第08話 サラへの報酬
翌朝、宿屋の1階で朝食を取っていると、
「キンバリー達、どうだった?」今日も訪ねてきたサラが聞いてきた。
こいつは、依頼に行ってるんだろうか。
まあ、行きがかり上、気になるんだろうが。
「貧乏人相手の商売としては、まあまあだな」と答え
「そうだ、今回の依頼料だ」と、銅貨1枚を渡した。
「え、なんで?私が払うんじゃないの?」
「報酬は銅貨3枚って言ったろ?キンバリー達からは成功報酬で
銅貨4枚を受け取った。
紹介したサラには、紹介料として1枚払う」
「ほー・・・」サラの目が、なんとなくキラキラしている。
「まあ、他にも困ってそうな貧乏人がいたら、連れて来てくれ。
キンバリー達にしたように、最初にパーティー運営を教えてやる。
前金と成功報酬で1人あたり銅貨1枚。紹介者には成功報酬で銅貨1枚払う」
「貧乏人は前金ありで、紹介は成功報酬なのには理由があるの?」
「ある。貧乏人は、手元に金がない。
それに俺のことも信用してない。
俺も相手を信用してない。だから半金だ。
紹介者も、成功報酬じゃないと、いい加減な連中を紹介しかねない。
だから、成功報酬にする」
「あんた、いろいろ考えてるんだねえ・・・なんで冒険者なんてやってたの?
学だってありそうじゃん」
「聞くなよ。根無し草だから、この街じゃ普通の商売はできねえんだよ。
一等街区に入るには、バカ高い市民権を買わないとならねえしな」
ふーん・・・と、サラはイマイチ納得しない顔で頷いた。
で、銅貨を握りしめると
「じゃ、あたし、もっと貧乏人紹介するね!」
と駆けだそうとする。
「待て待て。俺が案内できるのは、1日3組が限界だな。
それ以上は、日程の調整をしないと無理だ」
「日程の調整って何?」とサラが聞いてくる。
「そうだった・・・」