地震
夕飯を食べ終わったオレたちはリビングで適当にくつろいでいた。
「そういえば結花に会ってから1ヶ月たつな。」
「ホントだ。もうそんなにたつんだ。」
「そろそろ本気で出ていくこと考えねーと。」
「別にわたしはこのまま一緒住んでもいいけどね。」
「てか、もうこんな時間か。そろそろ寝るかな。」
「えっ、なんで今スルーしたの?」
「はいはい、おやすみー。」
「おやすみー。」
そう言って寝室にむかい布団についた。
「またか· · ·」
気がつくとそこは真っ白な空間だった。あたりを見渡しても何も無く、ただ白い空間が無限とも思えるほど続いているだけだった。
「さて、どうするか。」
ここ一週間ほど夢の中でいつもここにきている。だが、ここにいるからといって、今まで何も無く、ただ数時間この空間を歩いているだけだった。
『×月×日、それまでに終わらせないとな。』
突然、そんな声がどこからか聞こえてきた。
「誰だ!?」
『じゃないと私も死ぬことになるかもな· · ·』
その声はオレの問いかけに答えることなく、まるで独り言のようにつぶやいていた。
今までこんな声が聞こえたことはなかった。
するといきなりどこからかゴゴゴという音が聞こえてきた。そっちを見ると目の前に水の壁があらわれた。
「うおおおー」
目を覚ますとベッドの上だった。
さっきのは· · ·夢?
いや、濡れてる!?体を触って確認すると、それは汗だった。
冷静になれ。今までと違ったのは最後だけだ。
でもあれがただの夢だとは思えない。じゃあ、なにか起きるのか?
いや、考えてもしょうがないか。
「優希!朝食は!?」
「やべぇ、今日の朝食当番オレじゃん!」
オレは急いで台所へと向かった。
あの夢を見てから1週間たったがあれからあの夢を見ることはなくなった。だが、あの夢を見なくなっても油断できない。夢の中で聞こえてきた声。その声がつぶやいていた日は今日だ。
「なんかあった?顔怖いけど。」
「ああ、なんでもない。」
そうは言ったが夢のことはオレの頭から離れなかった。
なんでか分からないけど、あそこを懐かしく感じるんだよなあ。あんなとこを見たのは夢の中だけのはずだけどなあ。
「仕事行くよ。早くして。」
「ああ、悪い。」
そしてオレたちは職場へむかった。
今日1日気を引き締めてきたが、なにもないまま仕事も終わり、オレたちは帰路をたどっていた。
「ねえ、朝からずっと怖い顔してるけどなんかあった。」
「いや、ちょっと考え事しててな。」
「えっ?なんか怒ってんのかと思った。鏡見てみなよすごい顔してるよ。」
「そこまでかよ。」
ったく、結花と話してると考え事なんてどーでもよくなるな。
そんなことを思っていると、いきなり地面が大きく揺れ始めた。
オレたちは事態を把握できないまま、その場に倒れ込み、そのまま数分して揺れは止んだ。
その瞬間、鋭い痛みが頭をおそった。
「優希、大丈夫?」
結花が聞いてきたが、答える余裕がなく、「うっ· · ·あぁ」などうめき声が出るだけだった。
「優希!」
オレの様子に気づいた結花が寄ってくるが、もう意識はなくなりかけていた。
「ゆい· · ·か」
その瞬間、オレは意識を失った。
急な大地震にわたしはなにが起きてるのか理解出来なかった。少しして揺れが止み優希を見ると苦しそうに倒れていた。
「優希!」
そう言って優希の元に寄るが苦しそうにうめき声を出すだけだった。
「ゆい· · ·か」
「優希!」
優希はそこで意識を失った· · ·と思ったのもつかの間、優希はすぐに目を覚まし起き上がった。でも、目を覚ました優希はなにかいつもと違うような気がした。
「ゆう· · ·き?」
あと1話で終わります。