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異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十九章 領地の現場を歩いて復興を支援します

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第705話 憂鬱な捜索

【書籍化関係のお知らせ】

・7月12日に幻冬舎様より「異世界コンサル株式会社」がビジネス書として発売されます

・本屋さんでの予約がスタートしています

・電子書籍も同時発売です。こちらもAmazonKindleとiBooks、楽天koboでスタートしています

・発売日前後まで、お知らせは継続的に掲載する予定です。ご容赦ください

千切れかけた数枚の符丁らしきものが記された羊皮紙。


一部が欠けた黒檀の印章。


それが、死体を探って得ることのできた証拠の全てだった。


元からの農家の住人が3人。屋内で潜伏していた不審者4人。屋外で逃げようとして射殺された1人。

全部で8人もの人間の死と引き換えに得た成果としては、あまりに割に合わないのではないか。


屋敷の執務室にいても、襲撃の現場となった農家の惨状が瞼の裏に焼き付いて離れない。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


キリクを屋敷に返した後、何らかの証拠をつかむべく室内へと踏み込んだ。


元から邪魔になる家具は屋外に出されていたためか、闘争の後だというのに思ったよりも荒らされていない。

キリクの襲撃が、それだけ迅速で効果的だったということだろう。


土間の隅に小さな土の山があり、崩れた部分からボロボロの衣服がのぞいていた。

元からの住人を周辺住人の目につかないよう室内に埋めていたのだ。


小さな竈には鍋がかけられたままで、麦と豆のスープが残されているのがわかった。


こういう連中も自分たちと同じように普通に飯を食っているのか。


嫌な発見だった。


人を殺して平然と同じ屋内に暮らし続けていた連中と、自分たちとの共通点になど気が付きたくない。


その連中は、部屋のここかしこで死んでいた。


一見すると農民と同じような衣服を着ていたが、飢えた農民にしては体格に優れ筋肉がつきすぎている。

死ぬ間際に抵抗できた男もいたのか、短剣を片手に持っている者もいた。


用心しつつ短剣を観察したが、特に毒が塗られている様子もない。

それだけ奇襲は予想外だったのか。


「それにしてもキリクの奴は、大した腕だな」


4人の賊は、何れも頭部の同じ箇所を斧で1撃で割られて死んでいる。

1対4だというのに、まるで子供扱いだ。


体の方に傷がない、というのは身体検査をするのには有り難い。

なるべく頭を見ないようにして衣服や袖、ブーツなどを探る。


室内のどこかに隠している可能性もあったが、身一つで逃げることもあるのだから、衣服の何処かに縫い込んでいる可能性が高い。


ナイフで袖の折り返しまで裂いてみると、1人の懐から羊皮紙を折りたたんだ符丁が見つかり、もう1人からは欠けた黒檀の印章が見つかった。


こんなものを隠すために、こいつらは死んだのか。

馬鹿馬鹿しい。


死体にも、死体を探っている自分にも反吐が出そうだ。


「ケンジ、教会から司祭様が来たわよ」


幸いなことに、それ以上、思考が暗い方向に走る前にサラが教会の司祭の訪れを知らせてくれた。

不快な死体検証の真似事はここまでた。


戸口から外に出ると、太陽を眩しく感じた。

陰気な作業をしている内に、かなり陽が高くなっていた。


室内の死体の処理と葬儀については専門家である司祭に丸投げをすることにした。


実際に剣を振ったわけではなかったが、朝からの緊張と解放感、それに気に食わない死体漁り作業と続いたせいで、体力と精神力がかなり消耗しているのを感じる。


こういう仕事あらごとは、もう少し若い連中にやらせたいものだ。

引退した冒険者である自分の仕事じゃない。


「それから教会の上層部に一刻も早く連絡をとって欲しい。襲撃は一回だけとは限らない」


疲れのせいか言葉にオブラートが足りなかったかもしれない。

少し脅すように依頼すれば、司祭は真っ青な顔で繰り返し頷いたものだ。


実際のところ、教会上層部からすれば、これは売られた喧嘩になる。

一応の証拠らしきものも手の内にある。


早期に報告することで、今後の領内に降りかかる危険を減らせるはずだ。


その程度の役割しごとは、教会に期待してもいいだろう。


今は一刻も早く、染み付いた死の匂いを落としてしまいたい。

明日も更新します。

活動報告で「出版への遠い道のり4」という内容で読み物を書いております。

肩の力を抜いてお楽しみ下さい。

→すみません。小説の更新は多忙のため本日はパスします

活動報告に「出版への遠い道のり5」「出版への遠い道のり6」の読み物を更新しております

→すみません。活動報告への反響が非常に大きかったので「出版への遠い道のり7,8」と公開しております。

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