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薬屋・リコリス  作者: 瓶覗
14章・天の姫
146/190

0,天眼

 天高く伸びた1本の大木。

 人は見上げる事しか出来ないそれの上に、1人の人影があった。

 人影であるはずだが、その背には人が持たないはずの翼を持っていた。


 翼を持った人影は何か遠くを見ていたが、何かに気付いたのか大木の枝の上に立ち上がり、翼を広げてどこかに向かっていく。

 向かう先には開拓された土地があった。


 低い建物が密集するその場所で、一軒だけある背の高い建物、そこに向かっているようだ。

 入口は下のはずだが、翼の人影は高さを保ったまま建物に向かっていき、開いていた窓から中に入り込んだ。


「おや、来たのかい」

「何が来る?」

「悪いものではないさ」


 中に居たのは、少女のようだった。

 その少女は床に座り背筋を伸ばしている。

 翼の人影が入ってきたのを確認するように振り返ったが、彼女の目には布が巻かれていた。


 それでも、何かが見えているらしい。

 彼女の隠された目は、本来見えないものをも見ているのだろう。

 楽し気に微笑んで、どこかへ視線を向ける。


「彼女が来るのは久々だね」

「どの子だい」

「あの子だよ」


 不明瞭な会話は、彼らにとっては楽しいものだった。

 長く生きていると、単純明快な会話はつまらなくなってしまうものだ。


「前はいつ来た?」

「いつだったかねぇ。そんなに前ではなかったと思うが」

「お前の感覚は当てにならんからなぁ」


 これは、ちょっとした遊びなのだ。

 答えを知っている者と知らない者、2人いれば謎かけも始まるだろう。


「どんな子だい」

「美しい子だよ」

「……お前が気に入っている子は皆美しいだろう」

「それもそうだなぁ」


 2人揃ってくすくすと笑う。

 謎かけは、まだ続く。

10月に入ってしまいましたが、まだ3日なので実質9月です。

……はい。そんなわけで14章が始まります!

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