておいたはずなのに、こんなにも騒ぐ事態を持ってくるとは何事だろうか。


「なあ!なあなあ!」

「あーもううるさい……なんだよ」


 酷く楽しそうなその声に読書を中断されて、渋々顔を上げると声と違わず楽しそうな表情がそこにある。

 こいつがこの顔をしている時は、正直ろくなことがない。

 昔から知っていて、今はパーティーを組んでいる自分が言うのだから間違いない。


「こないだ攻略された魔窟があるだろ?あそこの最下層、更に下になんか広がってるらしいぞ!」

「いや、それがどうした?」


 嫌な予感がした。

 ああ、きっと碌なことにならない。

 聞かない方が良さそうだ、なんて思ったところで、こいつの口は止まらない。


「行ってみようぜ!」

「馬ッ鹿かお前!?絶対ヤバいだろ!?」

「大丈夫だって!魔窟は攻略されてんだからさ!」


 そう言われて手を引かれて、振りほどけばいいのにそれが出来ないのが悲しいところだ。

 自分が行く、行かないに関わらずこいつはその魔窟に突撃するだろうから、ついて行かないと心配が過ぎる。


 ひとりで行かせて帰ってこなかった日には後悔してもしきれないのだ。

 なので、こいつが行くならついて行くしかないのだ。


 そんなことを言って、結局ついて来てしまった。

 魔窟に入る入らないでひと悶着したが、結局は入ることになってもう魔物を生み出さない魔窟の中を進む。


 この魔窟は大分深かったはずなので、魔物が居なくても罠なんかに気を付けて進まないといけない。

 小部屋に入ったりはせずにひたすら下を目指し、最下層であろう広場に入った。

 何があるのかと思ったら、そこはただの広場だった。


 その端、部屋の角が何かの衝撃でか崩れている。

 そこから、洞窟が繋がっていた。


「おお!これ!これだよ!」

「よし、じゃあ帰るか!」

「なんでだよ!ここまで来たんだから行くぞ!」


 そうなるだろう、とは思っていたがため息が出てしまう。

 仕方ないのでついて行くが、そこは特に変哲のない洞窟だった。

 しばらく進んで、何もなさそうだし帰ろう、と言おうとしたその時だった。


 洞窟の奥から、何かが現れた。

 人型をしているのに、人でない者。

 片目しか見えていないのに、その眼光が何よりも恐ろしい。


「……貴様ら、どこから入り込んだ」


 地を這うような声は、こちらに問いかける音だったが、あまりの恐ろしさに声など出るわけもなく。

 ただ、やはり止めるべきだったと。それだけを思っていたら、目の前のそれは舌打ちをしてこちらに手を伸ばしてきた。


 これで、終わるのかと。自分の人生はここで終わるのかと。

 そんなことを思って、それでも動くことは出来なくて。


 次に気が付いたのは、魔窟の外の草むらだった。

 勢い良く身体を起こして、辺りを見渡すと、友人がぼんやりと座っていた。


「お、起きたか」

「なに、何があったんだ?」

「分かんねえけど。俺も起きたらここに居た」


 つまり、逃がされたらしい。

 それだけでもどんなに幸運なことか、それはこの阿呆も分かっているようで、しばらくは大人しくなりそうである。


 それは、いいのだが。

 あの人は一体何だったのだろうか。

 それだけが不思議で仕方なかった。

どうにか11月中に始まりました15章です。

ヨカッター。ハジマッター。


 と、それは一旦置いておいてですね。前章が14章な訳なのですが、なぜか勘違いしていて13章と色んな所に書いていました。

 やらかしやらかし……混乱させてしまっていたらすみませんでした。

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