表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界コンサル株式会社(旧題:冒険者パーティーの経営を支援します!!)  作者: ダイスケ
第三十五章 駆け出し冒険者を支援します

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

591/763

第590話 元冒険者の男

元冒険者のマルティン。


記録によれば、3年ほど前までは冒険者として普通の依頼を請けていたらしい。

あるときを境に依頼を請けた記録はぷっつりと途絶え、そして、最近になってスライムの核を大量に持ち込むようになった。

おそらくは足の負傷で冒険者を引退し、あまり良くない暮らしをしていたのだろう。

まだ若いはずだが、髭や髪に白いものが混じっている。


「この男に、間違いないか」


連れてきた2人組に顔の確認もさせる。


「はい、そうです」


ジョンとエルマーの2人組が頷いたのを見て、もう一度声をかける。


「だ、そうだが」


「そんなガキが言ったから、どうだってんだ!」


酒にやけた喉で、元冒険者がドラ声で叫ぶ。

剣牙の兵団の連中に囲まれていた時は大人しくしていたのに、少し弱そうな子供や俺には大声で威圧しようとする。

わかりやすい根性をした奴だ。


「別に、どうもしない。駆け出しの飯代を掠め取っていたのがどんな奴か、俺が見たかっただけだ」


「そうかい、それで代官様は満足されたかい」


俺を知っている口ぶりだった。

剣牙の兵団の連中に、何か教えたかと目で確認すると、全員が首を左右に振る。


「俺を、知っているのか」


写真のないこの世界、名前を知っていても顔が知られていないことは珍しくない。

剣牙の兵団の団長と比べると、俺はいたって地味な顔をしているので顔を知られていることが意外だった。


「この街で冒険者をやってて、あんたを知らねえ奴はいねえよ!冒険者をやめた後で、上手いこと一流クランと教会の偉いさんに取り入ってよ!よっぽど尻穴の具合がいいんだろう、てみんな噂してるぜ!」


男の下品な物言いに、サラの顔が赤くなる。


「そうか、そう見えるか」


男の侮辱に、特に思うところはなかった。

剣牙の兵団と結び、教会と取引している現状を外から見れば、そう見えるかもしれない、と思っただけだ。


俺の肯定を弱気と取ったのか、途端に元気を取り戻した男が言葉を続ける。


「そうとも!お前がうまくやったんだから、俺がうまくやって何が悪い!商売の邪魔をする理由はねえはずだ!」


調子づいて立ち上がろうとするところを、団員に両肩を押さえつけられて、椅子に戻される。

片足の悪い引退した男など、現役の一流クランの力の前には無力だ。

いくら自分勝手な理屈を喚いても、耳を貸す者はいない。


いや、いた。

サラが、マルティンに猛然と食ってかかったのだ。


「あんたねえ!こんな小さい子のお金をとって、恥ずかしいと思わないの!この子達、お腹を空かせて、汚い橋の下に住んで、もう少しで病気で死ぬところだったのよ!」


思わぬ反撃を受けて言葉に詰まった元冒険者の男は、苦し紛れの理屈で反論した。


「俺のせいじゃねえ。そいつらが、間抜けだったんだよ」


「このっ・・・!!」


サラは手を上げて男を叩こうとしたが、子供たちの視線を意識してか、かろうじて踏みとどまった。


しかし、参ったな。

この男、自棄になっているのか、現実が見えていないのか。

いつまでも強気で、なかなか妥協点が見つからない。


仕方ない。


「サラ、少し子供たちを連れて向こうへ行っていてくれないか」


少し物騒なお話をするしかないだろう。

サラと子供たちには聞いてほしくない。

明日は18:00に更新します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一二三書房様 庭に穴が出来た 特設ページです https://www.hifumi.co.jp/lineup/9784891998769  バナーは書籍の特設サイトです 

i252242/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ